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「つみたてNISA」開始! 知っておきたいiDeCoやNISAとの違い

1月13日(土)20時10分配信 投信1

写真:投信1 [トウシンワン]
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写真:投信1 [トウシンワン]
遅ればせながら新年おめでとうございます。昨年は拙稿をお読みいただき感謝申し上げます。

さて、いよいよこの1月から「つみたてNISA」制度が開始されました。積立NISAについては、これまでも『積立運用に優遇税制開始!  どんなファンドに投資しますか?』、『積立NISA対象投信のラインアップ開始!  顧客本位の商品は出揃うのか?』等でとりあげています。ご興味があればあわせてご参照ください。

積み立てNISAファンドはバランス型の比率が半数弱

金融庁のウェブサイトによると、指定要件に適合するとして届出された投信は135ファンドで、そのうち指定インデックス投信が117本、アクティブ運用投信が15本、ETFが3本。投資対象資産別に見ると、資産複合型(バランス型)が合計58本と届出ファンドの44%を占めています。

届出要件が詳細にわたった結果として、インデックス型やバランスファンドに集中した感は否めません。これらバランスファンドの見分け方について詳しくは、拙稿『バランス型ファンド、どれを選ぶ?  積立NISAを始める前に』をご参照いただければと思います。

アクティブ投信は最低5年の運用実績を持つことが要件となっているので、今後、設定から5年を経過して届出されるファンドが増えることを期待します。

NISAと積立NISA、iDeCo(イデコ)はどう違う?

iDeCo、つみたてNISA、NISAの比較
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iDeCo、つみたてNISA、NISAの比較
さて、本稿では既存の節税制度であるiDeCo(個人型確定拠出年金)、現行NISA(以下、NISA)に加えて、今回始まった積立NISAの制度を比較し、どのような投資家や投資スタイルに向くかを考察します。

投資は「リスクとリターンはトレードオフ」なので、「リスクなくして儲かる」という特別にうまい話はないのですが、節税をうまく活用できればその分は確実に手取り資金が増やせます。その意味で投資に王道なしですが、どの市場のどの資産に投資するかに時間を費やすよりも、合法的な節税は基本を押さえれば確実に投資効果が上げられます。

簡単にこれらの制度の比較を一覧表にまとめました。

NISA と積立NISAは同じ年に併用はできないのですが、iDeCoとNISA、またはiDeCoと積立NISAは併用が可能です。しかし、富裕層と異なり、投資可能資金がふんだんにあるわけでない一般の個人投資家にとっては、併用というよりはどれに絞って活用するか、の選択が大事になると思います。

iDeCoのメリット・デメリット

少額の積立形式に向く定期収入(=月給)があるサラリーマン層で、老後の備えにしたい方は、積立NISAとiDeCoの選択になりますが、まずはiDeCoを考えるべきでしょう。

拠出金が所得控除の対象となるので、所得税率が20%だとすると年末調整あるいは確定申告によって年間の拠出金の20%が還付を受けられるからです。すなわち預金に投資した場合だと、のちの2万円の還付を考慮すると実質的な投資元本が8万円で10万円確実に返ってくる経済効果が得られます。

投信だと基準価額の8掛けで買っていきなり含み益が20%を持てるのと同じなので「勝てる」確率が格段に向上します。また、常時マーケットリスクを取る必要はなく、iDeCo口座内で投資を休んで投信から預金に変えてまた出動機会をうかがうことも可能です。

ただし、iDeCoは原則60歳以降まで引き出しができないため、長期に寝かせられる資金がある方、かつ定期収入がある方に向く制度です。また、所得控除は所得税を納めて初めて節税メリットがあるので、専業主婦や自営業で赤字もありうる方はメリットを享受できないため、引き出しの自由度がないiDeCoよりNISAや積立NISAを選択したほうがよいでしょう。

