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会社を退職直後……これからも融資は受けられる?

11月22日(水)20時00分配信 不動産投資の楽待

(写真:不動産投資の楽待)
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(写真:不動産投資の楽待)
今回のご相談者は、札幌市にお住まいの藤田玲司さんです。融資では国家資格が有利に働き、5年前に新築アパートを建てることができました。長年勤めた会社を退職され、これからは専業大家として不動産賃貸業に専念される藤田さんですが、果たしてそのお悩みとは?

お名前:藤田玲司さん(仮名)
性別:男性
自己資金:1000万円
ご職業:不動産賃貸業
ご年収:2016年度はサラリーマン収入800万円、不動産CF500万円で合計1300万円
    2017年度は不動産収入CFで1000万円の予定
居住地:北海道札幌市
ご自宅:自己所有でローン有
所有投資物件:RC造2
不動産投資経験:5年

■はじめに

「リスク管理大家さん」として楽待新聞でもお馴染みの藤田さんは50歳。今年専業大家に転身したばかりです。最初こそ奥様から反対されましたが、時間をかけて理解を得られたそう。そんな藤田さんは今後の購入について、サラリーマン時代のようにスムーズに融資が受けられるのかを懸念しています。法人化も検討されているとのことですが、石原さんの回答とは?

■会社を退職しても融資は受けられるか?

藤田:私は建設系の会社に勤め、道路や橋など、公共物の設計に携わっていました。堅い職業ということで融資のときは有利でした。その会社を先月に退職しました。退職については5年前から考えていたので、計画的に辞めています。

石原:決心されてすぐに不動産投資をスタートされたのですね。プロフィールを拝見すると、様々な資格をお持ちですね。VEリーダーというのは?

藤田:これは民間資格です。提案書を書くときなど、物事を合理的に考える知識を学びます。講習を受けて試験に合格すると認定されます。技術士(総合技術管理部門、建設部門)は国家資格です。その中でもリスク管理で学んだことは今のアパマン経営に役立っていますね。

石原:今後に不動産1本でやられる場合、藤田さんの資格はアピールの仕方によって有効に働くであろうと想像します。

藤田:私が2棟買ったときも、銀行から「この国家資格を持っていることで有利に働きますね!」と言われました。サラリーマン時代には1棟あたり2億円クラスのものを融資してもらいました。それが退職した後では、個人事業主に対してそれだけの規模の物件に、すんなり融資してくれるのは厳しいのではないかと気がかりになりました。

石原:退職後も資格があるので、有利に働くのは今後も変わらないことを踏まえて、藤田さんは個人事業主として5年やられています。こちらで融資が引けると思いますよ。金融機関も担保至上主義ですから、持ち込む物件の価値ありきの部分もあるでしょうね。土地と建物の価値が販売価格に近いほど融資は出しやすいというロジックは普遍です。ところで投資物件はお住まいと同じ札幌ですか?

藤田:2棟とも札幌です。5年前から新築を計画して、実際にできたのが3年前です。私だけでなく、知り合いの不動産関係者に協力を仰ぎながらイチからスタートしたのです。土地の選定だけはお任せして、そこにどれほどの規模の建物が建てられるのかをかなり詰めました。キャッシュフローを重視するのではなく、需要も含めて決めていきました。

石原:綿密で素晴らしいですね! 設計の段階から藤田さんも関わられたのですね。新築で大きな物を建てるのは技術や知識もそうですが、相当な気力も必要と思います。

藤田:設計をしてくれた建築会社や、アドバイスを受けた不動産コンサルタントの力も大きく、彼らの存在なくしてはできませんでした。私は今50歳なので、60歳になったときにどちらか1棟を売ろうと思いました。そこを出口と考えましたが、今は2棟だけで規模が大きい分リスクも高いので、もう1~2棟くらい増やしたいです。

石原:新築を建てるだけの目利きとノウハウをお持ちで、これまで2棟も実現させてきて資格もある。それを地元の金融機関にアピールすれば、事業資金として自然に出てくると思いますよ! また、融資が下りない、もしくは金額が伸びないとき、たとえば既存物件を二番抵当にするとしても担保余力はまだ十分に出ないかもしれませんが、それでも差し出すという覚悟はありますか?

