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“ゲノム編集”時代、黎明――「1兆円市場」への道、関連株 <株探トップ特集>

12月14日(木)19時30分配信 株探ニュース

タカラバイオ <日足> 「株探」多機能チャートより
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タカラバイオ <日足> 「株探」多機能チャートより
現在値
トランスG 497 ---
C・バイオ 1,126 -10
オンコリス 807 -9
ヘリオス 1,633 -17
富士フHD 4,199 -69
―リスクはらみつつも活発な研究開発、注目の存在を探る―

 生命の設計図といわれるゲノム(全遺伝情報)だが、そのなかの狙った部分を切り貼りする「ゲノム編集」の利用が、さまざまな分野で広がりつつある。農作物や家畜の改良などにゲノム編集技術は応用されており、既に受粉せずに実がつくトマトの開発や、従来の倍のスピードで成長し、肉量の多いトラフグの開発などに成功。また、コメアレルギーに悩む人も食べることができる低アレルゲン米や衝突死を防ぐ養殖能率が向上したマグロなどの開発も行われ、画期的な新品種の登場も遠い未来のことではない。

 さらに、エネルギーや化学分野への応用も進められており、エクソンモービルと米バイオベンチャーのシンセティック・ゲノミクスは6月、ゲノム編集技術を用いて藻類が作る油分の量を20%から40%に倍増させる方法を発見したと発表、今後の展開が注目されている。

●遺伝子組み換え技術との違い

 「遺伝子の編集」というと、遺伝子組み換え作物などで用いられる「遺伝子組み換え技術」が思い浮かぶが、同技術は、元の個体にはなかった遺伝子を外部から導入することで新しい形質(性質)を持たせる技術。狙ったところに遺伝子を正確に組み込むことが難しく、成功まで何度も実験を繰り返さなければならないという手間がかかった。また、組み換えを行ったことで、意図しない遺伝子が置き換わるリスクもあり、目指した形にするには、長い時間がかかっていた。

 一方、ゲノム編集は、外部から遺伝子を導入せず、狙った遺伝子の特定部位で変異を起こすことで新しい形質を持たせる技術だ。現在広く利用されている「CRISPR/Cas9(クリスパー・キャス9)」技術では、狙った遺伝子の探索に「ガイドRNA」という分子を用い、「キャス9」という酵素で狙った遺伝子を切り取る。遺伝子の切断がより簡便に行えるようになり、これにより一気に応用が広がった。

●医療分野への応用に期待

 なかでも注目されているのが、医療分野への応用だ。米国では、エイズ患者の血液中の免疫細胞の遺伝子を編集し体内に戻すことで、一部患者のエイズ発症が抑えられる効果が確認されているほか、日本でも筋ジストロフィー患者の細胞からiPS細胞を作成し、遺伝子の異常を修復する研究開発が進んでいる。

 一方で、ゲノム編集技術は発展途上の技術であるため、狙った場所以外のゲノムを切断してしまうといったケースが想定され、仮にその場所に重要な遺伝子があると、がんなどの病気を発症してしまう恐れがある。また、受精卵など生殖細胞の場合、編集された遺伝情報は世代を超え、何世代も後になって想定していなかった影響が現れる可能性がある。さらに、親が子どもの遺伝情報を変えてデザインするいわゆる「デザイナーベイビー」の危険性も指摘されている。

●25年には世界市場85億ドルへ

 大きなリスクをはらむ技術ではあるものの、ゲノム編集は現在、バイオテクノロジーの領域で最も活発に研究開発が進められている分野の一つであり、その市場は広がりつつある。

 米市場調査会社によると、2015年に22.5億ドル(約2500億円)だった世界のゲノム編集市場の規模は、25年には85億ドル(約9700億円)へ約4倍に拡大すると予測されている。

 市場の拡大に伴い、関連する企業のビジネスチャンスも増えつつある。関連銘柄はまだ少ないが、新たな価値を創造する企業として注目したい。

●ゲノム編集受託サービスを手掛けるタカラバイオ

 関連銘柄として挙げられるのは、第一にタカラバイオ <4974> だ。同社は韓国企業と連携して13年からゲノム編集受託サービスを開始。また、14年には米ブロード研究所からCRISPR/Cas9システムによるゲノム編集技術に関する特許ライセンスを取得しており、今後の日本におけるゲノム医療で重要なポジションを占めそうだ。

 また、コスモ・バイオ <3386> [JQ]は、ゲノム編集を行うためのさまざまなツールや受託サービスを提供しているほか、「遺伝子強制発現細胞株」作製サービス事業なども展開。ヘリオス <4593> [東証M]は、ゲノム編集技術を用いて再生医薬品を開発する米バイオテクノロジー会社ユニバーサル・セル社と共同研究契約を締結し、iPS細胞のゲノムを編集して、免疫反応を起こさないiPS細胞の開発に取り組んでおり、両社とも関連銘柄として注目度が高い。

●トランスGなどにも注目

 このほか、今年3月、ゲノム編集を利用して人工の皮膚を作成することができたと発表した富士フイルムホールディングス <4901> や、ウイルス遺伝子改変技術を生かした検査事業を展開するオンコリスバイオファーマ <4588> [東証M]も関連銘柄として挙げられる。

 さらにトランスジェニック <2342> [東証M]では、ゲノム編集技術による遺伝子改変マウスの作製受託サービスを提供している。同技術は遺伝子改変マウス作成にブレークスルーをもたらしたとされるだけに要注目だ。

株探ニュース(minkabu PRESS)

最終更新:12月15日(金)8時50分

株探ニュース

 

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