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かぼちゃの馬車「中抜き」スキームで裏金100億超か

4月27日(金)11時00分配信 不動産投資の楽待

(写真:不動産投資の楽待)
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(写真:不動産投資の楽待)
女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」のサブリース事業が頓挫し、資金繰りの悪化で経営破綻したスマートデイズ(東京都)。これまで高額な建築費のキックバック契約や融資審査時の金融資産改竄の疑いなど、このスキームのさまざまな問題点について報じてきたが、新たに関係者の証言や内部資料などから、土地取引の過程で多額の裏金を生み出す仕組みが浮かび上がってきた。

楽待新聞編集部は、販売会社の元締め的立場だった会社が、ある物件の資金の流れについて販売会社に指示する内容の資料を入手。スマートデイズなどに2億円の損害賠償を求めて提訴したオーナーの代理人・加藤博太郎弁護士の解説を基に、このスキームの裏側にあるものを考えてみる。

■最初から破綻に向かっていた

加藤弁護士がスマートデイズ役員から得た証言によると、まず物件価格は「年収800万の人であれば9200万」「年収1000万であれば1億2000万」といった形でトータルの金額を先に決め、賃料相場などに関係なく利回り8、9%になるように逆算してサブリース賃料を設定していたとされる。「これによってサブリース賃料が実際の賃料と大きく乖離することになるので、最初から早期破綻が見えていたスキームだったといえる」と加藤弁護士はみている。

加藤弁護士によると、土地は仕入れ価格に多額の利益を上乗せした額でオーナーに売りつけ、建物の建築請負契約ではスマートデイズが実態のないコンサルティング契約を建築会社と結び、多額のキックバックを受け取っていたとみられる。「土地の金額の多寡によって建物の方の利幅を調整する仕組みで、建築費のキックバックは物件によって30~65%程度で変動していたようだ」(加藤弁護士)

入手した指示書は、都内で昨年建築されたかぼちゃの馬車の資金の流れに関する内容。物件価格は約9000万円で、そのうち土地は約6000万円でオーナーに販売していたが、登記情報や路線価などから推測すると、仕入れ値は3000万~3500万円程度と考えられる。つまり、オーナーは実勢価格の2倍近い値段で購入していることになり、加藤弁護士は「そのほかの物件でも、土地の購入額が査定価格の2倍程度になっているケースが多い」と指摘する。

加藤弁護士の見立てによると、本来は土地3000万円程度+建物1500万円=4500万円の物件を、約2倍となる9000万円でオーナーに販売。水増し分はスマートデイズに建築費のキックバックとして1500万円、販売会社に手数料名目で500万円(物件価格の約5%)、販売会社の元締め会社や同社が指示する会社に2500万円程度が渡っていた可能性があるという分析だ。

■巨額の裏金を生み出した「四為」スキーム

今回のスキームのポイントの一つは、土地所有者→販売会社→オーナーという形で登記を入れずに転売する「三為」(第三者のためにする契約=新・中間省略登記)ではなく、土地所有者と販売会社の間に別会社が介在する、いわゆる「四為」のスキームだという点だ。

まず三為とは、売主A→三為業者B→買主Cという流れの不動産取引について、直接A→Cに登記移転することを可能にする目的で、AB間で特約条項付きの「第三者のためにする契約」を締結し、BC間で「他人物売買契約」を結ぶ方法。Bは所有権を取得しないため、不動産取得税や登録免許税を適法に削減できる上、AB間の売買代金をCに知られないため転売時に利益を乗せやすいという利点もある。

A→B→Cの「三為」ではなくA→B→C→Dの「四為」にすることで、オーナーが直接契約を結ぶCではなく、表からは見えないBに裏金が残る形になる。加藤弁護士は「元締めとなるBが複数のC(販売会社)に依頼することで効率的に販売を拡大できる仕組み。また物件に瑕疵があった場合などにBではなくCが責任を負うため、Bのリスクが下がることもメリット」と説明する。

■裏金の行方は

加藤弁護士は「要するに土地売買の方で元締め会社が裏金を抜くだけ抜き、あとは建築費のキックバックで利幅を調整してはめ込むスキーム。オーナーは抜かれた利益分が上乗せされた高額な価格で物件を購入することになる」と指摘。「基本的にはスマートデイズに入るのは建築費のキックバックだけなので、土地が高ければ利幅が下がり、それほど多くは残らない。つまり、スマートデイズ自体はもともと飛ぶことを前提としたスキームだったと考えられます」