藤田:はい、あります。

石原:もしかしたら一番抵当権がついている物件でさえも担保として取れるなら、その強い覚悟を見て「融資をしよう!」となる可能性もあります。こちらから申し出るべきものではありませんが、どうしてもその物件が欲しくて融資が伸びないときにはこのような使い方もあります。

○Point1 一番抵当権、二番抵当権
一番抵当権は、その不動産を担保に一番目に融資したということで、二番抵当権は、その不動産を担保に二番目に融資したということ。

藤田:はい、わかりました!

■ペット可物件の原状回復リフォームの対処法は?

藤田:1棟目は繁華街、すすきの駅から徒歩5分の場所にあります。場所柄、単身世帯が多いです。石原さんが提唱されるニッチな点を考えて、少し広めにしようと40平米以上にしてライバル物件との差別化を図りました。間取りは1LDKですが、開閉式のドアを全開にすればワンルームとなり、広く使える工夫がしてあります。交通の便がいいので家賃が高くてもやっていける自信はありました。

石原:目論見どおりになりましたか?

藤田:ほぼ満室状態が続いています。ところが1点だけ問題がありまして…。非常に入退去が激しいのです。その原因として場所柄と、敷金礼金がかからない、つまり引っ越す際に負担金が少ないこともあります。北海道では、敷金が1カ月で礼金は取らないことが多いです。

石原:それは全国的にみても動きやすい条件ですね。そうはいっても、現在は敷金0礼金0が主流になりつつあります。お部屋はどれくらいの回転率ですか?

藤田:25室ありますが年間で6~7室の入退去があります。1カ月ほどで次が入りますが、広告料2カ月が標準なので支出が多くなります。できれば長く住んでもらいたいです。

石原:北海道は冬の引っ越しはないのですか?

藤田:冬は少ないです。賃貸契約に「冬季特約条項」というものがあるケースが多く、11~2月の間に引っ越しをした人は、違約金として家賃1カ月分を払うシステムです。それが札幌では主流です。冬に埋めにくく、また広告料が高いので、その条項で補っている感じです。今後どれくらいの退去が出るのか、退去後にすぐ入るのかが心配です。

また、退去時の修繕を管理会社に任せてしまうとクロスの張り替えが高くつきます。サラリーマン時代は余裕がなかったので管理会社に丸投げしていたのですが、これからは個人でやっている内装会社にお願いしようと思っています。見積もりを取ると3割以上も安くなったので、これは使えるなと思いました。

石原:そもそも新築でまだ5年も経っていないのに、クロスの張り替えをしなくても問題ないのでは?

藤田:ほとんど張り替えはしなくてもいいのですが、「ペット可」にしていることもあり、クロスが傷みます。「ペットが原因で傷んだクロスは経年劣化ではありません」ということで補修代をもらっているのですが、それでも直すと費用がかかります。それで修繕は自前の業者さんにお願いしたいと思っています。

石原:「ペット可」にしている新築物件の工夫を見たことがあるのですが、そのオーナーは床材を腰の高さまで貼ればほとんど傷がつかないと言っていました。また、フローリングは見た目がいいけれど、床の隙間にオシッコが染み込むと大変と聞きます。

藤田:なるほど! そう言われてみれば、壁の下の方を見ると爪痕が残っているんですよ。床もクッションフロアにしたほうが安いですね。

石原:ペットを飼う入居者が多いなら考えたいところですね。床はキレイになっているけれど臭いがとれていない。そこをブラックライトで照らしたら、板の隙間に拭き残したオシッコが詰まっていた。そこに洗剤、溶剤を入れたら臭いが落ちたそうです。

藤田:私も今までどうして臭いが取れないのか不思議だったのです。そういう対処の仕方があるのですね!

石原:そこまでやるか、もしくはフローリングの上にクッションフロアを敷いて退去する度に張替える。でも、せっかく新しいフローリングだからもったいない話ではありますが…。

■個人事業主より法人の方が融資は有利?

