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有識者から新レバレッジ規制必要なしとの声も!?春に規制ありとした日経新聞は誤報?

3月14日(水)0時06分配信 ザイFX!

■3月12日、第2回有識者検討会を開催

 3月12日(月)、「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」の第2回会合が開催された。

 この会合は、店頭FX業者が抱えるリスクを再点検し、新たな規制がどうあるべきかを議論するというもので、前回はちょうど1カ月前に開催された。

 店頭FX取引に対するレバレッジ規制を強化する動きは、ザイFX! でもたびたび取り上げてきたが、今回の有識者検討会では大学教授や弁護士などの「有識者」によって、改めて議論が行なわれている。

 参加している有識者メンバーを見ると、経済学者として高名な慶應義塾大学教授の池尾和人氏が座長を務めるほか、経済学の専門家や弁護士などがズラッと並んでいる。

 そして、FX業界からはGMOクリック証券とセントラル短資FX、SBI証券の代表取締役社長、それに東京金融取引所の代表取締役専務が「オブザーバー」として加わっている。

■金先協会がFXの概要やリスクについて詳しく説明

(出所:金融先物取引業協会の資料より抜粋)※上表の数値は、主要会員18社(取引高シェア82%( 2017.1Q~3Q ))からデータの提供を受けて集計したもの。※実効倍率 = 2017年3月9日クローズ時点の建玉(全通貨ペアの合計)(円) ÷ 証拠金残高(円)※25倍以下~20倍以上の区分には、2017年3月9日クローズ時点で追証が発生している顧客を含む。
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(出所:金融先物取引業協会の資料より抜粋)※上表の数値は、主要会員18社(取引高シェア82%( 2017.1Q~3Q ))からデータの提供を受けて集計したもの。※実効倍率 = 2017年3月9日クローズ時点の建玉(全通貨ペアの合計)(円) ÷ 証拠金残高(円)※25倍以下~20倍以上の区分には、2017年3月9日クローズ時点で追証が発生している顧客を含む。
 会合の様子を簡単に振り返っておこう。前回、初めての会合ということで、事務局(金融庁)からの趣旨説明のほか、メンバーからオブザーバーに対して質問があがっていたが、そのほとんどが持ち越しとなっていた。

 今回は、その質問にオブザーバーであるFX会社などが回答する形で進められた。

 はじめに、一般社団法人・金融先物取引業協会(金先協会)の担当者から、FXの概要、リスク管理についての説明があった。

 FXの概要については、ビジネスモデルの解説からはじまり、実効倍率ごとの顧客分布の状況、さらには海外の規制動向などについて説明があった。

 これは、昨年(2017年)3月9日を基準日に金融先物取引業協会が主要18社のデータから集計した、実効倍率ごとの顧客分布状況だ。これを見ると、レバレッジ規制が強化された場合の上限とされている10倍未満の割合がおよそ6割となっている。

 また、リスク管理については、未収金が発生するしくみ、ロスカット制度、そして、FX会社に実施しているストレステストなどについて詳しい解説があった。

 ストレステストについては、メンバーから質問があがったこともあり、とくに説明に時間が割かれた。

 そもそもストレステストとは、その企業が健全で安定した経営状態であるかどうかについてチェックするというもの。

 金融先物取引業協会では、2016年1月と2017年3月の過去2回、FX会社に対してストレステストを実施していて、どういった経緯で実施したのか、その内容について細かい説明があった。

■3社連名で提出した「議論にあたっての業界認識」

議論にあたっての業界認識
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議論にあたっての業界認識
 つぎに、GMOクリック証券、セントラル短資FX、SBI証券の3社連名で提出した資料を、セントラル短資FXの松田邦夫社長が読み上げた。

 「議論にあたっての業界認識」と題されたその資料には、店頭FX業者は、リスクの顕現化を防ぐため、高度な管理手法を整備してきていること、為替リスクをヘッジする手段としてのFX取引の効用は広く認知されていること、市場の流動性を増し、金融市場の発展に寄与していること……などが記されており、レバレッジ規制の強化ありきで議論が進まないよう、しっかりクギを刺す内容となっていた。ちなみに、松田邦夫氏の前職は日本銀行だ。

