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デジタル最新機種に受け継がれる「初代ライカの価値観」を歴史から紐解く

12月1日(金)16時10分配信 THE PAGE

ライカの新製品、エルマリートTL18mmF2.8ASPH.付きのCL
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ライカの新製品、エルマリートTL18mmF2.8ASPH.付きのCL
 ドイツの名門カメラブランド「ライカ」から新製品ライカCLがリリースされた。日本では12月に発売予定で、先日、国内発表会も行われ好反響を呼んでいる。

 ライカは日本では芸能界でも福山雅治が愛用者として知られ、アニメ「ちびまる子ちゃん」では穂波真太郎(たまちゃんの父)が使用。さらにドラマ「Dr.コトー診療所」では診療所の事務長、和田が使うなど、さまざまな作品中にも登場する有名ブランドだ。そのライカが今回、どんなカメラを出してきたのか。ブランドの歴史から紐解いていきたい。

35ミリ・スチルカメラの祖が世界を席巻 一眼レフ登場で低迷もデジタル時代に独自のステータス築く

M型以前、バルナック型といわれたライカIIIg。今回のCLのサイズに近い(撮影:志和浩司)
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M型以前、バルナック型といわれたライカIIIg。今回のCLのサイズに近い(撮影:志和浩司)
 フィルムカメラの時代、それも日本製の一眼レフが登場するはるか以前に35ミリ判フィルムを使うスチルカメラの祖として1920年代から世界を席巻、ステータスを確立したライカ。

 ところが70年代以降は日本製カメラの隆盛に押され業績が低迷、日本のミノルタと業務提携を結び、メインの生産工場をドイツ国外に移すなど紆余曲折を経た。創業家であるエルンスト・ライツ一族は株式を売却し代表権を失い、経営も二転三転(一時はエルメスの資本が入ったことも)。製品の品質が下がったと言われた苦しい時期もあった。そのように時代に翻弄されてきたライカだが、デジタルカメラの時代になって独自のステータスを築きつつある。
ライカM2。M型の初号機M3を簡易化し、広角レンズ対応のファインダーを搭載(撮影:志和浩司)
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ライカM2。M型の初号機M3を簡易化し、広角レンズ対応のファインダーを搭載(撮影:志和浩司)
 1930年代~1940年代ごろは「ライカ1台で家が建つ」と言われたほど、高嶺の花だったという。いささかおおげさな表現にも感じられるが、東京でも場所によっては1000円で一軒家が購入できたといわれる時代、ライカはレンズ付きで1000円前後という価格だった。第2次世界大戦突入でドイツからの輸入が困難となり価格が高騰、さらに東京の土地が安かったという要素もあり、一時そのような状況が生まれたのは事実のようだ。
福山雅治愛用のM4。2006年の写真展の際に会場で展示されていたもの。(撮影:志和浩司 ※製造番号をモザイク加工しています)
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福山雅治愛用のM4。2006年の写真展の際に会場で展示されていたもの。(撮影:志和浩司 ※製造番号をモザイク加工しています)
 その後もライカは小型な高級カメラの代名詞であり続けた。アンリ・カルティエ・ブレッソンなど著名な写真家や、グラフジャーナリズムで活躍するカメラマンたちに愛用され、伝説的な存在になっていったのだ。テレビ報道が幅を利かせるようになる前、とくにベトナム戦争以前は、現地にカメラマンが入って撮影した写真が『LIFE』などの雑誌に掲載されることで世界に戦場の真実が伝えられた。小型で高性能なライカは、そうした用途にうってつけのカメラだった。そんなグラフジャーナリズム全盛の時代が、ライカというブランドを伝説にまで押し上げたのだ。

 しかし皮肉なことにそんな伝説が、ライカを苦境へ追いやった。35ミリ判カメラの主流だった距離計連動式カメラでは圧倒的な高性能を誇るライカに勝てなかった日本メーカーは、1950年代から続々と一眼レフカメラの開発を始めており、60年代に入って東京オリンピックという晴れ舞台で一眼レフの時代到来を決定づけた。プリズムや鏡を組み合わせることでレンズを通した画像をファインダーで確認できる一眼レフは、レンズとは別にファインダーのついた距離計連動式カメラよりもとくに望遠レンズでの撮影などで有利な面が多く、その威力を発揮するのにオリンピックはかっこうの舞台となった。ニコンやキヤノンなどの日本製一眼レフが世界市場を席巻するようになって、ライカも一眼レフ市場に乗り出しはしたものの、次第に時代の流れに取り残されてしまう。それが、前述の”紆余曲折”につながったわけだ。
ミノルタ製一眼レフをベースに開発されたRシリーズ(写真はR-E、撮影:志和浩司)
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ミノルタ製一眼レフをベースに開発されたRシリーズ(写真はR-E、撮影:志和浩司)
 70年代・80年代に入ってからも、ニコンF2やF3、キヤノンF-1、ミノルタX-1、ペンタックスLXといった国産最高級一眼レフがせいぜい10万円台前半ぐらいの予算で購入可能だったところ、ライカは機能的には時代遅れといっていい内容でありながら、当たり前のように40万円、50万円といった売値がつけられていた。

