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今更聞けない不動産取引における司法書士の役割

3月13日(火)20時00分配信 不動産投資の楽待

(写真© shashamaru-Fotolia)
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(写真© shashamaru-Fotolia)
みなさん、はじめまして。不動産投資家のパートナーを目指す司法書士法人PEAKS(ピークス) TOKTO(トーキョー) OFFICE(オフィス)の代表司法書士の角野(かどの)と申します。今回は、「そもそも司法書士とは何者なの?」ということをお話したいと思います。

■不動産投資をする際に接点がある士業

士業(しぎょう)という言葉は、あまり聞きなれない言葉かもしれません。弁護士、税理士、不動産鑑定士、公認会計士、行政書士、社会保険労務士(社労士)、土地家屋調査士、弁理士など最後に「士」のつく職業の総称で、司法書士もその士業の一種です。

不動産投資をする際、みなさんに接点がある士業は、司法書士の他に税理士、弁護士、土地家屋調査士、不動産鑑定士といったところだと思います。みなさんは、ご自身の周りに何人の士業を置いていらっしゃるでしょうか? 堅実な不動産投資を行う上で、これらの専門家を傍らに置き、中立で確実な情報を得ることのメリットは非常に大きいと言えます。

例えば、司法書士の立ち位置は、不動産取引の安全化・健全化のために不動産取引を監視しながら当事者の権利を守る国家資格者だと私は考えています。不動産投資には売主、買主、金融機関など、当事者が複数おり、各当事者のリスクや利益は相反します。だからこそ、それぞれのリスクを平等にヘッジするためには不動産取引において、司法書士のような中立の立場の者が必要となります。

■各士業の業務内容

○司法書士
業務内容:登記代理(不動産、法人)、訴訟代理(簡易裁判所)、財産管理(後見)、相続財産
不動産投資との関わり:不動産の売買の立ち合いや登記、法人設立登記

○土地家屋調査士
業務内容:不動産登記代理(建物新築時、土地分筆)と測量
不動産投資との関わり:建物新築時の測量や登記、土地の測量や分筆登記、境界立会

○不動産鑑定士
業務内容:不動産の鑑定
不動産投資との関わり:不動産鑑定が必要な場合

○税理士
業務内容:税務代理、税務相談、会計
不動産投資との関わり:会計事務や所得税、相続税、その他不動産に関わる税の申告

○弁護士
業務内容:訴訟代理、財産管理、その他幅広い代理
不動産投資との関わり:訴訟代理や争い事があった時の代理

■各士業の顧問料や相談料について

専門家の見解を得るには、顧問料や相談料のコストがかかるから、自分で調べた方がお金がかからずに済むという考え方もあると思います。しかし、書籍やインターネットにある情報は一般的な知識であることが多く、その一般的な情報が自分に当てはまるのか判断に困ることも多いと思います。

士業によっては、顧問料がなかったり、相談も無料だったりすることがあります。業務の性質が継続的な士業は顧問料が発生し、スポット的な士業は顧問料が発生しないという傾向がありますので、整理してみましょう。

■各士業の顧問料・相談料

○司法書士
顧問料:不動産投資に関する業務では基本的に顧問料は無し、依頼ごとにスポット的に報酬が発生するのが通常
相談料:定期的に依頼していれば無料で相談できることが多い

○土地家屋調査士
顧問料:不動産投資に関する業務では基本的に顧問料は無し、依頼ごとにスポット的に報酬が発生するのが通常
相談料:定期的に依頼していれば無料で相談できることが多い

○税理士
顧問料:基本的に顧問料は発生する
相談料:初回のみ無料相談や特定サービス限定の無料相談ができたり、顧問契約なしのスポット有料相談ができる税理士もいる

○弁護士
顧問料:基本的に顧問料は発生する
相談料:初回のみ無料相談や特定サービス限定の無料相談ができたり、顧問契約なしのスポット有料相談ができる弁護士もいる

■士業の中の司法書士

では具体的に、司法書士とはどのような資格なのでしょうか?

