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魅力的でも「買いづらい」京都不動産投資の今

10月29日(日)20時00分配信 不動産投資の楽待

(写真:不動産投資の楽待)
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(写真:不動産投資の楽待)
1200年以上の歴史を持ち、多くの世界遺産も存在する国内有数の観光地・京都。その確立されたブランド性に裏付けられ、この地に収益物件を持ちたいと考えるオーナーも少なくない。京都には大学や有名企業も多数あり、「底堅い需要がメリット」だという。さらに近年では観光客をターゲットにした民泊やゲストハウス、あるいは京町屋への投資手法も人気を集めている。

だが、現地取材を行うと、「京都の物件はなかなか買いづらいというのが実情」という声も。京都在住のオーナーらに現状を聞いた。

■インバウンド需要の高さに注目

京都の不動産コンサルタントで、株式会社タカエージェントの高下弘之社長は、「京都市内では、良くて6~7%の利回りです」と話す。全国的な物件価格の上昇も相まって、市中心部では4、5%といった物件も少なくないもようだ。

その一方で、京都では外国人観光客などインバウンド需要もある上、大学や企業が多いことから賃貸需要は堅調だといい、「現在は高値掴みをするような状況ですが、若干物件価格が高くとも入居率も高いので、利回りだけでは測れないメリットはあると思います」と解説する。

インバウンド需要に対応しようと、京都市内には多くの民泊やゲストハウスが設けられているといい、「現在新築や改修されている建物のほとんどが、ゲストハウスや簡易宿所といった旅館業のための建物です。既存の賃貸マンションでも、今はその多くを簡易宿所などに転用しています」(高下社長)。

だが、「個人の投資家が観光客だけをターゲットにすることは危険」と釘をさす。国内外の情勢によって、観光客が激減することもあり得るからだ。そのため、「例えばマンション1棟を持っているとすると、そのうち7~8割程度は通常の居住用として貸し出し、残りを民泊用などとして活用する、というように併用していくほうがリスクヘッジになると思います」と高下社長は話す。

なお、来年6月に施行される「住宅宿泊事業法(民泊新法)」では、年間の営業日数を180日までと制限しており、自治体によってはさらに条例で上限日数を定めることも考えられる。高下社長によると、夏は非常に暑く、冬は非常に寒いという京都の盆地気候も相まって、桜や紅葉の時期である春と秋に観光客がより増えるという。民泊事業を実践する上では、こうした季節を狙うのも1つの手だ。

■手堅い需要を形成する大学・企業

京都市内を中心として数多く存在する大学も、京都の底堅い賃貸需要を形成する1つの要素となっている。総務省によると、2015年時点で京都府にある大学に通う学生は16万人超で、全国5位。さらに、京都大をはじめ同志社大や立命館大なども市内中心部にキャンパスを構えている。さらに京都市は市立芸術大(西京区)を2023年度に京都駅そばの下京区に移転する計画も発表しており、準備が進めば、学生向けの賃貸マンションや若者をターゲットにした商業施設の建設なども見込まれる。

「今まで、京都の繁華街は四条や河原町といった、京都駅から離れた場所でした。しかし、今少しずつその重心が駅の方に向かって移動してきているのではないかと考えています。京都駅周辺は、今後発展していく可能性が高いと思います」(高下社長)

さらに、京都には任天堂や京セラ、日本電産といった有名企業の本社も多い。高下社長は「こうした学生や企業勤めのサラリーマンが全員京都の賃貸住宅に住むわけではないにせよ、手堅い需要があることは確かです」と話す。

京都の不動産投資市況の実態をさらに探るため、京都市や近郊に住むオーナーに集まってもらい、テーマに沿ってそれぞれの経験や知見を聞いた。教えてくれたのは、京都や隣県の滋賀に物件を持つオーナーが集まる「京滋大家の会」の面々で、築古大家のコージーさん(以下コージー)、京都ママさん(以下京都ママ)、Hanakopapaさん(以下Hanakopapa)、shamojiさん(以下shamoji)、かまぼこ大家さん(以下かまぼこ大家)、大津市のサラリーマン大家さん(以下サラリーマン大家)の6人。

まず知りたいのは、京都の利回り状況はどうなっているのか、そして、京都物件が「買い」かどうかだ。

かまぼこ大家: 直近で物件情報を見ても、築20~30年の物件でも利回りは5、6%といったところですね。

サラリーマン大家: 京都市内中心部では、4、5%の物件もざらにあります。

コージー: そうなると必然的に、市内中心部ではなくて伏見区や山科区、近隣の宇治市、城陽市といった場所で、いい物件がないかどうかを探すイメージですね。

やはり利回りとしては厳しいという印象が多いようだ。一方で、京都における賃貸需要の高さは旨味でもあるという。

コージー: 全国的な流れの中では、京都の賃貸需要はかなり強いです。物件を買って条件を調整して、入居付けに困るということはあまり経験がありません。人が普通に住んでいる地域で「相場より家賃を下げても入らない」ということはほぼあり得ませんね。

