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「相乗りタクシー」申し込んでみたけど……国とタクシー会社が実証実験開始

1月30日(火)16時30分配信 THE PAGE

[写真]「相乗り」タクシーを申し込む日本交通のアプリ画面
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[写真]「相乗り」タクシーを申し込む日本交通のアプリ画面
 国土交通省は24日から、複数の乗客が相乗りすることで運賃が割安になる「相乗りタクシー」の実証実験をスタートさせました。同乗者を見つけるための待ち時間はかかるものの、実験に参加するタクシー会社によると、通常の約20~40%安い料金で利用できるといいます。3月11日までの間、「東京都23区」「武蔵野市」「三鷹市」エリアで、相乗りタクシーを利用できます。

 そこで、実証実験2日目の25日、実際に乗ってみようと相乗りタクシーを申し込んでみました。

●「相乗りタクシー」とは?

 今回、実証実験を行う「相乗りタクシー」とは、配車アプリを使って複数の利用客が1台のタクシーに相乗りできるサービスです。タクシー需要が年々減少し続ける中、タクシー業界側は需要を喚起する策を検討、その1つが相乗りタクシーでした。国交省によると、こうした業界の前向きな取り組みを国としても支援するため、今回の実証実験に至りました。

 国交省が、東京都内のタクシー会社を対象に参加を募った結果、タクシー大手の大和自動車交通(東京都江東区)グループ4社(649両)と日本交通(同千代田区)グループ11社(300両)が手を挙げました。

●2社の「相乗り」に申し込む

 1月25日の午前10時31分、編集部のある赤坂見附付近。午後2時から新宿にある東京都議会で取材があるので、試しに相乗りタクシーで行ってみようと考えました。

 相乗りタクシーを申し込むには、大和自交のタクシーなら大和自交のアプリ(iOS版・Android版)、日交なら日交のアプリ(iOS版のみ)をそれぞれ使います。アプリにはあらかじめ、氏名や携帯電話番号、クレジットカード番号などを登録。アプリで相乗りを申し込んだ後、同じ方向に向かう同乗客が現れたら、相乗りタクシーを利用できる仕組みです。分担する料金は、各利用客の乗車距離に応じてアプリが自動で計算。支払いはクレジットカードから引き落とされます。
[写真]予想料金は1450~2060円と表示
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[写真]予想料金は1450~2060円と表示
 まず、日本交通のアプリを立ち上げてみました。画面から「乗る場所」と「行き先」を選ぶと、予想料金は1450~2060円と表示されました。通常、赤坂見附と都議会付近の間をタクシーで移動する場合、これまでの経験則ではだいたい、安い時で2010円、高い時で2650円かかっていました。その際に利用していたのは、いずれも迎車料金(410円)のかからない流しのタクシーです。アプリで予約すると迎車料金が加算されるので、仮にこれで予約していたすれば、大体2420~3060円。相乗りが成立すれば、この仮定の料金よりも大体30~40%は割安になる計算です。

 料金のほか、待ち時間など表示された条件に問題はなかったので、「この条件で相乗り」ボタンを押して申し込みました。すると、画面上に「11:15までに相乗り可否が確定します」と表示されました。この日、午前10時現在の東京の気温は1.4度。アプリを操作しているのはビルの1階フロア内でしたが、それでも足元から寒さがじわじわと染み込んできます。他に同乗客が現れなかった場合は相乗りが成立しないので、大和自交と“二股”をかけようと考え、同社のアプリも立ち上げました。
[写真]大和自動車交通のアプリ画面
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[写真]大和自動車交通のアプリ画面
 大和自交の場合、相乗りタクシーにはどこからでも乗れるわけではなく、乗車できるポイントがあらかじめ都心部を中心に30か所定められています。アプリ画面を見ると、赤坂見附付近に1か所あったので、そこを選択し、行き先を指定します。表示された料金は、「1名乗車」の場合で3390~3470円。「2人乗車」「3人乗車」の場合の料金欄もあり、同乗者が増えるたびに表示される料金が安くなります。

 申し込みボタンを押すと、現在ほかの相乗り客を募集しているらしく、その最終締め切りは午前11時と表示されました。あと20分です。

 午前11時になると、大和自交から「相乗り不成立」の連絡が入りました。再度申し込んでみます。今度の最終締め切りは午前11時30分と表示されました。

 そうこうしていると、午前11時15分に最初に申し込んだ日本交通からも不成立の連絡がありました。こちらも再度申し込んでみます。今度は午後0時までに連絡が入ると表示されました。

 しかし、大和自交の締め切り時間である午前11時30分に、再び不成立との連絡が。午後の取材に間に合うかどうか気になってきましたが、あらためて申し込みます。今度の最終締め切りは午後0時。足先も寒さで少ししびれてきました。
[写真]両者から相乗り「不成立」の連絡が……
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[写真]両者から相乗り「不成立」の連絡が……
 そして午後0時過ぎ。両社から不成立の連絡が入りました。相乗りを申し込み始めてから約1時間半。これ以上続けると、約束の時間に間に合わないので、やむなく利用を断念しました。午後の予定が終わってから、今度は逆のルートで相乗りタクシーを申し込みましたが、2時間半かけても成立には至りませんでした。

●利用者の数を増やすのがカギ

[写真]東京ハイヤー・タクシー協会の川鍋一朗会長
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[写真]東京ハイヤー・タクシー協会の川鍋一朗会長
 タクシー業界は、この相乗りタクシーを、運転手の自家用車を使って利用客が相乗りするサービス「ライドシェア」対策の一環と位置づけます。世界各国では、米国のウーバー・テクノロジーズなどがライドシェア事業を展開していますが、日本の場合、代金を受け取って乗客を輸送するためには、国から事業許可を受ける必要があるため、ライドシェアは「白タク行為」、つまり違法です。ただ、政府の規制改革推進会議でライドシェア解禁の議論も行われており、今後どうなるかは分かりません。

 1月18日の記者会見で、タクシー業界団体の東京ハイヤー・タクシー協会長で日本交通会長も務める川鍋一朗氏は「相乗りタクシーは、1人で乗るよりは安く、生産性も高いかたちで運送できる画期的な方法。ITで武装することで(ライドシェア企業と)同じ利便性を提供しつつ、日本のタクシーの強みである安心・安全も引き続き追求したい」と話していました。

 一方、タクシー業界誌の編集長(50)は「申し込んだ時点ではただ予約しただけ。実際に乗れるのかどうかがわからないのは難点」と課題を指摘します。今後、相乗りタクシーを定着させるためには、その存在とメリットを世間に一層知らしめて、より確実に利用できるよう利用者の数を増やす必要がありそうです。

(取材・文:具志堅浩二)

最終更新:2月5日(月)5時56分

THE PAGE

 

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