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「借入金利4.5%」は天使か悪魔か?

12月17日(日)20時00分配信 不動産投資の楽待

(写真© hanack-Fotolia)
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こんにちは。プリンス破天荒です。先日、「借入金利4.5%の銀行を使って良いのか?」という質問を受けました。このモヤモヤは、みなさんお持ちなのではないでしょうか? このモヤモヤを解消すべく、これに対する私の率直な意見を述べさせていただきます。立地の重要性は理解していただけたと思いますので、最低限の賃貸需要ありという前提で、どんな判断基準があるのか、あくまで私見をお話しいたします。

まずは、銀行が現金や所得を持たない一般のサラリーマンに融資をしてくれていた昨今の状態が異常だったかな、と感じています。今は少しずつ落ち着きはじめて、銀行の融資が適正に戻りつつある状態と考えています。

特に私が不動産投資を開始した2008年末はリーマンショック直後ということもあり、どこの銀行も融資には消極的でした。そのような外部環境の中、たとえ4.5%の金利でも、ほとんど資産を持たない私に融資をしてくれた金融機関には感謝しております。

そして当然ですが、借入金利だけでは議論が前に進みませんので、もう少し具体的に考えていきます。

■借入金利・賃貸需要以外に重視すべきこととは?

財務三表(以下の3つ)を正確に理解できるようになることをおすすめします。

1.損益計算書(略称P/L;Profit Loss)
2.貸借対照表(略称B/S; Balance Sheet)
3.キャッシュフロー計算書(略称C/F;Cash Flow statement)

この話は別途しようと思っていましたが、金利4.5%の融資を組むべきかの判断材料として知ってほしい内容なので、今回「2.貸借対照表」に触れることにします。

収益不動産を始める前、私も含め多くの投資家はキャッシュフローに意識が向きます。しかし、キャッシュフローしか知らない状態で不動産経営を始めると非常に危険です。株・FXの延長で不動産を始めると、キャッシュフロー=利益と考えがちです。私も最初はそんな感覚でした。

しかし、不動産の世界に足を踏み入れると、「キャッシュフローはマイナスなのに、利益が出て税金を取られる」なんてことも発生します。支出が発生しない経費(減価償却費)や、現金が減っているのに経費とならない銀行への元本返済、などトラップが沢山あります。安易に「キャッシュフローが良い物件」だけで参入しないようにしましょう。(税金の話は「1.損益計算書」の話と密接に関わってきますので、また別の機会にコラムにします)

■貸借対照表とは

貸借対照表の左は資産の部。右は資金調達方法。左側は流動資産(主に現金)と、固定資産(不動産)の総和で決まります。右側は長期借入・短期借入・自己資本の総和。左と右の総和が等しくなりバランスするため、バランスシート(B/S)と呼ばれます。

貸借対照表は、あくまで簿価の考えなので、実勢価格とはズレていますが、会計上は簿価基準で評価されるため、理解しておくことをお勧めします。そして貸借対照表は、ある時点での資産を示すものですが、物件購入前に前提をおけばシミュレーションすることができます。

【資産の部(左表)】

a)流動資産について
不動産経営上は「現金」だと思ってください。不動産投資家はキャッシュフローの意識が高いので、最低限、流動資産はプラスになる前提です(今回の議論から一旦外します)。

b)固定資産について
購入時の資産価値が最大で、年々価値が目減りします。理由は建物の減価償却費です。土地は簿価が維持されますが、建物は価値が目減りしていきます。

【資金調達の部(右表)】

c)固定負債
ローンを組む前提で話をします。大切なのは、借入元本の減り具合です。借入金利が高く、返済期間が長いと借入元本はなかなか減りません。

【貸借対照表のバランス】

毎年a)+ b) > c)の関係が成り立たないと、純資産が減ることになります。a)は当然のごとくプラスを維持する前提で、b) > c)となるためには、借入元本の返済額が減価償却費を上回る必要があります。

ちなみに、

・減価償却費は、「建物金額」と「残耐用年数」で決まります。
・借入元本は、ローンの「金額」「金利」「期間」で決まります。

物件購入時には上記が確定しているので、簡単にシミュレーションできます。我々が「高金利」「耐用年数以上の期間」で融資を受けて中古物件を購入すると危険な理由が、このあたりに潜んでいます。

話を戻すと、私が最初に購入した7700万円・築20年のRC物件のケースを考えます。「残耐用年数」や「土地・建物の金額」は、物件を購入すると半自動的にその数字が決まってしまうので、これに着目したシミュレーションをしてみます。

■物件価格 7700万円

中古で購入すると、土地と建物の厳密な価格が分かりません。おおよそ、固定資産税評価額を基にした按分で建物代金を導き出すケースが多いです。RCは建物価格の比率が高いことが多く、私のケースも建物6:土地4ぐらいの割合でした。この比率で按分すると、建物価格は4620万円が簿価となります。

■残耐用年数 31年

(1)法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数 47 - 20 = 27年
(2)経過年数の20%に相当する年数 20×20% = 4年
(3)耐用年数 (1) 27年+ (2) 4年 = 31年

