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成長期待の「名古屋」なのに失敗するのはココだ

2月22日(木)20時00分配信 不動産投資の楽待

(写真:不動産投資の楽待)
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(写真:不動産投資の楽待)
「愛知・名古屋は、今後の不動産投資において狙い目である」―。少なからずこんなうわさを耳にしたことのある投資家もいるだろう。楽待編集部が昨年11月に実施したアンケートでも、「一都三県以外の狙い目エリア」として、愛知県名古屋市が第1位に輝いている。

実際、同県在住の投資家の多くも「まだまだ投資先として期待が持てる」と述べる愛知県。しかし、その「愛知ブランド」だけを頼りにすると、痛い目を見るケースもある。投資対象として人気の名古屋で、「失敗の可能性がある」エリアは? 注意すべきポイントとは? その実態を現地取材で明らかにした。

■「リニア」2027年に控え

愛知県が狙い目と言われる理由の一つには、何と言っても「リニアの開業」がある。2027年、品川―名古屋間を結ぶ中央新幹線いわゆる「リニア新幹線」が開業し、東京から名古屋へ約40分で行くことができるようになる予定だ。

そんな状況も相まって、名古屋駅前を中心として愛知県内は再開発ラッシュに沸く。特に名古屋駅周辺は大規模なビルが数多く新たに建設され、商業施設やホテル、賃貸住宅などが入る計画となっている。

名古屋市内では港区に「レゴランド・ジャパン」が開業したことも記憶に新しいが、こういった名古屋港周辺や、名古屋駅に次ぐターミナル駅である金山駅周辺でも開発計画が進行。また、長久手市や豊田市といった多くの他自治体でも再開発事業が実施されている。

人口も右肩上がりで推移しており、2008年に約739万人だった人口は、2018年1月1日現在、約753万人となっている。愛知県が2015年に策定した「人口ビジョン」によると、同県の総人口は戦後一貫して増加傾向にあり、また、若年層を中心として転入超過が続いているという。将来の人口については2020年までは増加傾向にあると予想されているが、すでにその予想値を上回る人口増となっている。

■「トヨタ」狙いなら「豊田」以外?

このような状況を踏まえ、愛知県に多数の物件を持ち、年間家賃収入1億円を超える安藤新之助さんは、「よく、ほかの投資家から『愛知以外で投資をしないのか?』と聞かれるんですが、やる必要はないですね」と断言する。「まだまだ伸びるし、むしろここでしっかりと基盤を築いて投資したほうがいい。愛知県はそのくらい魅力のある場所だと思います」

そんな中でも、安藤さんが「狙い目」として特に挙げるのが「三河」地区だ。「トヨタのグループ企業であるアイシン精機やデンソーの本社は、刈谷市にあります。これらの企業は世界的にもシェアを持つ非常に体力のある会社です。刈谷市、安城市は非常に底堅い需要があります」と話す。

また、名古屋市在住の投資家・大友カツトシさんは「豊田市のトヨタ本社をはじめ、トヨタグループに勤めている人はもちろん名古屋市内にも多いですが、知立市や安城市、刈谷市に住んでいる人も多いですよ」と語る。それは、これらのエリアが名古屋駅へのアクセスが豊田市内よりもいいからだ。

「知立や安城、刈谷へは名古屋から名鉄も通っていますし、JR東海道本線も使えます」(大友さん)といい、安藤さんも「豊田市へはバスの本数もあまりなく、また電車も1時間に数本しかありません。こうしたアクセスの悪さがあるうえ、最近は開発が進んできて以前よりは多少良くなりましたが、トヨタのイメージほど商業施設もあまり充実していない、不便さを感じるまちなので、転勤で来た人は別のまちに住むほうが多いでしょうね」。

愛知県の産業として筆頭にあがる「トヨタ」だが、その本社のある豊田市の物件購入には注意すべき点も多そうだ。

■「鉄板」な地下鉄沿線はどこなのか

愛知県内に住み、同県内を含め7棟を所有する投資家・かっちんさんが言及するのは、名古屋の中心部が、これまでの「栄」から「名古屋駅」にシフトしているということだ。「今までにぎわっていた栄の商店街がかなり人が少なくなってきた」「栄の店は焦りがすごい」といった声も聞かれる。

「これまで名古屋駅は軽視されてきましたが、今はもう『名古屋駅にはどのように出られるか?』といった基準で住むところを選ぶようになってきています。そういう意味では名古屋駅に直結しており、今まで日の目を浴びなかったJR関西線や、あおなみ線、近鉄線の沿線も、場所によっては仕込み時の可能性はあります」(かっちんさん)

