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2018年“原油価格”占う3つのテーマ ―ベネズエラ、イラン、そして… <コモディティ特集>

1月17日(水)13時30分配信 株探ニュース

minkabu PRESS CXアナリスト 谷口 英司
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minkabu PRESS CXアナリスト 谷口 英司
―上昇トレンドいよいよ鮮明、マーケットの山場は初夏に―

●産油国対立で協調減産の先行きに不透明感

 2018年の原油市場を左右する主要なテーマは3つある。石油輸出国機構(OPEC)を中心とした協調減産の行方と、ベネズエラの経済危機や財政破綻リスク、イランにおける反政府感情の高まりや2015年の核合意の不透明感である。

 世界のエネルギー価格に影響する指標原油の一つであるブレント原油は節目の70ドルに到達した。原油価格の上昇トレンドは鮮明である。OPEC加盟国など主要な産油国による協調減産と、世界的な景気拡大に伴う石油需要の高まりによって、過剰な在庫が急速に取り崩されていることが原油高の最大の要因である。需給が引き締まり、価格が上昇するシンプルな構図で、値動きが勢いを得やすい。在庫動向は米エネルギー情報局(EIA)の週報や、国際エネルギー機関(IEA)の月報で確認できるため、余計な思惑が入る余地はなく、統計的な後ろ盾があることからトレンドが崩れにくい。

 ただ、協調減産に参加している産油国は、昨年のOPEC総会で合意した2018年末までの協調減産を予定通り実施すべきかどうかで割れている。昨年のOPEC総会の段階でこの相違は表面化しており、ロシアが譲歩する形で年末まで協調減産期間を延長することで合意に至ったのだが、先週あたりから減産期間の短縮派と短縮否定派の間で火花が散り始めた。米国のシェールオイル増産を過剰に刺激するほどの原油高を容認するかどうかが対立の主因のようだ。原油高で歳入が増加することを優先する産油国もあれば、将来的な供給過剰の再来を危惧する国もある。「在庫減=原油高」の構図に対立要因が交じると、残念ながらこのテーマのシンプルさは一気に失われる。

●窮地に陥った埋蔵量世界一のベネズエラ

 次に大きなテーマとなるのが、独裁国家ベネズエラの動向である。同国の原油生産量は一時日量300万バレル近かったが、チャベス前大統領の死去に伴ってマドゥロ大統領が就任した後、大きく落ち込んだ。調査会社S&Pグローバル・プラッツによると、昨年12月の原油生産量は日量170万バレルまで減少し、過去28年間で最低水準になったようだ。ベネズエラの国営石油会社(PDVSA)の設備投資不足が減産につながっている。財政難のため設備投資の回復は見通せない。同国の石油相は今年の原油生産量が日量240万バレル以上まで回復するとしているものの、減産基調から抜け出せるとは思えない。

 今年のベネズエラのインフレ率は3,000%ともいわれている。ベネズエラ当局はすでに公式な消費者物価指数(CPI)を発表しておらず、実態は定かではないが、ハイパーインフレに陥り、貧しい国民には飢えが広がっている。医療品は乏しく、暴力も蔓延していることから、死と隣り合わせであると言っても過言ではない。マドゥロ政権は原油を裏付けとした仮想通貨「ペテロ」を導入し乗り切ろうとしているものの、ただの悪あがきにしか見えない。いつどのようにしてマドゥロ政権は終わりを迎えるのか。ベネズエラに対する経済制裁を強化する可能性のある米国や、どちらかと言えばベネズエラを支援する側であるロシアや中国の動きが焦点である。

●初夏に原油市場は山場を迎えるか

 ベネズエラほどの窮地にはないものの、イランの今後は不透明である。国民の財産を蝕んだ金融詐欺をきっかけに、イランでは反政府デモが広がった。反政府デモが沈静化したとはいえ、景気回復は順調ではなく、国民の不満が解消されたわけではない。昨年11月のCPIは前年比+9.6%と高い伸びを維持しているうえ、7-9月期の失業率は11.7%と改善する方向にあるものの、高止まりの範囲内である。

 先週末、トランプ米大統領はイランに対する経済制裁の再開を見送った。イランの核開発を制限する2015年の合意から離脱しなかったものの、欧州諸国に対して制裁再開の見送りは今回が最後であると通告し、核合意の修正を迫った。ミサイル開発の制限を含めて合意内容が修正されなければ、米国は合意から離脱する可能性が高い。米政府は制裁再開の是非を120日ごとに米議会に報告するよう義務づけられており、決断は5月に持ち越された。

 米国の強硬姿勢によって、欧州諸国に注目が移った。再交渉拒否を表明しているイランを欧州諸国が説き伏せ、新たな合意の土台を作り上げなければ、イランの核開発を制限する合意は破綻する。米国がイランに対する経済制裁を再開するなら、イランは再び核開発を始める可能性がある。日量380万バレル超まで回復したイランの原油生産量は減産リスクと隣り合わせにある。

 6月22日にOPEC総会が予定されている。イラン核合意が5月に破綻する可能性があり、この時期が今年の原油市場の山場といえそうだ。ベネズエラの佳境はいつ訪れるのだろうか。

(minkabu PRESS CXアナリスト 谷口 英司)

株探ニュース(minkabu PRESS)

最終更新:1月17日(水)14時09分

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