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銀行口座が多い人ほどお金が貯まらないのはなぜか?

11月15日(水)6時00分配信 ダイヤモンド・オンライン

自分が思ったより貯蓄できていないという人は、銀行口座をたくさん持っている傾向がある。それはなぜか?(写真はイメージです)
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自分が思ったより貯蓄できていないという人は、銀行口座をたくさん持っている傾向がある。それはなぜか?(写真はイメージです)
● 1年間で使っているお金は? 総額を見て愕然とする

 今年は、いつもより「退職後の生活設計」の相談が多かった。従来であれば定年退職前後の方がほとんどなのが、今年は50歳前後から65歳くらいまで、幅広い年齢層の方が相談に訪れたのが特徴的。「老後不安」の高まりにより「早くから準備しなくては」と考える人が増えたことの表れなのだろう。

 相談の予約が入った段階で、下記のような「年間決算シート」を送付し、相談日までに、シートを使って収入と支出を「年単位」でまとめ、「昨年1年間で貯蓄できた金額」を調べる作業を依頼する。

 相談当日、「決算シートを書いてみて、いかがでしたか?」と聞いてみると、ほとんどの方が「こんなにお金を使っているのかと、驚いた」「見せるのが恥ずかしいくらいお金を使っていることがわかって、相談の予約をキャンセルしたくなった」と言う。「みなさん、同じようにおっしゃいますよ」と言いながら、コンサルティングを進めていく。

 さて、この作業で明らかになるのは、1年間で見た「手取り収入」「支出額」「貯蓄額」の3つの数字。大事な3要素であるが、多くの人はどれも日頃、意識していない数字なので、目の当たりにすると驚くのだろう。

 「手取り収入」は、額面年収から「所得税」「住民税」「社会保険料」を差し引いたもの。源泉徴収票と給与明細があれば、簡単に計算できる。

 みなさんが手間取るのは「年間支出額」と「年間貯蓄額」の把握だ。家計簿をつけていなくても決算できるシートを考案したので、家計簿の記帳の有無は作業時間には関係ない。現状把握に手間取るのは、家計に使っている銀行口座の数が多い人なのである。
● 勤務先の業績は言えるのに わが家の決算はわからないビジネスマン

 1つの例で見てみよう。

 A銀行……給与振込、住宅ローン返済、公共料金、クレジットカード(1)の決裁
B銀行……マンションの管理費・修繕積立金の引き落とし
C銀行……子どもの習い事の引き落とし
D銀行……クレジットカード(2)の決裁、生命保険料の引き落とし
E銀行……妻が食品を購入する際に使う流通系クレジットカードの決裁

 日常的に使っている銀行口座は5つ。これ以外に給与天引きで生命保険料を支払っていたりするケースも多い。

 「お金の出口」が多いと、問題点が2つある。

 まず、支出の整理に時間がかかる。たとえば「食費・日用品」の支出額は、A銀行で決裁するクレジットカード(1)の明細と、E銀行の流通系カードの明細と、現金支出を集計しないといけない。

 生命保険料は、A銀行決裁のクレジットカード(1)と、D銀行、給与天引きの3つから支払われている。ひとつずつは1万円に満たない保険料でも、すべて合計すると、月に5万円も支払っていることが、決算シートを書いてみて初めてわかったという人も少なくない。

 もう1つの問題点は、複数口座からお金が出ていくので、1ヵ月にいくら使っているのか金額を自覚しにくいこと。家計運営上、「わが家は1ヵ月いくらで生活をしているのか」というサイズ感を持っておくことは、とても重要だ。

 「1ヵ月の支出額」を把握しておくと、適正な積立額は簡単に見つけることができるし、勤務先の業績悪化で収入がダウンしたときにも、削減すべき支出額を計算することができる。

 もちろん、60歳以降の2回の収入ダウンの崖(60歳で定年になり再雇用で働いたときと、65歳で年金だけの収入になったとき)に落ちたときにも、「あといくら支出をカットすべきか」が明確になる。
 ところが、セミナー会場で「1ヵ月の支出額がすぐに頭に浮かぶ人は?」と聞いてみると、手を挙げることができる男性はごくわずか。勤務先の業績をすらすら言えるビジネスマンが、わが家の決算は答えることができないのは残念だ。