藤田:融資の話に戻りますが、本当は法人で融資を引きたかったのですが却下されて、2棟とも個人で建てています。今後は個人事業主としてではなく、法人化して融資を受けるほうが確実でしょうか?

石原:個人なら借りやすい状況で、かつ法人はまだ難しいという判断であれば、まずは法人を作り、そこに個人の物件の管理をさせる。実績を積み上げながら、個人で増やせるだけ増やし、今後は法人のほうに移していけばいかがでしょう?

藤田:今は管理会社に管理を任せています。法人を新たに作った場合に「何をするの?」という話も出てきます。

石原:一般的なお話ですが、管理主体の法人を経由して地元管理会社に委託するにしても、書類や請求書の整理、管理会社やリフォーム会社との打ち合わせ、電話対応などの家主業務を法人が代行するなど、実体が伴わなければいけません。またサブリースと言って法人で部屋を借り上げる方式もありますが、借り受ける家賃と、そこから貸し出す家賃の設定も悩ましいと思います。あまりに法外だと経営方針を問われますね。

藤田:「法人化して自分で管理します」となったとき、一部分を残したとしても、いくらとれるのかが問題です。年間家賃収入の5%は取れるのかな?

石原:もしくは「管理業務だけでは難しい」というお考えなら、個人名義で借りている金融機関に「建物だけを法人に移して運営をしたい」と相談してみるのはどうですか? 法人として実績を積み、将来は法人で購入したいことも伝えます。

藤田:法人として借り換えをするのですね。

石原:金融機関が承諾すれば問題ないでしょう。そうでなくても、すでに物件をお持ちですから、他の金融機関へこの状況を説明すれば手を上げてくださるところがあるかもしれません。ちなみに借り換えるにあたって金利は低いのですか?

藤田:もともとは地元の地銀で1.9%の変動金利でした。今回は金利交渉をして1.5%まで下げています。

石原:そうなるとまだ下がる余地はありそうでしょうか?

藤田:他の銀行さんも1.5%が限界のようです。本当なら今後10年間は固定にしたかったのですが、どうしても固定の条件を飲んでくれなくて、1.5%の変動でやってもらいました。

石原:なるほど、状況を承知しました。となると、お金を借り換えるにしても変動だとペナルティがないから好都合かもしれません。固定期間中の解約に対するペナルティは大きいですからね。元本の2%が多いですが、5%や8%といった違約金を課す銀行もありますから。

そもそもなぜ法人にしたいのか。やはり法人で実績を作って、「将来は法人で増やしたい」のと、「相続対策は法人で」と、素直に相談されるのも金融機関にとっては好ましいのではないでしょうか。

藤田:その方法で検討してみます。

石原:またご承知の通り、借り換えで金利は少し下がっても手数料等でお金がかかります。個人から法人への名義変更ですと取得税もかかりますしね。

藤田:規模が大きいものですから取得税がどのくらいになるのか、減価償却の分を合わせても結構いくだろうと予想していたのです。それでも法人にするメリットがあるのか考えていきたいです。

石原:費用がかかるかもしれませんが、税理士に計算してもらってもいいと思います。地銀の他にはどこで借りていますか?

藤田:信用組合にも借りています。

石原:そちらも交渉してみたらよろしいのでは?

藤田:なるほど。話をしてみます!

■今後は築古にも目を向けたい……融資や補修は厳しい?

藤田:最後に、これからの投資なのですが、土地の仕入れからはじめる新築は時間もかかりますし、つなぎ融資も必要なので大変です。そのため3棟目は新築にこだわっていません。石原さんがよく言われている築古アパートを購入する場合、札幌は意外と厳しく、耐用年数を超えている物件に対して融資がなかなか下りないと聞きます。

たとえば築20年の木造アパートだと、融資を引いてもせいぜい5年や10年となれば、なかなかキャッシュフローが出ませんよね。

○Point2 つなぎ融資
土地から購入してプランニングする新築アパート・マンションは、完成前に土地代金や着工金などの支払いが生じるため、完成後ではなく、事前に資金の工面が必要となる。 このような場合に利用できる一時的な借り入れを「つなぎ融資」という。

石原:建物の延命のため、大規模修繕をどこかのタイミングで入れていたら、「このような工事をしたから経済的残存耐用年数は増えている」と主張できるでしょう。もしくは藤田さん自身が「このように再生します!」と計画書を付けたらいいかもしれません。

○Point3 経済的残存耐用年数
税法上の法定耐用年数とは異なり、物理的要因、機能的要因、経済的要因による劣化などを総合的に勘案して、建物が経済的に稼働できる建物の耐用年数をいう。

藤田:なるほど!

