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このままなら民主主義は全体主義に敗北の運命!? ドルは既に底打ったか底打ちが近い

4月22日(日)0時11分配信 ザイFX!

■トランプ氏の影響による市場の値動きは「ホンモノ」である

 前回のコラムでは、「トランプ氏のような変わった者でなければ、冷徹かつ狡猾な長期戦略を持つ中露などの全体主義国に対抗できない恐れが大きいから、米大統領に選ばれたこと自体が歴史的な必然性を表し、また、トランプ米大統領が歴史を作っていく。ゆえに、市場における値動きも歴史の一部であり、『ホンモノ』である」ということを強調した。

 中露との対抗は、貿易など実務的な側面が目立つが、本質的にはイデオロギーの競争と言える。究極的に言えば、民主主義と全体主義の対抗と競争であり、西側の民主主義制度自体が、統制が効く全体主義との競争に弱いところがたくさんある。

 全体主義の国は、自らの長所をよく知り、また、武器として使用してきたから、同じ武器が使えない民主主義国家としては、トランプ氏のような、乱暴かつ朝令暮改のように見えて、実は巧みな戦略や不屈の意志を持つ「変わり者」がリーダーにならないと、この厳しい競争に負ける可能性が大きい。こういった見方が、前回のコラムの骨子だ。

■最近の市場の値動きを見る上で重要なポイント2点

 政治的な話はさておき、相場の話を優先するが、まず強調しておきたいのは、最近の市場の値動きを観察する上で、以下の2つのポイントを忘れてはいけないということだ。

 1つは、ファンダメンタルズ上、いろいろな材料が続出したが、リスク緩和(北朝鮮と会談など)の材料があれば、リスクオフにつながる材料(森友問題、米中貿易戦争、シリア空爆、ロシア経済制裁強化などなど)も圧倒的に多かったから、外部環境は総じて不安定であるということ。

 もう1つは、トランプ氏が中露の通貨政策を攻撃したように、トランプ政権は相変わらず米ドル安志向にあり、また、それを隠そうとしていない、ということである。

■米ドルはすでに底打ちしたか、底打ちに近い?

ドルインデックス 日足 (出所:Bloomberg)
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ドルインデックス 日足 (出所:Bloomberg)
米ドル/円 日足 (出所:Bloomberg)
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米ドル/円 日足 (出所:Bloomberg)
 ところで、相場の値動きをみる限り、こういった外部要素につられた米ドル全面安にはなっていないことがわかる。トランプ政権の米ドル安志向からすると、むしろ底固いという率直な感想さえある。前回のコラムにて強調していたように、不確実性の高い相場も相場なので、こういった外部要素に左右されそうな相場だからこそ、重要なシグナルを発してくれているかと思う。

 それは他ならぬ、米ドル全体(ドルインデックス)にしても、米ドル/円にしても、すでに底打ちしたか、底打ちに近い状況が暗示されていることではないかと思う。

 米ドル/円に関しては、「アベグジット」、すなわち安倍内閣退陣でアベノミクスの終焉といったリスクが完全には織り込まれていないと思うが、それにしてもここから仮に安倍総理の退陣が現実になっても、「底割れ」が生じるほど、インパクトが強いとは限らないだろう。

 言ってみれば、相場はいつも先見性をもって将来の出来事を予測しつつ値段を形成していくので、多くの不確実性も想定されればされるほど、現実になった場合のインパクトは低下していく。したがって、米ドル/円の「底割れ」のリスクも低下しつつあるとみる。

■米ドル/円の底割れを判断する2つの「基準点」とは

米ドル/円 週足 (出所:IG証券)
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米ドル/円 週足 (出所:IG証券)
 一方、「底割れ」の定義にもよるが、一体どの水準をもって「底割れ」を判断すべきなのか。こういった質問に答えるには、以下のシンプルなチャートをもってお答えしたいと思う。

 筆者の基準として、まず上のチャートに引かれたように。2015年高値や2016年安値から形成してきた大型トライアングルを維持できるかどうかが挙げられる。同大型トライアングルを維持できる限り、やはり底割れとは言えないかとみる。