● 毎月給料日に銀行に 入金して歩く妻は少なくない

 複数の口座にちょこちょこお金を移して貯めようとすると、「昨年1年間の貯蓄額」の把握に手間取る。給与が振り込まれるのはA銀行なので、それ以外の銀行には給料日ごとに「引き落とされる金額+α」を入金して歩く。

 本記事を読んでいる男性は、「いくつもの銀行に入金して歩く?そんな面倒なことはしていない」と言うだろうが、夫はしてなくても妻がしているのである。家計管理を妻に任せていると、通帳の数すら把握していない男性は多い。

 たとえば、C銀行から引き落とされる子どもの習い事の費用が月に7000円だとすると、1万円を入金し、差額の3000円について妻は「貯金したつもり」でいる。

 同じようにD銀行やE銀行にも数千円ずつ多めに入金する。多めに入れた分がちゃんと貯蓄になっているならいいのだが、ほとんどの場合、そうなっていない。数千円分の余剰が1万円、2万円と積み重なったとき、給料日前のピンチのときにおろして赤字補てんに消えたり、外食費に使われたりするのである。

 複数口座に多めにお金を入れて「残った分が貯金」とするのは、まず成功しないと覚えておこう。お金を貯めるには毎月、強制的に積立するのが王道だ。給与天引きや、給与振込口座からの自動積立預金を利用するのが、手間をかけずにお金を貯める方法なのである。

 複数の口座を使うと、支出額も貯蓄額も把握するのが面倒な気持ちになるため、よろしくない。片働き夫婦だと収入は1つ。支出の出口である口座は2つまでとすると管理がラクになる。

 実際、貯まっている人のお金の流れはとてもシンプルだ。銀行口座は2つまでとしている人が多い。それを見習って「口座リストラ」に取り組んでみよう。
● 共働き夫婦は退職前に 「独立採算制」から卒業を!

 長年フルタイムの共働きを続けてきた夫婦だと、「独立採算制」を取っているケースが多い。お金だけでなく家事も分担していると、夫婦それぞれが食品や日用品を買っている。公共料金も「水道代とガス代は夫、電気代とNHKの料金は妻」などと分担していると、世帯としての費目ごとの支出額を把握するのは大変だ。

 働いて2人とも収入があるときは「分担制」で問題は発生しないのだが、退職を迎えるにあたって世帯の「年間決算」をしてみると、支出が煩雑であることに初めて気がつく。2人分の通帳、クレジットカードの明細、給与明細を並べて週末1日がかりでまとめてきたという相談者夫婦は少なくない。

 言わば「支出の棚卸し」作業であるが、面倒でも共働き夫婦は退職前に必ずやっておいたほうがいい。それぞれが負担している金額を出して、「夫婦2人の1ヵ月の食費」「世帯の公共料金はいくら」などと、費目ごとに支出額を把握する。

 年金生活に入ると、共働きとは言っても収入は大幅にダウンするので、「独立採算制」は非効率。それにいつかは「1人分の年金」で暮らすときがやってくるので、「1ヵ月の支出のサイズ」を予め双方が知っておく必要がある。

 共働き夫婦へのアドバイスは、それぞれが分担するのをやめて「生活費口座」を1つつくること。その口座からは、マンションの管理費・修繕積立金や駐車場代、公共料金、新聞代、固定資産税を引き落とすようにする。食費は、クレジットカードの家族カードをつくり、その口座から決済するようにすると「世帯の食費・日用品費」が一目瞭然だ。

 2人の収入比に応じて、毎月「生活費口座」に入金するといい。収入がダウンするごとに支出を見直す必要があるが、その際になるべく手間をかけずに現状把握ができる仕組みづくりをしておくことをお勧めする。

 (株式会社生活設計塾クルー/ファイナンシャルプランナー 深田晶恵)
深田晶恵

最終更新:11月15日(水)10時40分

ダイヤモンド・オンライン

 

情報提供元(外部サイト)

週刊ダイヤモンド

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