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高度人材が日本では働きたがらない根本理由

1月13日(土)15時00分配信 東洋経済オンライン

日本はすでにIT人材不足に陥っているが、熟練のIT技術者を海外から呼び込むには難しい問題が山積している(写真:LimWeiJian / PIXTA)
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日本はすでにIT人材不足に陥っているが、熟練のIT技術者を海外から呼び込むには難しい問題が山積している(写真:LimWeiJian / PIXTA)
 人手不足が深刻化する中、日本では海外から単純労働者を受け入れる必要があると考えている人が多い。日本人がやりたがらない仕事をしてもらうためだ。しかし、熟練労働者についても、移民受け入れの必要性は少なくとも同じくらい存在する。

 これは単なる一例にすぎないが、日本はすでにIT人材不足に陥っている。しかも、状況は悪くなる一方だ。経済産業省が2016年に公表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によれば、日本のIT人材不足は2015年時点で17万人に達し、2020年までに30万人、2030年までに60万人近くまで拡大する見通しだ。2030年までに市場規模が144万人に達するのに対し41%もの不足が生じる。
■日本で働く障壁となるのは

 熟練のIT技術者を海外から呼び込まないかぎり、日本企業はIT人材が豊富な国へと海外移転を進めざるをえなくなるだろう。

 こうした人材を永遠に外国人労働者のままとするのか、日本国籍を取得する選択肢を与えるのかは、政治的に厄介な問題だ。

 難しい問題はほかにもある。まず、言語の壁だ。必要な人材の多くは、日本語よりも英語を話す可能性が高い。経営者は、言語障壁を乗り越える方法を見つけ出すのと同時に、海外から受け入れた従業員が日本での生活に困らないよう、生活に必要な日本語を確実に学べるようにする必要がある。
 日本のIT人材派遣会社・ウェブスタッフは、インドの名門校・インド工科大学(IIT)の学生をインターンとして採用し、長期雇用を視野に入れ日本企業で2カ月ほど働くプログラムを行っている。同社によれば、日本企業がインド人ITスペシャリストを雇うときに直面する最大の障壁の1つは言葉だ。同社の取り組みは、今後どのような問題が起きるかを示している。

 さらに難しい問題は、賃金体系や昇進といった日本の雇用システムの根幹にかかわるものだ。日本企業はすでに、人材獲得競争で外資系企業に負けている。外資系企業は、日本企業よりも高い報酬を支払うことに前向きだからだ。
 報道によれば、中国の通信機器大手・ファーウェイ(華為技術)の日本支社が理系の新卒大学生に対し月給40万円、修士号保有者に対しては43万円の初任給で募集をかけている。日本の大手電機メーカーのほぼ2倍の額だ。仮に、日本人の人材獲得競争で日本企業が外資系企業に負けているとしたら、海外の人材を日本に呼び寄せることなど、どうしてできるだろう? 

■専門家の給料も高くない

 SWエキスパーツによれば、日本で働くソフトウエア開発者の年収の中央値は4万0700ドル(約460万円)で、ほかの先進17カ国より低かった(2015年時点)。これは、日本では技術者に対しスキルに応じた報酬の上乗せがほとんど行われていないことが一因になっている。日本のソフトウエア開発者の給与は、通常の従業員をわずかに7%上回る程度だ。対照的に、米国では通常の従業員に比べ4割高い報酬が開発者に支払われている。ドイツでは33%、フランスでも21%、報酬は高い。
 1996年に設立され、現在5000人の従業員を抱える日本のソフトウエア企業・ワークスアプリケーションズはインドからIT人材を採用しようとしている。インドのIT人材の平均年収は5万4000ドル(約610万円)と、同国平均の9倍。同社がインドからIT技術者を呼び寄せるために提示する初任給は6万ドル(約670万円)だ。

 これは日本のIT人材の初任給を大幅に上回り、業界全体の平均に匹敵する。つまり、若いインド人に支払われる給与が、年上で勤続年数も長い日本人を上回る可能性があるということだ。
 報酬に差がありすぎて日本人従業員から不満が出ることになるのか。これより高い報酬を提示する非日系企業にインド人が転職しないようにするために、この金額で足りるのかどうか。こうした疑問に対する答えはまだ出ていない。

 だが、年功ではなく職務内容で給与を決めることが、日本企業の慣行に反するのは確かだ。海外からの労働力受け入れは、日本に幅広い変化を迫る可能性がある。
リチャード・カッツ :東洋経済 特約記者(在ニューヨーク)

最終更新:1月13日(土)15時00分

東洋経済オンライン

 

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