加藤弁護士は元締め会社が土地の中抜きで得た裏金について、一部が実質的経営者の関与する別会社に流れていた可能性があると分析。スマートデイズ側も4月12日に開いたオーナー向け説明会で、「創業者メンバーに一部の金が流れていたという認識はある」という主旨の説明をしている。

「土地の値段が実勢価格の2倍程度と考えると、中抜きの額は1物件2500万前後と推測できる。1000棟のうち半分で中抜きがあったとして、125億がどこかに消えていることになる」と加藤弁護士。「中抜きした金はスマートデイズとは関係のない会社に残るので、スマートデイズが経営破綻しても問題ない。あえてスマートデイズという『汚れ役』の空箱会社を作って別のところに多額の裏金を残している点で、かなり詐欺性の高いスキームといえます」

■スルガ銀行の評価に妥当性はあったか

実勢価格と乖離した土地の値段にもかかわらず融資を通したスルガ銀行の姿勢にも、オーナーからは疑問の声が聞こえてくる。2016年に都内でかぼちゃの馬車1棟を購入したGさん(30代)は「当時は銀行が融資審査を通す物件なのだから大丈夫だと思いましたが、今になって調べてみるとめちゃくちゃな評価をしている」と憤る。

物件は土地6470万、建物3400万の9870万という説明で、保証賃料は月61万2000円、ローン返済などを引いた手残りは6万円強。以前に投資用アパートを購入した業者からの紹介だったといい、「見知らぬ会社だったら話は聞かなかったですが、そのアパートがうまく回っていたこともあって信用してしまったんです」。

販売会社からは「フルローンで融資できる」と説明されていたが、実際はスルガ銀行の融資は物件価格の9割が上限で、頭金1割が必要。「今回の一件が発覚してから販売会社を問いただしたところ、土地代金を7570万円と高く見せて物件価格を1億970万円に水増しした売買契約書をスルガ銀行に提出し、9割融資に見せかけていたことが分かりました。見かけの利回りを7.5%前後に維持するよう、保証賃料も61万2000円から68万4000円に上げていたようです」(Gさん)

複数のオーナーの話を総合すると、今回のスキームではこのように金額の異なる2種類の売買契約書を作って銀行融資額をかさ上げする「二重売買契約」が横行していたとみられる。不動産業界では昔から一部で使われている手法だが、スルガ銀行側がこれを認識していたとすれば大きな問題だ。

■頭金相当額の「見せ金」も

Gさんによると、販売会社は頭金相当の預貯金額があるように見せかけるため、一時的に950万円をGさんの口座に振り込み、融資実行後に返金させる形を取っていたという。「スルガ銀行で引き出し伝票にサインした時はまだ通帳もなかったので、融資実行前日に950万円が振り込まれていたことには気づかず、後からこの事実を知ったんです」(Gさん)

Gさんの物件はサブリース賃料の支払いが停止された今年1月時点で、12室中1室しか埋まっていなかった。その後、2月末にスマートデイズとのサブリース契約を解除し、3月中旬に別の管理会社と契約。「募集賃料をほぼ変えていないのにも関わらず、3週間で12室中11室まで埋まりました。どれだけスマートデイズが真面目に入居付けをしていなかったか分かります」

今後はスルガ銀行に対する訴訟も含めて検討していくという。

スルガ銀行は楽待新聞編集部の取材に対し、「預金残高や源泉徴収票の改竄を当銀行が認識していたという事実は確認できていない」と回答。土地の売買については「実勢価格と乖離した物件に融資をしたケースを把握していない」とし、「土地の売買価格は売買当事者間で決定されると考えている」と答えた。

かぼちゃの馬車のオーナーの中では、投資判断について「融資審査が通ったんだから大丈夫だと思った」という声が多く聞こえてくる。今回の一件は、自分自身で考えず販売会社や銀行の言うことを鵜呑みにすることで、大きな被害を被ってしまう可能性があることを強く示唆した事例といえる。

提示された物件価格が妥当かどうか、さまざまなリスクを加味しても投資する価値があるか、気づかぬうちに不正な行為に加担していないか。自分自身で綿密なシミュレーションを行い、じっくりと考えた上で決断することが重要になる。
不動産投資の楽待 編集部

最終更新:4月27日(金)11時00分

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