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「駅前より郊外」な静岡の不動産投資市況

11月23日(木)20時00分配信 不動産投資の楽待

(写真:不動産投資の楽待)
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(写真:不動産投資の楽待)
東京や名古屋から新幹線で約1時間。静岡は、そのアクセスの良さの一方で大都市圏よりも土地値が安いために、「狙い目」として投資家の注目を集めている。安定した温暖な気候とアクセスの良さ、また活況な支店経済や自動車産業を中心とした工場も多数存在し、需要が多いイメージもある。こうしたメリットから、東京を中心として地方への投資を考える不動産投資家が多く参入してきているという。

だが、静岡市は人口減少に悩み、第二の都市・浜松市でも「賃貸需要は厳しい」という声がオーナーらからはあがる。そんな静岡県で「勝てる」エリアはあるのだろうか。静岡県の不動産投資市況を取材した。

■政令指定都市なのに「70万人」を切った

静岡県によると、2017年10月現在の外国人を含めた人口は約367万人となっている。全体的に人口は減少傾向にあったが、特に前年からは4万人近く減っている。

県庁所在地である静岡市は政令指定都市だが、同月現在の人口は約69万9000人と、70万人を下回っている。政令指定都市は法律上、人口50万人以上の都市と定められているものの、実質的には「70万人程度以上」を基準としており、その数字を割り込んだ形だ。

静岡県在住の投資家で一級建築士の戸田匠さんは「政令指定都市ではなくなるということも考えづらいですが、静岡市は人口が70万人を切ってしまっています。東京や名古屋へのアクセスがいいので、子供が大学生の時に出て行って、そのまま就職して戻ってこない……という現象が起きているのではないかと思います。そういった観点から考えなければ、人口は減少し続けるでしょう」と話す。

同じく県内の政令指定都市である浜松市の人口(同月現在)は約79万6000人。同市は大手自動車メーカーであるスズキや楽器などの大手メーカー・ヤマハが本社を構えるほか、近隣自治体を含めて多数の工場が立地する地域で、人口は横ばいから、やや減少傾向が認められる。

■景気動向に左右され……

浜松市で不動産仲介や施工などを行うプラ株式会社の代表取締役で、自身も大家業を営む谷野祐司さんは「大手企業の雇用などの状況もあり、浜松も賃貸需要が決していい状態ではありません。今はなかなか厳しいです」と語った。

「スズキやアスモ(輸送機器メーカー、浜松市隣の湖西市に本社を置く)といった大手の工場で働く単身者向けアパートが乱立していますが、リーマンショックで賃貸需要がどっと引いてしまい、そういったアパートのオーナーでは大変な思いをしている人もいます。一方で、ファミリー層で住むところを探している人は一定数いるようですね」(谷野さん)

谷野さん自身も、過去に危うい思いをしたという。スズキが静岡県牧之原市周辺に工業団地を建設する計画を知り、その周辺にアパートを建てることとした谷野さん。しかし、土地を購入後にリーマンショックが起き、スズキが計画を断念。その工業団地に勤務する単身者の賃貸需要をあてこんでいた谷野さんは「今でも覚えていますが、本当に冷や汗が出ました」と振り返る。

ただ、利回りより入居付けを重視し、間取りを広く取る設計にしていたため、別の企業が寮として法人契約してくれたことで救われた。「景気に左右される企業に振り回され、痛い目に遭っているので、こうした企業だけに賃貸需要を頼るのは良くないと身に沁みました」

浜松市周辺ではこうした工場などが多いため、景気動向で賃貸需要が大幅に回復、あるいは下落する可能性を十分に考慮する必要がありそうだ。

■駅前は「入居率に不安」

静岡県で投資を行う上で、注意すべきところはどのようなところだろうか。

「駅から徒歩10~15分圏内の1Kや1DK物件では、計算上の利回りは高く取れる。しかし、入居率を見れば不安があります」

静岡県内を中心に投資を行う沢孝史さんは、こう指摘する。駅から徒歩圏内の立地は「テッパン」のイメージだが、静岡県内ではそれだけでは埋まらないという。沢さんは「静岡は車社会です。駅近の物件では十分な駐車場がない場合が多いので、そうなると入居が付きづらくなるんです」と説明する。

実際、駐車場のありなしの差による入居率は顕著だ。静岡駅から徒歩約15分、同じ道路に面したRCマンションが2棟ある。沢さんが現在所有する物件と、すでに売却した物件だという。

「私が今も所有している物件は、部屋数が20室に対して、駐車場が8台分あります。こちらは、満室で稼働中です。一方、すでに売却した物件は、駐車場が2台分しかない。そして、空室も多いようです」

沢さんは「駅から徒歩10~15分くらいなら、部屋数の2分の1程度、15分以上20分なら2分の1以上は欲しいですね。20分超なら、部屋数分は必要だと思います」と話した。

そういった意味で、「高速道路のインターチェンジや、バイパスの入り口が近くにあるかといったことは、賃貸需要があるかどうかを見極める1つの指標になりますね」と沢さんは話す。当然、インターチェンジやバイパスが近くにあれば利便性が高く、賃貸需要が大きい可能性は高い。