こうした需要の高さを背景に、京都では敷金や礼金を各1~2カ月分は設定できることが多いという。「京都は全国でも更新料や礼金をしっかりとれることで有名ですよね」と、前出の高下社長。特に更新料では、1年に1~2カ月分得る事例も多かったというが、「だんだん厳しくなってきて、現在はやはり通常通り2年に1~2カ月分が相場」とみている。

サラリーマン大家: 物件にもよりますが、入居者の入れ替わりのタイミングで、条件を緩和しないと決まらないということは徐々に増えてきています。

コージー: 礼金1カ月分はかなり高い可能性で得られています。更新料は正直物件次第ですね。更新料を払ってでも住みたい人気のエリアなどであれば、設定できています。利回り12%のアパートを所有しているのですが、全6室のうち3室では更新料をいただいていますし、そのうち2室の更新料は1年に1カ月分です。また私の場合は、入居者が生活保護受給者であれば1年で1カ月分の更新料をお支払いいただいています。

生活保護受給者のほか、学生向けマンションでは短期間入居の場合が多いため、敷金や礼金、更新料をより多く支払ってもらうことも可能だという指摘もあった。

コージー: 京都は、見た目の利回りが低くとも工夫の余地が多いのではないかと思っています。敷金や礼金、更新料もそうですし、賃貸需要の高さもあるので、京都の魅力はそこだと思います。

shamoji: 私は大阪をメインに投資しているのですが、京都の良さの1つが空室が出にくいことであるというのは間違いありません。将来的に見ても、京都というブランドが確立されているので、価値が毀損しにくい。これは以前からですが、大阪に比べれば物件価格が高く、利回りが低い傾向にあるので、利回りを重視すれば大阪の方が「買い」になるかもしれません。利回りなのか、資産価値なのか、どこに重きを置いた投資をするかというスタンス次第ですね。

コージー: 京都という土地柄、伝統工芸もありますし、観光客の需要もありますし、不況がきてすぐに工場撤退、というような地域とは違いますから、賃貸需要の手堅さはありますね。万が一需要が減ることがあっても、極端に半分以下になるような場所ではありません。盆地なので台風にも強く、地震の揺れにも強いと言われている。下手なエリアにバンバン手を出すより、京都で投資すること自体がリスクヘッジになるとも思います。

そんな京都市内には11の行政区があり、宇治市や向日市、長岡京市、亀岡市といった自治体と隣接している。京都の投資家たちが考える「狙い目」や「勝てない」というエリアはどこだろうか。

Hanakopapa: 京都市内にはJRのほかに阪急、近鉄、京阪、そして地下鉄烏丸線と東西線などが走っていますが、複数路線が使える場所はもちろん人気ですよね。一方、不便ですがなぜか人気なのは右京区の映画村(太秦)の近くでしょうか。

コージー: その近くの花園駅周辺では、私が地元の管理会社に聞いたところによると、現在新築物件がものすごい勢いで建っているそうです。ほとんどがサブリース物件のようですね。新築なのに中古物件と同じような家賃で募集がかかっているので、既存の物件を持っている大家さんが悲鳴を上げているということです。勝てないエリアですね。また、阪急沿線は手堅い需要があります。それと京都の場合は、大阪通勤圏も考慮に入れるといいと思っています。大阪へのアクセスという意味では、伏見区や長岡京市、向日市はそういうエリアとして需要があります。

京都ママ: 実は先月、山科区のかなり奥地に戸建て物件を200万円強で買いました。現在リフォーム中なんですが、駐車場有、4万円ちょっとで募集しています。入居が決まれば利回り20%ほどですね。今までの不動産投資がうまくいっていたので、もっとチャレンジしてみたいと思って難しい物件を買ってみました。

コージー: その場所だと、車で生活する人が入居してくれるかもしれませんね。でも、京都市内で雪が降らなくても、この地域では降るというくらいの奥地ですよ。なかなか大変だと思います。

サラリーマン大家: このあたりでよく、1棟モノが高利回りで出てきますね。

コージー: いくら想定利回りが高くても、アパートなんて買ったら絶対に空室は埋まりませんよ。買ったらダメだと思います。戸建てで、さらに駐車場必須で、さあ勝負! という感じです。

同様に、京都市近くの京田辺市でも高利回りのアパートが出始めているという。2013年、同志社大京田辺キャンパスの文系の4学部が京都市上京区に移転した影響が大きいと見られている。