石原:建物のどの部分に不具合があるのか。そこをリフレッシュするにはどのような工事が必要なのか。藤田さんならプロとしてマネージメントの資格もおありですから、有利に働くのではないですか。

藤田:そこを利用しながらやっていきたいですね。ところで、築古物件は予期せぬ補修がよく出てくるものですか?

石原:そんなに恐れることはないですよ。それこそ購入時にホームインスペクターに依頼して、金融機関サイドが納得しやすい、目で見てわかりやすい資料を用意するといいでしょう。

○Point4 ホームインスペクター
第三者的な立場、また専門家の見地から住宅の劣化状況や欠陥の有無、改修すべき部分やその時期、おおよその費用などを見きわめて、アドバイスを行う専門業務。

藤田:ああ、ホームインスペクターを利用する手がありますね! 私も外観については、構造系の仕事をやってきましたので理解できます。しかし水周り関係には自信がありません。劣化で最も大きな部分は水周りや、受水槽であると耳にします。

石原:そうですね。建築した当時は、水道の水をいったん貯水槽(受水槽)にプールしてから給水する貯水槽水道方式でも、現在では直接各戸の蛇口へ給水する直結給水方式にしているエリアもたくさんあります。そうすると意外とお金がかからず直せますよ。その辺も調べれば出てくると思います。築古でもどこまで古いものを買うかによりますね。

藤田:お話を聞いていて、意外とランニングコストがかからず、利回りがよければこれも一つの手だろうなと思ってきました。

石原:古くて、融資の金額も期間も思い通りに引けないから売れ残ったような物件、それを安く買い叩ける状況にあれば、もっと利回りが高くなりますよ。

一部屋あたり、平米あたりいくらまで予算をかける、と計算しておけばいいでしょう。再生費用を全て含めての借り入れ金額と、年数もなるべく長く出す。これらがうまくハマれば築古物件への投資も面白くなると思いますね。業界に長く従事して経験豊富な藤田さんが、数字を出して説得されたら相手ものみやすいはず。

藤田:ありがとうございます! 投資家さんの中には物件を増やして規模を拡大されていく方もいますが、私はそこまで考えていません。あと1~2棟買って、家賃収入が今より少し上がればいい。あとは家族との時間を持てるように、残りの人生を楽しむのが私の夢です。

石原:そうですか。ご家族仲がよろしいのですね。

藤田:まだ子どもが小学生なので、おそらく中学生になったらもうお父さんなんて相手にされないかもしれません。今のうち一緒に楽しみたいです。

石原:ずっと親子で接している家族は大人になっても仲がいいと思いますよ!

■対談を終えて…石原氏よりメッセージ

藤田さんは技術士(国家資格)をはじめ幾つもの資格を有し、建設畑で輝かしいキャリアを積んできた建物のプロです。そんな彼が45歳の時に立てた目標は、「収益物件を擁して50歳までに会社を卒業し、家族との時間を持つこと」でした。そしてこの対談から遡ること一週間前、見事にリタイアを達成されたそうで心よりお喜び申し上げます。

北海道に生まれ、札幌に暮らし、地元をこの上なく愛する彼は、今後もこの地に根ざして活動していきたいと言います。厳しさを増す賃貸市況ですが、粋を凝らしたマンションは、さらに「地元の強みを生かした経営を心がける」ことで、盤石な運営を目指されるというお心意気にも頭がさがりました。次のステージへと踏み出した今、ご家族との時間をいっそう大切にされて、末長く、お幸せにお過ごし下さい!
石原 博光

最終更新:11月22日(水)20時00分

不動産投資の楽待

 

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株式会社ファーストロジック

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