ここから本文です

購入物件が「未登記」だったら、どうする?

1月23日(火)20時00分配信 不動産投資の楽待

(写真© fusho1d-Fotolia)
拡大写真
(写真© fusho1d-Fotolia)
不動産投資をしていて、意外と遭遇することがあるのが「建物の未登記」ではないでしょうか。増築部分の未登記、一棟丸ごと未登記、更にはそこに相続や古い建物の滅失未了等が絡む物件などもあります。このような物件に遭遇した場合のリスクや対応策をまとめます。

■建物表題登記についての概要

不動産登記法上、所有者にはその工事完成後1カ月以内に、建物につき表題登記申請を行う義務が課されています。その申請を怠った者は10万円以下の過料に処するとも規定されています(不動産登記法第164条)。

しかし、実際に過料に課されたケースは皆無です。権利の登記と違い、表題部の登記については土地の分筆、合筆、建物の分割や区分、合体といった登記以外では、原則的に法務局の登記官にも職権登記が認められているからです。不動産の戸籍と言われる登記を、常に事実と整合させるための規定です。

とはいっても、実務上未登記の建物を放置していても自動的に登記官が全て登記するわけではありません。そのため、長年未登記のままの建物や増築部分についてその変更登記がされていない建物がいくつも存在します。融資制度が発展していなかった頃は現金支払いで建築する場合が多く、担保設定の必要もなかったことなどが理由となり、未登記のまま現在に至る建物があるのです。

■未登記建物、様々なケース

未登記建物といっても、実は様々なケースが存在します。

・一棟未登記
・増築部分が未登記
・未登記の建物で所有者が既に亡くなっている
・未登記で、さらにその土地に以前存在していた建物の滅失登記がされていない
・違法建築のまま未登記
・違法増築部分が未登記

未登記建物の殆どが古い時代のものであるため、そこへ相続問題が絡むことも少なくありません。また未登記の建物について途中で用途が変更されている場合や、増築を何度も重ねている場合もあります。さらには、違法建築であるため登記されていない建物も存在します。未登記の理由を調べていくと、違法建築だったと判明する場合がありますね。

収益物件として購入する場合には、いずれも注意をしなくてはいけないケースです。このような未登記建物を購入する場合には、どのような弊害があるのでしょうか。見ていきましょう。

■融資を受けられない未登記建物

建物の全部または一部が未登記である場合、購入希望者側として最もネックになるのが融資面です。登記のない建物には、所有権登記はもちろん抵当権の設定ができません。いくら所有権を主張しても、それが真の所有者かどうかを判断するための信ぴょう性はかなり低くなります。登記に公信力はないとされながらも、登記することで第三者への対抗力となります。

未登記建物につき万が一第三者から所有権の主張があった場合、借地権が発生することもあり得るため危険です。「そんなケース稀なのでは?」と思われるかもしれませんが、実際に取り壊し予定の小さな未登記建物込みで購入した土地で、取引後、元の所有者が知らぬ間に表題部登記を行い、さらに建物につき買い取り請求をされた事例もあります。

増築部分や離れ、付属建物の未登記についても同じです。現地と登記が整合していて初めて融資対象となり得る建物だと金融機関は判断します。

■原始取得者でないと登記申請も複雑

現金購入や、担保設定が不要な融資で購入する場合は、未登記のまま取引できることもあります。しかしその時点では良くても、その後売却を考えた場合は、次の買い手も現金で購入する人に制限されてしまいます。その時点でご自身が所有者として建物の登記申請や増築部分についての変更登記申請を行うことは可能です。ただし容易な作業ではなくなります。

建物の表題登記を行う場合には、その建物の所有者であることを証する書面を添付します。増築部分の変更登記についても同様です。書面は2種類以上の提出が求められます。建築確認通知書とその検査済証がある場合は、所有権証明書として最良の書類です。しかし未登記建物を購入した後でそのような書類はないでしょう。もともと売主すら、それらの書面を保持していないがために未登記のままになっていることが殆どです。

このような場合には、土地家屋調査士が建物とその登記関係を調査したうえで、管轄法務局の登記官と何をどのように提出すれば所有者と判断してもらえるのか打ち合わせます。その管轄法務局によって若干の違いはありますが、課税されていることの証明や成人2名以上の近隣住民からの証明書(実印押印、印鑑証明書付)や本人による上申書が必要になります。

最初に建物を建築した人からの登記申請だと、工事の引渡証明書や領収書や見積書等の何かしらの書類を持っていることもありますし、近隣住民へのお願いも新所有者よりもスムーズにいくでしょう。転売された後の所有者がこれらの手続きを行う場合では、費用も時間も無駄にかかってしまいます。

■未登記建物を登記すれば固定資産税が上がる?