司法書士試験の合格率は3%程度で、難関の部類に入っています。試験科目は11科目あり、すべて必須科目となっています。ちなみに、具体的な試験科目は、(1)憲法(2)民法(3)刑法(4)会社法(5)不動産登記法(6)商業登記法(7)民事訴訟法(8)民事執行法(9)民事保全法(10)供託法(11)司法書士法と非常に幅広くなっているのも特徴です。

この幅広さが、実際の業務にも影響しています。

人数で言うと、全国の司法書士の登録数は約2万人です。税理士登録者数は約7.5万人、弁護士登録者数は約3.5万人、不動産鑑定士は8000人強ですので、税理士や弁護士と比較すると数が少ないことがわかります。

■司法書士の業務を投資家が自分でやることはできるのか?

これは、弁護士、税理士等の士業全般に言えることですが、司法書士も代理人に過ぎないので、ご本人が自身で業務を行うこともできます。簡単な法人登記や相続登記は本人以外の他者が関わることなく単独で行うことができます。こうしたものは、登記にミスがあったり時間がかかったりしても他人に迷惑が掛かりません。

何度も法務局に足を運び相談をしながらミスをしながらゆっくり進めていけばよい類のものなので、ご自身でやりやすい登記だと思います。ただし、ある程度の法律用語の知識がないと、と法務局との打ち合わせでは少し困ってしまうかもしれません。

一方、不動産売買のように、売主と買主、融資銀行など関係当事者が自分以外にもいる場合、ミスがあると他者に迷惑が掛かります。迷惑=損害ということなので、損害賠償請求の対象にもなり得えます。

特に、融資銀行がある場合は司法書士以外の方に登記を任せることは100%ないと言えます。融資実行と抵当権設定登記はセットであり、登記に不備があることは許されず、我々もミスが1回でもあればその銀行との取引はなくなるくらい登記は重要視されています。

融資銀行がない場合の売買では、司法書士に依頼せず売主と買主だけで登記申請するケースもあります。この場合の登記ミスのリスクは当事者(主に買主)が背負うということになりますが、そのリスクをきちんと認識したうえで本人申請を選択していることは少ないと思います。

経験上、所有権が実際移転していないのに所有権移転登記がされている(公文書偽造の可能性)、逆に、所有権は移転しているのに移転登記をしていないというケースもありました。所有権移転登記を行わなければならないという義務は法律上なく、登記をする・しないは当事者の自由です。

ただし、登記をしないと不動産の所有権を主張することができません(民法177条)ので、高額なお金を払って不動産を買ったのにその所有者であることを主張すらできないのはデメリット以外の何物でもありません。多くの人はそのデメリットを知らずに登記していないものと思われます。

訴訟に関しても本人訴訟が認められています。司法書士が裁判関係の書類だけ作成して訴訟行為(法廷での弁論など)は本人が行う場合もあります。ただし、これも民事訴訟法等の知識が必要となりますし、裁判は単独ではなく相手方がいるものなので、素人だからと言って裁判所がそれを考慮することはなく、結果知識がないために自分に不利益な判決になる可能性があります。

財産管理は、本人が財産を管理できない場合に他者に管理をしてもらう行為なので、ご本人がすることはないと思いますが、司法書士ではなく親族の方が行うことも多くあります。

しかし、最近では裁判所は親族を後見人等に選任せず、司法書士等の専門家を選任するケースが増えてきています。法律知識のない人が他人の財産を管理することには限界があるという見解の現れだと思います。

■司法書士に依頼しなかった場合のリスクとは?