沢さんによると、静岡県内でもETC搭載車のみが利用できるスマートインターチェンジの増設が顕著だといい、こういった場所は入居が付きやすい可能性もある。ただし、こうした立地であれば駐車場の1部屋につき2台の確保が重要だ。

ファミリー向け物件を中心に投資する戸田さんも「街中よりもむしろ郊外で、駐車場を確保できる物件の方が人気ですし、間違いなく利益も出ます」と語る。

戸田さんによると、駐車場のない駅前の物件では、新築であってもなかなか満室になりにくいのが現状だという。単身者向けであっても駐車場がない物件は「厳しい」ため、「ファミリー向けの物件であれば、(1部屋で)2台分、最低でも部屋数分はないとファミリー層には受け入れられないと思います」

■海沿いエリアが「難しい」ワケ

静岡県では、東海、東南海、あるいは南海トラフ地震、そしてそれによる津波、液状化発生のリスクがあると言われている。このため、「静岡県は沿岸部では融資がつきづらい」(戸田さん)という。

沢さんは「東名高速道路から南は厳しい」とみている。「仮に地震が起きて津波が来ても、東名高速道路で止まるのではと言われています。沿岸部の物件は、家賃をかなり低く設定するなどの戦略をとらないと難しいのではないでしょうか」と話した。

沢さんや戸田さんによると、静岡市では、新幹線停車駅である静岡駅から北側が発展してきたという。戸田さんは「昔は、駅の南には田んぼと畑しかなかったんです」と振り返る。しかし、現在は駅の南側でも一定の需要があるといい、単身者向けのアパートなども多く建てられてきている。供給過剰な側面もあり、沢さんは「3、4年ほど前から新築の供給が増えてきたという実感がありますね」と指摘した。

例えば、駅から徒歩15分圏内の1K単身者向けの新築アパートだとして、家賃相場が6万5000円と計画段階で想定していても、建築途中に競合の新築が建ってしまうため、1年後には6万2、3000円に設定しなくては入居が決まらない可能性もある、ということだ。「そういう観点も考えないといけません。家賃設定を『堅め』にしないと、入居が付かず厳しい経験をするはめになります」(沢さん)

■「勝てる」3市町

静岡県では、原則として駐車場が必須。これを前提として、沢さんと戸田さんに人気のあるエリアや狙い目エリアを聞いた。すると、2人からは同じ3市町が挙げられた。「三島市・富士市・長泉町」だ。

「三島市は工場が多く、需要が一定数あります。また、新幹線停車駅で、東京へは新幹線で1時間弱。通勤圏に入っていて、実際首都圏に通勤しているサラリーマンは多くいますよ」と戸田さん。沢さんも「大企業系の自動車産業が発達しているので、給与所得の高い入居者層が多いです。ファミリーで、グレードの高い物件への需要は間違いなくあると思います。当然物件価格も高くなりますが、需要が一定数あるので、そういった安心感は得られます」と指摘した。

富士市も、産業が充実し自治体財政が豊かで人気のある場所だという。「その一方で静岡や浜松より土地が安いので、利回りが高くとれます」(戸田さん)。ただ、1点注意したいのは、これまで富士市にあった常葉大学が来年静岡市内に移転する予定のため、需要構造が大きく変わる可能性がありそうだ。

また長泉町は、戸田さんによると「静岡県で住みたいまちナンバーワンに挙げられる」という。三島に近く、東京までのアクセスが良いのに加え、子育てに特化した「こども育成課」を設けるほか、中学3年生まで医療費が無料など、町が子育て支援や教育への支援政策に力を入れており、子育て世代に人気が高いと言われている。

「需要が多いので、家賃相場も高めです。それでも、いつ訪れても、単身者向け1K物件も満室が続いているような状態でしたね」と戸田さんは話す。

物件価格は高い傾向にあり、さらに徐々に人気が認知され、物件も出づらいというが、狙い目であることに間違いはなさそうだ。

■近くて人気……だからこそ

戸田さんは静岡県全体の現在の利回り傾向を「物件価格が相当高くなっています。2、3年前はRCマンションで10%もありましたが、今はほぼありませんね。東京からの不動産業者がとにかく買い上げているみたいです」と説明する。「東京に買えるような物件がない中、東京から1時間で来られる立地で、しかも利回りが低くなったとはいえ、それでも都心より高くとれますから、人気なんだと思います」

だが、賃貸需要のあるエリアなど、細かな情報は遠隔地にいるだけではなかなか手に入りづらい。沢さんは、「静岡で投資をするなら、管理会社や仲介会社を3社でいいからきちんと回ってほしいと思います。地場の昔ながらの不動産会社でなくとも、大手でも問題ありません」とアドバイスする。

東京から1時間。近いからこそ、現地を訪れ、自分の目と耳で市況を確認することが何より重要だ。
不動産投資の楽待 編集部

最終更新:11月23日(木)20時00分

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