ここから本文です

年収は半減しても働く?60歳定年後も働く人たちの現状

4月26日(木)18時30分配信 あるじゃん(All About マネー)

◆8割超が定年後も継続雇用されることを希望

平成25年4月施行の「改正高年齢者雇用安定法」により60歳定年後に継続雇用で働き続ける人が増えています。労働条件や雇用形態、仕事内容、給与水準など、継続雇用されている人たちの実情をレポートします。
拡大写真
平成25年4月施行の「改正高年齢者雇用安定法」により60歳定年後に継続雇用で働き続ける人が増えています。労働条件や雇用形態、仕事内容、給与水準など、継続雇用されている人たちの実情をレポートします。
原則65歳までの雇用を企業に義務づけた「改正高年齢者雇用安定法」が実施されて2年が過ぎました。厚生労働省「平成26年高年齢者の雇用状況」によると、60歳定年企業において、過去1年間(平成25年6月1日~平成26年5月31日)に定年に到達した人のうち、

・継続雇用された者 81.4%
・継続雇用を希望しなかった者 18.3%
・継続雇用を希望したが継続雇用されなかった者 0.3%

と、8割超が継続雇用を希望、実際に再雇用されています。定年と公的年金の支給開始との間の「空白期間」が現実のものとなり、これからは60歳以降の就業環境の整備がより重要になります。改正高年齢者雇用安定法が適用された“第一陣”の現状を調べました。

◆60歳以降も働く理由のトップは「生活のため」

2015年2月、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構は、現在働いている企業で正社員経験が20年以上あり、現在勤務する企業や関連会社で定年を迎えて働いている(以下「継続雇用」)人の状況を調査しました。そのレポート「高齢者雇用の現状と人事管理の展望」によると、働く理由(複数回答)のトップは「現在の生活のため」78.5%、次いで「老後の生活に備えて」47.0%。どちらかというと動機は「お金=給与」がメインです。一方、「会社や職場から働くことを望まれているから」32.2%、「自分の経験や能力を活かしたいから」31.8%と、「能力」を動機とする人も多くいます。

●継続雇用者の就業理由トップ5(複数回答)
1位 現在の生活のため 78.5%
2位 老後の生活に備えて 47.0%
3位 健康のため 35.4%
4位 会社や職場から働くことを望まれているから 32.2%
5位 自分の経験や能力を活かしたいから 31.8%

◆労働条件の「希望成就率」は平均65.1%

継続雇用の契約を締結もしくは更新する際、人事部門と相談・交渉の余地はあるのでしょうか。「一切できない」は39.7%。ということは、60%はその余地があるということです。交渉・相談できる事項も「勤務日・日数・勤務時間」「業務内容」「契約形態」「賃金」「配属先」など多くあります。

それに対し、希望成就率100%が9.3%。トップは80~89%の18.6%、次いで90~99%が11.0%。成就率80%以上が約4割です。希望成就率の平均は65.1%、中央値は70.9%とかなり高く、「交渉のテーブルにつくことができれば継続雇用後の満足度を高める可能性大」といえそうです。定年前に、60歳以降の働き方の明確なイメージを作っておくことが重要、ということでしょう。

●労働条件をめぐる人事部門との相談・交渉事項トップ5(複数回答)
1位 勤務日・勤務日数・勤務時間 46.4%
2位 業務内容 39.3%
3位 契約形態(雇用形態・請負形態) 26.4%
4位 配属先部署 25.4%
5位 賃金水準・契約額 23.4%

では、これらの事項について、もう少し詳しく見ていきましょう。

◆労働時間:半数超がフルタイム相当

残業時間を含む1週間の労働時間、トップは40~50時間未満で42.3%。50~60時間未満は7.0%、60時間以上1.2%と、フルタイム相当が半数を超えています。

・40~50時間未満 42.3%
・30~40時間未満 36.3%
・50~60時間未満 7.0%
・20~30時間未満 6.6%
・10時間未満 4.6%
・10~20時間 1.8%
・60時間以上 1.2%
・わからない 0.1%