それでも、名古屋市営地下鉄の沿線は手堅い需要を誇る。名古屋市内には6本の地下鉄が通っているが、その中でも「格が違う」(大友さん)と言うのは地下鉄東山線。沿線の「覚王山」や「本山」「東山公園」といったエリアは高級住宅地として有名で、需要は底堅い。

かっちんさんは「このあたりにはトヨタを含め、転勤族の人が多いんです。それは、この東山線沿線、名古屋から星が丘あたりの学区が非常に人気の学区だからです」と解説する。安藤さんは「所得の高い転勤のファミリーなどが住むエリアなので、家賃相場は県内でも高め。こうしたところに『いい』物件を持てると強いですね」。

だが、その需要の高さが裏付けとなって物件価格は高めだ。県内の全体的な利回りは「融資が通る人が少なくなった影響で、0.3~0.5%程度は上昇していると思います」と見る安藤さんも「人気のエリアは、強気の物件価格が引き続いていますね」と述べ、大友さんも「今となっては、このあたりは手が出しづらい」。

さらに、河村たかし名古屋市長は東山線の名古屋駅と伏見駅の間に新駅「柳橋駅」を設ける構想を明らかにしている。同駅の新設は60年以上前にも検討されたものの、利用者が見込めないとして実現しなかった経緯がある。だが、「先日、市長が建設候補地を視察していました。この状況ですから、新駅が設置されれば需要は高いでしょうね」と大友さんは指摘した。

■「お値打ち感」のある長久手市

スウェーデンの家具量販店「IKEA」が東海地方で初進出した長久手市。「住みやすい」との評判もある同市では、人口も着実に増えているが、投資先としてはどうだろうか。

「あこがれるような場所ではありませんが、新しく、きれいなまちというイメージが強いですね。住みやすさはわかります。これからも伸びていくんだろうな、という印象です」と語るのはかっちんさん。安藤さんは「長久手市はお値打ち感がありますよね。高級住宅地の名東区と隣り合わせですが、家賃相場は1万円以上変わってきます。住みやすく、環境もよく、交通の便も悪くない。商業施設も増えてきて、新婚世帯なんかは非常に多いですよ」と話す。

家賃相場は隣のエリアより1万円以上下がってしまうが、ターゲットを誤らなければ需要は手堅い。だが、愛知県内に5棟を所有する専業大家・大家タッキーさんが懸念するのは、長久手市では人口増を上回るペースで新築アパートが建設されており、需給バランスが崩れつつあることだという。

現地が実際にどのような状況であるのか、自身の目で確認してからの投資が安全への一歩となりそうだ。

■「名古屋」だからと言って失敗するエリア

愛知・名古屋は成長が見込めると話す一方で、「名古屋だからと言って買ってしまうと失敗するだろうな、と思うエリアはありますよ」と愛知県在住の投資家は口を揃えて指摘する。

例えば、安藤さんは「名古屋市内でいえば、守山区、港区、南区、中川区あたりは入居付けに苦戦するのではないでしょうか」と述べる。地下鉄が走っていないなど、利便性が悪いこともその理由の一つだ。

その中でも特に「庄内川より西側は厳しいと思います」と述べるのはかっちんさん。庄内川より西側は、イメージする「都会」の名古屋市とはまた異なったエリアだという。「特に愛知県外の投資家は『名古屋市内』だからといって安心できないと知っておいてほしいですね」とかっちんさんは語る。

また、さらに西にいった稲沢市、愛西市あたりを安藤さんは「かなりの田園地帯」と指摘。しかし、安藤さんによると現在同エリアの物件が多く出回っているという。それらの物件は、築年数が比較的新しいにもかかわらず、利回りが8%以上あるという。安藤さんは「土地も広いですから、積算価格も高い。

そういった物件を、結構多くの投資家が買っていると聞いています。しかし、このエリアでの賃貸経営は難しいでしょうね……」と危惧。需要が少ないため、単身者向けだけでなく、ファミリー層向けでも苦戦するだろうとみている。

■「家賃水準が安い」を学生にアピールする市

かっちんさんがもう一カ所入居付けの難しいエリアとして挙げるのは、豊橋市だ。豊橋駅は新幹線停車駅でもあり、中核市でもあるが、そのイメージで物件を買ってしまうとかなり危険だという。

「トヨタ関連の工場はあるので製造業が盛んなのですが、最近は売り物件が大量に出ています。豊橋市には愛知大学豊橋キャンパスがありますが、2012年、本部機能など大部分が名古屋市内に移転したために、学生向けのアパートがガラッと空いてしまって、それで手放した方が多いみたいですね。栄えているというイメージで物件を買ってしまうと、失敗してしまうかもしれませんね」