司法書士に依頼しないということは、リスク回避を中立的かつ的確に行う人がいないということになるので、様々なトラブルが生じる可能性があります。例えば、なりすまし詐欺の被害、ミスが発生した場合の損害賠償訴訟、不実の登記を行う公文書偽造事件などです。

また、個人の売主と買主が司法書士無しで不動産売買をして、2人で代金決済をするといった場合、買主は売主から提示された登記必要書類に不備が無いことに確信をもった上で代金を支払うことができなくなります(そもそも書類に不備があるかもしれないと思うことさえないように思います)。

代金を支払った後で登記申請をしたが、不備があり却下になった場合は損害賠償訴訟に発展する可能性があります。また売主が所有者本人であることを確認するスキルも持ち合わせていないと思うので、なりすまし詐欺の可能性も高まります。

さらに、実際には所有権が移転していないにもかかわらず登記の書類だけを整えて所有権移転登記を申請することも、司法書士が介在しなければ可能です。これは公文書偽造となる可能性があります。このようなことが増えると、不動産業界全体が不健全になっていき、結果的に個人投資家も危険にさらされることになります。

■不動産投資のパートナーとしての司法書士

司法書士の業務は、範囲が広く、投資家の人生全般にかかわることになります。

私は、「現在」築き上げている資産を、「老後」においてもしっかり守り、最終的には「次世代」に引き継ぐところまでを視野に入れた不動産投資のパートナーとなれる存在が司法書士だと思っています。

特に老後以降では投資家の方のプライベートに深くかかわる仕事が多くなってくるため、早い時期から信頼できる司法書士を見つけ、傍らに置くことは次世代によりよい形で資産を残すためにはとても重要なことの一つです。

さらに、顧問料が発生しないというのもメリットだと思います。まだまだ少数ですが、司法書士をうまく使っている堅実な不動産投資家の方はたしかにいらっしゃいます。

では、なぜ現在司法書士をうまく使っている不動産投資家が多くないかと言えば、それは、そもそも個人投資家の身近に司法書士がいないからと言えます。不動産投資の入り口で関わることになる司法書士を自分で指名できず、銀行や業者にお任せ、あるいは指定された司法書士にそのまま依頼するという方が大半ではないでしょうか。

銀行や業者は普段から使っている司法書士に頼むのが楽ですし、自分寄りのスタンスで仕事をしてくれますから、それぞれの提携司法書士に依頼します。

しかし、依頼を受ける側の司法書士としては、個人の投資家さんから来た依頼の方が投資家さん寄りの目線で仕事ができます。登記費用は売主や買主が負担しますし、登記や立ち合いも元々売主や買主のための手続きですので、本来であれば、権利を取得する買主が司法書士を指名するのが筋だと思っています。

業者や銀行が司法書士を決めるというのは業界の古くからの習慣でそうなっているのですが、私個人的には悪しき習慣だと思います。司法書士も公共性があるとは言え、仕事を回してくれる不動産業者や金融機関目線になりがちになり、本来の個人投資家の権利を守るという姿勢が保てなくなることがあるのです。

■司法書士の業務範囲

○投資家の方の年齢が60歳位までの資産形成ステージでの業務
1.不動産売買にかかわる決済立ち合いや不動産登記
2.資産管理法人などの法人登記
3.ローン完済時の担保権抹消手続き
4.住所変更登記

○投資家の方が老後迎えたときの業務
1.相続準備としての遺言書の作成
2.相続準備としての生前贈与登記
3.老後に寝たきりになってしまった場合の財産管理
4.老後に認知症になってしまった場合の財産管理(後見)

○投資家の方が人生を終え、次世代に資産を引き継ぐステージ
1.相続財産全般の管理
2.銀行、証券、不動産などの相続財産の名義変更手続き
3.遺産分割協議支援
4.相続不動産の売却代理
5.相続放棄手続き

■司法書士は投資家にとって存在感が薄い?

このように、司法書士は、不動産投資家にとって、不動産売買では必ずかかわることになる他、相続に代表されるように、人生の様々な場面で関わりを持つことになります。それにもかかわらず、司法書士は存在感が薄い印象がないでしょうか?これは、昔から続く司法書士業界の構造が影響していると思います。
角野 響

最終更新:3月13日(火)20時00分

不動産投資の楽待

 

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不動産投資の楽待

株式会社ファーストロジック

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