◆雇用区分と雇用契約期間:非正社員かつ1年以内が5割超

雇用区分(雇用形態)は正社員が37.4%、非正社員は62.6%です。雇用契約期間は、「7~12カ月」が62.4%でトップ、次いで「期間の定めがない」が22.1%、「6カ月以内」「13カ月以上」がともに7.0%です。雇用区分と契約期間の組み合わせでは「非正社員で契約期間7~12カ月以内」がほぼ半数を占めます。

・非正社員で雇用契約期間7~12カ月以内 48.4%
・正社員で雇用契約期間の定めはない 17.2%
・正社員で雇用契約期間7~12カ月以内 14.1%
・非正社員で雇用契約期間6カ月以内 6.3%
・非正社員で雇用契約期間の定めはない 4.9% ほか

◆職位と担当業務:現役時代より責任・負担ともに軽減

60%程度が一般社員待遇で、仕事の範囲と量が狭くなり、業績達成の責任も軽くなったと感じているようです。

●職位
一般社員相当 64.2%
次長・課長相当 12.5%   
部長相当 11.0% ほか

●担当業務
所属部署の主要な業務 43.1%
社員の補助・応援 20.3%
所属部署の後輩社員の教員 12.7%
部下マネジメント等の管理業務 10.7% ほか

●業績達成への責任の重さ
変わらない 35.1%
軽くなった 39.4%
やや軽くなった 19.4% ほか

●担当業務に求められる専門性
変わらない 64.1%
やや低くなった 12.2%
低くなった 11.4% ほか

●担当する仕事の範囲
変わらない 46.1%
やや狭くなった 20.8%
狭くなった 19.7% ほか

●仕事の量
変わらない 36.3%      
やや減った 24.3%     
減った 27.7% ほか

●仕事内容の決め方やスケジュールの決定の裁量
変わらない 45.2%
減った 25.7%
やや減った 18.2% ほか

◆給与水準:現役時代から半減している人も多い

年収300万~400万円未満が22.9%、200万~300万円未満が22.2%です。同調査によれば、50歳代の最高年収800万円超が半数以上なのに、この給与水準です。これって妥当なのでしょうか……。

・300万~400万円未満 22.9%
・200万~300万円未満 22.2%
・400万~500万円未満 13.4%
・500万~600万円未満 7.5%
・600万~700万円未満 6.1% ほか

◆能力を発揮したいという意欲は高いが、実際は空回り?

継続雇用で働く人たちは、自分の能力をどの程度発揮しようと思っているのでしょうか。100%と考える人が26.6%でトップ、次いで80%以上が20.1%。80%以上が約55%を占めます。平均値は73.9%、中央値は80.0%と、労働意欲に満ちています。それに対し、能力発揮度100%という幸せな人は16.0%。80~89%が21.3%で、能力発揮度80%以上は約50%です。ほんの少し意欲が空回りしているようです。

◆「70歳まで働きたい」人が約7割

今後の就業・活動希望については、54.7%が「現在の会社で働き続けたい」と答えています。年齢は、65歳までが40.2%、65~69歳28.7%。約7割が70歳未満まで働きたいと考えているようです。そのために行政に対して望んでいることは、「健康維持・増進への支援」「高齢期の生活設計を相談できる機会提供・強化」「高齢者活用の先進的取り組みの紹介」「就業や雇用機会の情報など、就業環境に係わる情報提供」です。

60歳以降の働く場の確保については、「(どちらかと言えば)会社側が準備すべき」が約52%。一方、「(どちらかと言えば)自分で探すべき」が約48%。ほぼ同水準です。70歳リタイアとすると労働者期間はおおよそ50年、人生80年とすると6割を占めます。「人はパンのみに生きるにあらず」、この言葉の意味をかみしめる時代になったようです。
大沼 恵美子

最終更新:4月26日(木)18時30分

あるじゃん(All About マネー)

 

【あわせて読みたい】

ヘッドライン