 次に、やはりトランプ氏当選日(2016年11月8日)の安値101.20円を取り上げたい。同安値を割り込めない限り、米ドル/円の「底割れ」は回避されるといった見方も、それなりの理屈がある。

 なにしろ、当日(2016年11月8日)安値はいわゆる「トランプラリー」の起点だったので、下回らない限り底割れとは言い切れないかと思われる。

 いずれにせよ、かなり不確実性の高い外部環境において、この2つの「基準点」より上に位置する米ドル/円に関して、過度な弱気はもはやいらないのではないかと思う。

 もちろん、「底割れ」を回避できたとしてもすぐにブル(上昇)基調に復帰できるとは限らない。

 目下、米ドル/円のリバウンドは、値幅にしてもモメンタムにしても、たいしたものではないから、これから切り返しの継続があっても当面109円台~110円台に制限されるだろう。諸外部材料の変動でまた反落、「二番底」を確認するような値動きがあっても全然不思議ではないから、米ドルの高値を追える段階には来ていない、という認識も重要かと思う。

■ドルインデックスは早期の底割れがなければ一転上放れか

ドルインデックス 日足 (出所:Bloomberg)
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ドルインデックス 日足 (出所:Bloomberg)
 肝心のドルインデックスは、安値圏でのトライアングルを維持し、ここからブレイクの方向次第で大きな値動きをみせてくれると思う。

 しかし、前述のように、外部要素の不確実性にトランプ政権の米ドル安志向の割には堅調、といった見方もできるかとみる。ドルインデックスの早期「底割れ」がなければ、逆に一転して上放れしやすいタイミングに入っていくだろうと推測される。

■英ポンド/米ドルはダブル・トップで米ドル全面安一服を暗示

英ポンド/米ドル 日足 (出所:IG証券)
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英ポンド/米ドル 日足 (出所:IG証券)
 この見方は、最近の英ポンド/米ドルの値動きからも伺えるかと思う。

 英ポンド/米ドルは一時高値更新したものの、昨日(4月19日)の急落もあって、日足では「ダブル・トップ」のフォーメーションをもって再度頭打ちの可能性が示唆され、米ドル全面安の一服を暗示しているとみる。

 まとめてみると、米ドル/円を含め、米ドル全体の底打ちは近いと思われ、米ドルの安値を追っていく環境ではないことを記しておきたい。

 換言すれば、ユーロなど外貨の高値追いは避けたほうがよいだろう。いずれにせよ、目先はまだ明確なサインがないから、サインが鮮明になるまで辛抱強く待たなければならないが、米ドル全体の春が近いことを念頭に置きたい。

■トランプ政権はアンフェアな争いに先手を打ってきた

 最後にまた余計な話かもしれないが、少し政治の話をしたい。前述のように、民主主義国家と全体主義国家の競争自体がアンフェアであること、実はそのことを強く意識しているのがトランプ政権である。

 たとえば、ツイッターやフェイスブック、さらにグーグルやGmailも、中国国内での使用が遮断されているが、中国政府機関やその参加組織の多くはツイッターやフェイスブックに多数のアカウントを持ち、日本語を含め、多数の言語で毎日たくさんの情報を流し、非常にうまく宣伝やプロパガンダをやっている。

 一方、米政府など民主主義国家やその政府機関の多くはWeChat、Weiboなど、中国本土の主流SNSにアカウントを持つことが難しい。持ったとしても自由な使用は認められず、また、発言ごとにチェックされたり、削除されたりして、完全に中国政府の監視下に置かれる。

 民主主義だからこそ、米国生まれのツイッターやフェイスブックなどのSNSは中国政府のプロパガンダを審査したり、遮断したりできるわけがなく、民主主義国家はアンフェアな情報戦を強いられる。

 情報戦のみならまだマシだが、民主主義国家はあらゆる面において全体主義国家との競争に不利な面に置かれ、このままでは敗北の運命にあることも自明の理だ。

 このような危機感からか、トランプ政権はすでに多くの先手を打ってきたので、その効果も徐々に表れている。当然のように、為替市場にも多大な影響を与えるから、このあたりの話はまた次回。市況はいかに。
陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

最終更新:4月22日(日)0時11分

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