以上より、b) 減価償却費 149万円/年(4620万円/ 31年)と試算できます。

■融資7400万円・融資期間30年・金利4.5%

この融資条件でシミュレーションすると、 c) 元本返済額 1年目が119万円。2年目が125万円。3年目が131万円…と試算できます。

c)元本返済額がb)減価償却費よりも少ないため、この二つの要素のみでバランスシートを考えると純資産がマイナスになっていきます。1年目だと純資産はマイナス30万円です。一方、キャッシュフロー(流動資産)が、+200万円を見込めるため、トータルでは純資産がプラスとなっていきます。ここで、仮に、空室が増えてキャッシュフローがマイナスとなると、融資によるレバレッジが逆回転し始めて、債務超過に陥るリスクがあることは何となく想像できるのではないかと思います。

あくまで簿価を基準とした考え方で、実勢価格とは異なる点は注意が必要ですが、思考を広めるための一つの手法として、購入前に検証してみると良いと思います。私の場合は、最近では都内に土地7:建物3ぐらいの比率で木造アパートを建てており、借入金利も1%前後なので、このリスクは回避できるようになりました。

■最後に経験者からの注意点としては、

(1)一度借りると、他行に借り換えしづらい

仲介業者は「一度借りてから、あとで借り換えてしまえば良いんです!」とか気軽に言いますが、「それならば今、別の銀行から融資を引いてください」と言いたいですよね! 高金利銀行は、審査が速いというメリットもあるので、優良物件には有効な場合もありますが、正直、初めて不動産を購入する人に優良な物件はそう簡単に回ってきません。収益還元による審査が中心で、自己資金を入れずに高金利で借りてしまうと、積算評価を重視する金融機関が多いなかで、そう簡単には借り換えできません。

(2)2棟目以降もこの銀行に頼ってしまう

1棟購入後、2棟目以降の物件が欲しくなると、この金融機関から追加融資を引いてしまいます。そうすると、更に借り換えが厳しくなります。複数物件を保有すると後戻りできなくなるので、1棟購入後は借り換えを重視し、仮にこの銀行を使って次物件を購入するとしても、3~5年ぐらい置いてから増やす方が良いでしょう。

(3)金利交渉は可能

私の場合、融資を受けてから2か月後に交渉しましたが、さすがにダメでした。タイミングとしては、毎年確定申告をした後、金利交渉に臨むのが良いと思います。私は数年かけて金利を3.1%まで引き下げてもらいました。

以上のように、高金利で借りると、なかなか抜け出せなくなります。高金利で借入しても良い物件とは、以下の3つを意識しましょう。

・将来的にも賃貸需要が十分見込める
・直近で十分な修繕が行われており、大きな修繕費用が発生しづらい
・減価償却費と借入元本返済のバランスを見て、純資産がマイナスになりづらい

1棟目に関していえば、場所は武蔵小杉徒歩10分で、再開発中でしたので、将来的にも十分な賃貸需要が見込めました。また、修繕については購入の2年ほど前に屋上防水工事が実施されていました。

外壁やエレベーター等の設備類は最低限のメンテナンスは実施されていましたが、修繕というほどではなかったので、トラブル危険性が十分にありました。

減価償却費と借入元本返済のバランスは最初はマイナスでしたが、借り入れ後に毎年金利交渉を行うことで何とかプラス圏内に持っていっていました。

今振り返ってみると、この物件の選択は良かったと思います。賃貸需要があるエリアだったので、空室に悩まされなかったからです。何度か入退去がありましたが、自主管理でも賃付けのみ仲介業者を複数使えば、十分にやっていけると実感できました。リフォームや水回りのトラブル対応など、一通りの大家スキルを身に付けることが出来たと思います。6世帯なのにエレベータがあり無駄な経費がかかるなど、もちろんネガティブ要因もありましたが、いい具合に大家力を身につけることができたと思います。

そして、家から近かったこともストレスなく運用できた要因かなと思います。業者に言われるがままではなく、自分で修繕などのコスト意識を身に付けたかったので、現場が近かったというのは良かったです。トータル利益は概算で税引き後約2500万円というところです。

内訳

・6年間のインカムゲインが約1000万円
・キャピタルゲインは約2000万円
・税金が約500万円

インターネット一括設備導入、インターフォンからモニターフォンへの変更など6年間の経営努力によって、家賃を購入時から月額約1万5000円上げることができたので、最終的にはインカム・キャピタル合わせて2500万円の利益が出ました。

目先のキャッシュフローだけに目を奪われて、「借入元本がなかなか減らない」「急な修繕でお金がかかる」「退去後に次の入居者が決まらない」…そんな状況にならないように十分気をつけましょう。悪魔は天使の顔をしてやってきます!どちらになるかは、購入する物件でほぼ決まります。そして物件を決めるのは他の誰でもなく自分です。銀行が融資をしてくれる物件=優良物件ではありません。自己責任ですので、慎重に。
プリンス破天荒

最終更新:12月17日(日)20時00分

不動産投資の楽待

 

情報提供元(外部サイト)

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不動産投資の楽待

株式会社ファーストロジック

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