また、豊橋市の家賃水準はかなり低く、大学側が「豊橋は家賃が安いから、一人暮らしがしやすい」などと学生に向けたアピールとして活用するほどだという声もあり、仮に入居がきちんとつく物件であっても、思ったほど収入が得られない可能性は高い。

■地価が上がり続ける注目スポットだが……

中部国際空港のある常滑市を含む知多半島について、安藤さんは「最近ちょっと強くなってきていますね。空港の周辺は商業施設が増えています。3~4年前に土地の坪単価は13~14万円だったのが、今20万円を超えている。さらに3~4年後には40万円ほどになるんじゃないかと言われていて、注目スポットではあります」と話す。

だが、安藤さんは「懸念点が1点あります」と述べる。それは、こういった開発が急速に進むエリアには大手不動産会社が参入してくることが多いという点だ。

「僕は、郊外で行われる再開発は慎重に見るようにしています。新築がバンバン乱立して、市場が崩れるという行く末がなんとなく見えてきてしまいますね」

大家タッキーさんも同様の指摘をしている。「常滑は正直いまいちだと感じています。空港ができてからしばらくはおとなしかったんですが、最近動きが活発です。しかし、それに見合うような利便性があるかと言われれば、正直アクセスは悪いです。中心部が栄から名古屋駅に移ってきたことでJR沿線も今後日の目を浴びるでしょうが、知多半島のJRはまだまだ弱いと思います」

また、大家タッキーさんによると、日本福祉大学のキャンパスがある美浜町も、やはり空室が目立つという。「美浜キャンパスがなくなるという話は聞こえてきませんが、相当学生数は減少しているみたいです。周辺の学生向けアパートもかなり空きが出ていて、学生専用だった物件に社会人を入れているところもありますよ」

■「愛知県外に出たくない」学生たち

「もともと、愛知県の人は県外に出たくないと思っている人が非常に多いです」と述べるのは大家タッキーさん。多くの一流企業が名古屋市をはじめとして愛知県内に本社を構えるが、そういった環境もあってか、愛知県内の大学に通い、卒業後も愛知県内の企業に勤める人が多いそうだ。

かっちんさんも「そもそも、大学も『自宅から通える範囲で通う』という発想の生徒は非常に多い。他県の人からすると、考えられないくらいじゃないでしょうか」と指摘する。

県内で育った学生が県内の大学に通うからといって、決して一人暮らしをするわけではない。大学近くの学生向けアパートの需要は、主に県外出身の学生向け、あるいは留学生向けといった物件のほうが強そうだ。

また、そのまま県内の企業に就職するのであれば、賃貸物件に住み続けるより、自宅を買おうと思っている人もいるだろう。こういった情報を知らないで投資してしまうと、ターゲット層を誤り、失敗の原因となるため注意が必要となってくる。

■管理会社は地元を理解しているか

特に県外の投資家が愛知県を投資対象として選んだ場合、どのような部分に注意すべきか。この点について、安藤さんは「愛知は『ムラ社会』的な部分が残るところも多いので、注意してください」とアドバイスする。

「隣地のリサーチは十分しておいた方がいいと思いますよ。少し排他的な面があって、例えばオーナーチェンジで物件を買ったとすると、隣の家の住民や自治会の人が『オーナーが替わったのにあいさつに来ない』と入居者に文句をつけることもあるんですよ」

近隣や自治会との関係についてしっかりと理解し、フォローしてくれる管理会社に依頼できるかどうかが重要だと安藤さんは指摘する。また、自主管理を行う場合には、オーナー自身の気配りが必要だ。

「しっかりと管理をしてくれる会社じゃなければ、入居者が困ってしまう。そうすると、せっかく入った入居者が出て行ってしまうことになる。ちょっと面倒かもしれませんが、賃貸経営においては重要な点ですからしっかり力を入れたい部分ですね」(安藤さん)

■「愛知」「名古屋」に惑わされず

これまで、投資先としての愛知県がどうなのかということについて多方面から見てきたが、やはり多くの投資家が指摘するのは「今後の成長が見込める」という点だ。具体的な地名もいくつか挙がっている。

一方で、多くの投資家や不動産会社が参入すれば、それだけ競合が増え、需要と供給のバランスが大きく崩れる恐れはある。実際、全国的な流れの一つとして、「愛知県内でもちょっと郊外に行けば大手サブリース会社の新築アパートがかなり乱立してきた」という声も聞かれた。

「愛知」「名古屋」といった地名や住所に惑わされることなく、実際に現地がどのような状況なのか。また、ターゲット設定は本当に正しいのか。不動産会社の話や噂をうのみにすることなく、自身の目で見て判断を行うことが重要だ。
不動産投資の楽待 編集部

最終更新:2月22日(木)20時00分

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