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SDGsとESG~いかに投資評価に組み込むか(日本ベル投資研究所)

3月12日(月)14時47分配信 アイフィス株予報

・企業も投資家も、SDGsをどのように受け入れていくか。わが国の目標は、企業の稼ぐ力の向上にあり、そのための政策として、コーポレートガナンスの改革が実行された。コーポレートガバナンスコード、スチュワードシップコードは多くの企業と運用機関に取り入れられ、推進されている。

・SDGs(持続可能な開発目標)は、2015年に国連総会で採択された。2030年に向けて、世界が取り組むべき社会的課題として、17の目標を掲げている。17の目標に異論はないだろうが、個々の企業がそれをどう取り扱っていくのか。ここがなかなか難しい。

・SDGsの17の目標とは、①貧困をなくそう、②飢餓をゼロに、③すべての人に健康と福祉を、④質の高い教育をみんなに、⑤ジェンダー平等を実現しよう、⑥安全な水とトイレを世界中へ、⑦エネルギーをみんなにそしてクリーンに、⑧働きがいも経済成長も、⑨産業と技術革新の基盤をつくろう、⑩人や国の不平等をなくそう、⑪住み続けられるまちづくりを、⑫つくる責任つかう責任、 ⑬気候変動に具体的な対策を、⑭海の豊かさを守ろう、⑮陸の豊かさも守ろう、⑯平和と公正をすべての人に、⑰パートナーシップで目標を達成しよう、というものである。

・国連のグローバルコンパクトでは、企業に対して、1)人権(擁護や非侵害)、2)労働(強制、児童、差別の廃止)、3)環境(予防、責任、技術開発)、4)腐敗(贈収賄防止)に関して、10の原則を定め、その遵守を求めている。

・PRI(国連責任投資原則)では、機関投資家に対して、6つの原則の履行を求めている。その骨子は、ESGを投資プロセスに組み込み、開示し、実行を働きかけ、活動を報告するという内容である。

・その観点で日本をみると、ESGの中のGについてはホットないイシューとしてさまざまな場面で語られている。EとSは従来からCSR活動の中で捉えられているが、企業によって活動の差は大きい。今年の政府の政策では、働き方改革が目玉となり、生産性の向上が大きなテーマとなって、Sにも注目が集まっている。

・環境について、日本は従来から力を入れてきたが、原子力発電所の事故以来、エネルギー政策をどうするかについて、合意形成が十分でない。原子力発電を一定の規模で利用し、CO2の削減に貢献するというのが国の基本方針であるが、多くの原子力発電所はまだ止まったままである。企業は自然エネルギービジネスに取り組んでいるが、補助金によるサポート付なので、規模としては十分でない。

・日本では、統合報告書を作成する企業が300社を超えてきた。その点でみると、従来のアニュアル(財務中心)レポートとCSR(企業の社会的責任)レポートを合体するという動きは活発である。しかし、統合思考(Integrated Thinking)は不十分であり、新たな企業価値創造に向けたビジネスモデルの強化や描き方も十分ではない。

・その中で、SDGsをどう取り扱うか。先進的な企業は、自社の中期計画の中に、ESGを明確に取り入れ、KPIを定めている。しかも、全社的にSDGsとの結びつきを取締役会で議論し、各事業の戦略に組み込んでいる。オムロンはその代表的な企業である。

・SDGsを通して、社会の課題を見定め、自社のビジネスモデルの中で、そのソリューションを提供するという戦略を組み込んでいる企業は今のところ少ないが、これから増えていこう。

・現在は、一部の先進的企業がそれをスタートさせた。多くの有力企業はSDGsについて学び始めているが、自社の経営戦略に本格的に組み込むところまでには至っていない。今行っている事業活動の中で、SDGsと関連するところを取り上げ、その連携を対外的に説明していこうというレベルである。

・そして、大半の企業にとっては、SDGsとは何か、自社で何か活動をする必要があるのか、国の方針でまた何かやらされるのか、という疑問や懸念が先行しており、さほど積極的ではない。

・投資家はどうか。ESGの投資手法にはさまざまなものがある。その中で、1)ネガティブスクリーニング(基準を満たさない企業は除外)、2)ESGインテグレーション(財務情報に加えて、ESGも1つの重要ファクターとして考慮)、3)エンゲージメント(議決権を通して働きかけ)の3つが現在の主力である。

・PMIとPwCは、SDGsの達成も視野に入れたESG投資の考え方として、①リターン、②リスクに加えて、③SDGsインパクトを加えた3次元モデルを提案している。SDGsの社会経済への影響を1つの軸として組み込もうという考えである。

・これに関連して筆者は、企業は、投資家に中長期の企業価値創造の仕組みと戦略をもっと語ってほしい、と主張している。中長期の価値創造の仕組みがビジネスモデルであり、新しいビジネスモデルをどう作り込むかが戦略である。

・ESGについては、現段階において、企業を評価する時の4つの軸の1つにESG組み込む‘ESGインテグレーション’が、株式のアクティブ運用では望ましいと考えている。4つの軸とは、①経営力、②成長力、③サステナビリティ(ESG)、④リスクマネジメント、である。

・SDGsがなぜ重要なのか、という観点からさらに踏み込んで、どのように自社の企業価値創造に組み込んでいくのか、に注目している。社会貢献としてのSDGsはありうるし、それはそれで重要であり、投資家も認めよう。

・しかし、多くの投資家は、SDGsが企業価値の向上にどう結びつくのかが分からない。わからないものは評価できず、無視する。これをいい方向に持っていくように、アクティブに活動する必要があり、SDGsと企業価値創造との結びつき(コネクティビティ)が問われていると認識している。
日本ベル投資研究所

最終更新:3月12日(月)14時47分

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