実は、未登記建物については既に課税されているケースが少なくありません。市町村の固定資産税課では、航空写真等や現地調査を行い、未登記建物や未登記の増築部分を発見し、所有者に確認の上課税していきます。既に課税されている場合は登記された事項に差異がなければ税額は変わらないですし、登記申請の際には課税証明を所有権証明書として登記申請に添付することができます。

一方、固定資産税課で把握しきれておらず課税されていない未登記建物の場合は、登記完了後に課税対象とされます。遡っての請求には固定資産税課がその根拠を示す必要があるため、請求されないケースが多いようです。

■相続や滅失登記が絡む場合

未登記建物の場合、さらに複雑な事案を含む場合が少なくありません。

・未登記建物の所有者が既に亡くなっている
・未登記建物の存在する地上に過去に取り壊したはずの別の建物の登記が残っている
・滅失登記未了の建物に古い抵当権がついている

これに加え、相続人が特定できなかったり、未登記と滅失未了の建物の所有者が違っていたりということになってしまうと、もう未登記建物問題のフルコースです。かなり大変な作業で登記を整合していかなくては取引に持ち込めない状態です。

売却物件として預かった時点できっちりとこのレベルまで登記調査をする不動産会社も稀にありますが、実際の取引ではスピードが優先されることが多いので、残念ながら決済段階になって判明する場合が少なくありません。

■未登記建物を購入したい場合、どうすべきか

未登記建物に遭遇した場合、土地家屋調査士による調査を依頼することが先決です。その結果、未登記の状況や登記申請するための方向性が提案されます。売主側にその内容を伝え登記を完了した上で、取引の準備へと進めるべきでしょう。

土地家屋調査士に事前調査を依頼することで、未登記だと思われていたが既登記だと判明する場合もあります。長い年月の間の登記編製の流れで所在が行方不明になる建物が稀にあるのです。この存在を見つけることが出来るのは、土地家屋調査士でなければ無理でしょう。こういった場合は、登記されている建物の所在変更登記申請で済みます。

また現金決済で融資が絡まない場合でも、後に行う登記について手続きが煩雑化しないように、登記を整合させてから取引に持ち込むことを条件にすべきでしょう。もし売主が登記手続きを拒む場合は、決済後買主が登記申請するために全面協力する旨の特約を入れておきます。原始取得者として、その登記申請のための調査に応じることを条件に入れておくだけでも、手続きをスムーズに完了させることの助けになります。

未登記建物を登記する際の土地家屋調査士の費用は、一般的に200平方メートル以下の床面積で8万円前後です。それ以上の広さになると、現地を確認し見積もり計算する必要があります。滅失未了登記を含む複雑な案件と絡む場合は、追加の費用がかかります。

■所有する権利の明確化を重要視

取引の実務では未登記が原因となり購入が出来なかったり、出来たとしても後で登記について複雑な問題が絡んできたりします。そうならないように、未登記につき土地家屋調査士が登記整合の重要性を主張すると、取引実務業界の方からは間違いなく面倒がられます。不動産ではスピード取引が最優先されるからです。

しかし表題部の登記業務に携わってきた者としては、費用の節約や取引の早さを重要視するよりも自己の所有する物件について、その物理的内容を明確化し、登記に反映することのほうが大切だと考えます。未登記の建物に遭遇した際には、ぜひ参考にしてみてください。
片岡 美穂

最終更新:1月23日(火)20時00分

不動産投資の楽待

 

情報提供元(外部サイト)

不動産投資の楽待

不動産投資の楽待

株式会社ファーストロジック

最新記事を毎日更新

実際に不動産投資を行っている投資家の
「失敗談」や「成功談」をはじめ、
不動産投資をするなら必ず抑えておきたい
ノウハウを記事にして毎日配信!

【あわせて読みたい】

平均年収ランキング

ヘッドライン