 この松田氏の発言はなかなかの迫力だった。

■決済リスクの管理状況について各社が説明

 そして、GMOクリック証券、セントラル短資FX、SBI証券による、それぞれの説明に移った。

 前回の会合では、メンバーから各FX会社のリスク管理について質問があがっていたので、それに回答する形となった。

<3社が説明した主なリスク管理の内容>

●未カバーポジションリスク

●カウンターパーティー(CP)リスク

●未収金リスク

●ロスカットルール

 一部を紹介すると、「未カバーポジションリスク」について、FX取引高世界第1位で業界最大手のGMOクリック証券では、自己資本規制比率を適切な水準に保てる、相当保守的な水準でポジションの上限を設定しているほか、システムや担当部署が24時間監視を実施しているという。

 また、セントラル短資FXもGMOクリック証券と同様、未カバーポジションの上限を設定、監視体制も強化し、社内規定を厳格化しているそうだ。

 そして、SBI証券では、100%子会社であるSBIリクイディティマーケットに売買注文を出しているのだが、そのSBIリクイディティマーケットにおいても、未カバーポジションの保有上限や監視体制などがしっかり決められているそうだ。

 そもそも今回、新たな規制について議論を行なうきっかけになったのは、日本の店頭FX市場が5000兆円規模へと拡大する一方、店頭FX会社のリスク管理に不十分な点が見られるとする見方から、万が一のときには金融システム全体へ影響を及ぼすのでは? といった問題意識が金融庁にあったことによるもの。

 その疑念を払しょくすべく、3社ともリスク管理については、かなりの時間を割いて説明していた。

 なお、今回の検討会では、市場規模=FX会社が負うリスクではないとの説明も店頭FX会社側からなされた。顧客には買いから入る人も売りから入る人もいて、それを相殺したあとの残りの部分だけが店頭FX会社のリスクになるということだ。

 「市場規模5000兆円」という数字は非常に大きいが、それ全部をストレートにリスクだと受け取って、恐がることはないのである。

■メンバーから、新たな規制は必要ないとの声も

 今回、第2回会合が開催されたわけだが、事務局の説明では、今夏までに何かしらの結論を出していく方針だという。

 2月12日(月)の日本経済新聞の記事は「金融庁は2018年春にも外国為替証拠金取引(FX)の規制を強化する方針だ」と伝えていたが、どうやらその可能性は小さいようだ。

 過去の動きをみる限り、今後、おそらく以下のような流れで進んでいくのだろう。

(1)有識者検討会で複数回の議論
 ↓
(2)有識者検討会が報告書を作成
 ↓
(3)報告書を参考に金融庁が新たな規制の枠組みを策定
 ↓
(4)パブリックコメントの募集
 ↓
(5)内閣府令の改正
 ↓
(6)新たな規制(レバレッジ上限10倍? )の施行

 今回の会合では、店頭FX会社へのヒアリングが行われたが、先ほど紹介した、3社連名の「議論にあたっての業界認識」をはじめ、店頭FX会社側にはレバレッジ規制の強化ありきで議論を進ませないという強い姿勢がうかがえた。

 その証拠に、メンバーのひとりである、立教大学教授の松井秀征氏からは、3社のリスク管理体制などの説明を聞く限り、新たな規制は必要ないのでは? との意見が出たほどだ。

 有識者検討会の次回の日程は未定だが、次回も、店頭FX会社からのヒアリングが行なわれるようだ。「結論ありき」から、少しずつ風向きが変わってきたような感じもする今回の議論の行方、ザイFX! では新たな情報が入り次第、お伝えしたい。

(ザイFX! 編集部・庄司正高)

 本記事でお伝えした「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第2回)に続き、2018年3月29日(木)に行われた「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第3回)の模様については、以下の【参考記事】をご覧ください。
FX情報局

最終更新:5月31日(木)15時16分

ザイFX!

 

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