とはいえ、私自身はむしろ手を付けずに換金しない覚悟を持つために、専業主婦である妻の分も資金を出してiDeCoで投資していますが。

NISAと積立NISAのメリット・デメリット

次にNISAと積立NISAは二者択一なので、もっと細かく個々の収入特性や投資リテラシーによる判断が必要です。

投資対象商品の選択の幅(株式、投信)を考えると、NISAに軍配が上がります(NISAのほうが投信も選べるファンド数が圧倒的に豊富)。

サラリーマン層でも月々少額に投資するのでなく、それを貯めておいて、あるいはボーナス時にまとまった額で投資することは可能でしょう。相場を読んで「いざ出動!」と言うタイミングを選べば、当然「儲かる」期待が持てるので、積立投資による「平準化された」価格より、運用成果に対する非課税効果をフルに享受できます。

自営業の方、芸能人あるいはプロスポーツ選手のように、収入が入る時はサラリーマンより多いが、ない時はない、と年ごとの変動が激しい収入形態の方も積立方式よりNISA一択でしょう。

このように、積立NISAとNISAは投資家層が異なると思われるので、NISAを廃止して積立NISAに一本化するような話も聞こえてきますが、広く国民に資するべく併存を希望します。

ただ、NISAと積立NISAは損が出た時にはむしろ通常の口座よりデメリットもあります。

証券総合口座と損益通算ができないため、NISA口座で損が出ても総合口座で出た運用益への課税は免れません。一方、総合口座で損失が出たら3年間繰越でき、翌年以降の益と相殺できます。ただ、この総合口座での損は、NISA口座がそもそも課税されないので、総合口座での他の益との相殺にしか使えません。

また、NISAは投資から5年経つと、ロールオーバーしない限りNISA口座外に投資対象商品を移管しなければなりません。

ここがトリッキーなのですが、最初に100万円投資して値下がりして80万円になったとします。そこで一般口座に移管した時に時価が80万円、その後90万円で売却したとします。そうすると90万円から80万円を引いた10万円が課税対象のキャピタルゲインとなります。

当初の100万円が90万円になって損なのに税金が取られるので、「これならNISAで買わなきゃよかった」ということがありえます。

積立NISAは20年間使えるので、NISAのように5年で口座外に出す必要が少ないのはメリットだと言えるでしょう。口座外に出して前述のように実際は損が出ているのにキャピタルゲインに課税されることを避けられるからです。

商品の選択肢の少なさや、時間分散効果をフルに享受しづらいバランス型ファンドに偏っているのはデメリットですが、自分で買うタイミングを判断できない、あるいはiDeCoのように60歳まで待つことなく、ご家族の教育資金や結婚資金等に備えたいというサラリーマン層で、定期的な安定収入が(将来にわたり)確保できる見込みがあるならば、積立NISAも悪くない選択でしょう。

また、積立NISAでは、届出要件で厳しく縛っているように低コスト投信が選ばれているので、長期間の投資であれば食われるコストが少なくて済みます。いずれにせよ、結果として損が出た際には損益通算ができないため、一般口座で投資したほうがよかったという結果論の事態はありえますので、必ずお得とは言えない点には注意が必要です。

ドルコスト平均法は万能ではない

最後に、積立投資で「ドルコスト平均法」が勝つ確率が上がる金科玉条のように語られる向きがありますが、万能な投資手法ではありません。このドルコスト平均法とは、毎月定額で一つの投信に積立投資すれば、基準価額が低い月には多くの口数が買えて、逆に高い月には少なく投資するので平均単価が下がるという手法です。

金融理論の中で「平均回帰」現象、すなわち市場価格がアップダウンを繰り返しながら、平均値に戻っていく傾向があるという説ですが、それに当てはまる資産であればドルコスト平均法は有効性があるでしょう。

しかし、バブル崩壊後の日本株や1985年のプラザ合意後のドル円のように、長期間にわたって一方向に低落していくと「買えども買えども戻らず下がる」ので、ドルコスト平均法は有効ではありません。

投資対象の資産価格が一方的でなく、適宜、騰落を繰り返しながら上昇していくという確信がある、あるいは毎日マーケットを読む気もないので毎月の投資実行日の運任せでよい、と割り切れる方向けの投資手法と言えるのではないでしょうか。
林 俊宏

最終更新:1月13日(土)20時10分

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