 ライカが今日まで生き残ったのは、ブランドの神通力と言っても過言ではないだろう。

 しかし神通力には、中身がなければならない。デジタルカメラの時代に入ってから、ライカは着実に独自の存在感を放ち始めている。最近では、古き良き時代の距離計連動式カメラM型の流れを汲むクラシックなMシステム、35mmフルサイズより60%も大きなフォーマットを採用したSシステム、フルサイズミラーレスのSLシステム、フルサイズコンパクトカメラのQなどなど、意欲的にラインアップを拡充している。

デジタル最新機種にも受け継がれる「初代ライカの価値観」

ライカの新製品、ズミクロンTL23mmF2ASPH付きのCL
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ライカの新製品、ズミクロンTL23mmF2ASPH付きのCL
 今回発表されたCLは、APS-Cシステムの最新機種になる。フルサイズよりはひと回り、ふた回り小型だが、普及価格帯のコンパクトカメラと比べればかなり大きなAPS-Cフォーマットは、日本製のカメラにも多く採用されてきた。ここでいうフォーマットとは画像を記録するイメージセンサーのサイズのことで、フルサイズは35ミリ判フィルムと同じサイズを意味する。大雑把にいえばセンサーのサイズは大きいほど画質面で有利だが、APS-CはニコンD500やキヤノンEOS 7D MarkIIなどプロカメラマンも仕事に多用しており、普通に考えて十分なサイズのフォーマットといえる。

 ライカカメラ社では、CLについて「こだわり」、「一貫性」、「クラフツマンシップ」といった初代ライカからの価値観を、時の流れが速い現代によみがえらせたカメラであるとアナウンスしている。

 SLやTL2と共通のTLマウントを採用しているレンズ交換式ミラーレスカメラとして登場したCLだが、このCLという機種名に郷愁を感じるカメラ愛好家は少なくない。ミノルタと提携していた70年代、同じライカCLという名称のカメラがミノルタで生産されたのだ(日本ではライツミノルタCLとしてWネームで販売)。CLは、コンパクトライカを意味する。日独の技術の粋を尽くしたCLが、デジタルカメラとして生まれ変わったといえなくもない。

 横131 x 縦78 x 奥行45 mm、バッテリー込みで405gのコンパクトなボディの中に、ライカならではの実用的でありながらエレガントなデザインと最新の電子技術が結集。トップカバーとボトムカバーにはアルマイト処理を施したアルミ削り出しのパーツを使用し、その間にレザーが貼られた3ピースのデザインがコンセプト。操作性は直感的で快適、撮影した写真をワイヤレスでスマホやタブレット、PCに転送できるWi-Fi機能も備えSNS時代にもきちんとフィットさせている。M型の時代からライカといえばファインダーのクリアな見えが魅力だが、CLにはクォリティーの高い約234万ドットの電子ビューファインダーが搭載された。イメージセンサーは約2400万画素。フォーカスも、49点のAFエリアを持つ高速AFで快適だ。4K動画(30fps)も撮影できる。

 日本での希望小売価格は本体36万7200円、同時発売の18mmレンズが15万6600円(ともに税込)。高価な買い物ではあるが、いまや日本製カメラでも数十万円という価格は珍しくない。ライカの中ではリーズナブルな価格帯に抑えられている。

 また、ライカが優れているのは機能的な面だけではない。現在、世界18カ所にギャラリーを独自に展開、そのうちの2つが東京と京都にある。ライカのカメラ開発は、写真というカルチャーの創造と表裏一体。そんな伝統が、きちんと守られているのが素晴らしい。

 誰もがスマホで写真を撮ってSNSで写真を共有する時代。ライカCLのような所有感を満たしてくれるカメラで、大人のたしなみとして写真を撮ってみるのも一興だ。SNS映えすること間違いないだろう。

最終更新:12月4日(月)5時45分

THE PAGE

 

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