コージー: 京田辺市も1棟モノが高利回りで出ていますけど、しんどくなっていると聞きますね。一方で、京大吉田キャンパスや同志社大今出川キャンパスの周辺は物件が足らないような状況だということです。

かまぼこ大家: 京都駅の近くには市立芸術大が移転してくるそうですから、今のキャンパスがある西京区のあたりに物件を持っている人は早く売るという判断も必要かもしれません。

コージー: 大学で言えば、物件を持つときに大学が近くにあるから安心、というのではなく、その大学が「親が子どもを下宿させてまで(一人暮らしさせてまで)通わせたい大学なのか?」はシビアに見たほうがいいですよね。国立大やいわゆる関関同立(関西大、関西学院大、同志社大、立命館大)の「同立」は京都にあるので、その近くなら問題はないと思います。

京都ママ: 私が物件を買うときには、地元の不動産会社、少なくとも4、5社には賃貸需要などを尋ねるようにしています。やはり地元の人に聞くのが一番わかりますから。

■民泊需要の高まりの反面、感じている恐怖

現在、下京区や南区には京都駅へのアクセスの良さもあり、現在ゲストハウスや簡易宿所、ホテルなどが数多く運営が行われている。この地域は御所を中心にすると離れた地域のため、以前はあまり開発されてこなかったエリアだ。

コージー: 駅周辺地域は、今、京都以外の投資家や業者が買って、旅館業として運営しているケースが多いと思います。大型商業施設もできましたし、地域活性化してきたイメージがありますね。

だが、こうした旅館業の活発化や、来年からの民泊需要を期待した物件の乱立には注意が必要だとの指摘も数多く出た。

Hanakopapa: 今京都では物件が足りないという話もありますが、それはある意味間違いだと思います。10年以上前から物件は余っていて、それが今、居住用に限定されなくなってきた。簡易宿所や民泊に転換されて、足りない気がしているだけです。原発事故や国際情勢の変化、経済的なショックなどが起きれば、いつその観光客の需要が激減するかわかりませんから、覚悟しておかないといけないと思います。

コージー: 確かに、今普通のアパートも民泊転換しているところが非常に多いです。今そういった観光客向けの物件も、ワンルームや1Kが多くて、いつでも居住用に転換できるように建設されているようですから、それがあるとき放出されればと思うと怖い部分はあります。

京都の古い民家をリノベーションし、人に貸す。いわゆる「京町屋」への投資にあこがれるオーナーも少なくない。shamojiさんは、京都中心部の町屋投資で、30%近い利回りを実現している。

shamoji: 3~4年前に200万円で購入しました。今はかなり値段が高いので、こんな価格では買えないと思います。しかも、ちょっと事情があったんです。実はこの物件は土地が借地権で、土地のオーナーは収益物件、特にシェアハウスなどとしての利用を認めてくれなかったんです。私も将来的には自分で住むという前提で購入し、一時的に人に貸すことを認めてもらっています。京都には、こうした土地がけっこう多く、特に寺社仏閣が土地を所有している物件というのが今でも多数存在します。私の物件は京都の中でもかなり観光地にあるので、それこそ民泊でもやれば利回りは何倍にもなると思いますが、土地の所有者がいてかなり厳しいので、民泊などはやりません。

サラリーマン大家: 寺社仏閣が土地を持っている物件は本当に多いですよ。そういう場所では、物件を買うにあたっても属性や、ただお金を持っているだけでもだめで、物件をどのように使うのかということを厳しく審査されるということです。

これについて、自身も投資家である不動産コンサルタントの田中和彦さんも同様の指摘をしている。「京都では何代も前からの地主というのがとても多く、人の入れ替わりもそこまで多くありません。そうなると、自分が住んでいなくとも『ご近所に迷惑はかけられない。ゲストハウス目的としては売らない』といったように、厳しく買主を選別するんです」

shamojiさんの物件も、土地が借地権の物件だった。立地の良さや状態の良さ、そして何よりその安さから買い付けは殺到したが、すべてシェアハウスなど収益が第一目的だったため、契約に至らなかったという。

shamoji: 延床面積は120平米くらいあり、中もほとんど手をいれずに貸し出せました。広い庭もあるんです。唯一の難点はファミリー向け物件にもかかわらず3点ユニットバスということ。借り手がつくか不安でしたが、若い新婚夫婦が入ってくれました。どちらも職人さんで、作業場兼住居として利用したいということでした。家賃は月6万円ですが、そのうち1万3000円が地代なので、手元に入ってくるのは4万7000円。それでも実質利回りで20%以上です。

現在、町屋の価格はどんどん値上がりしており、中心部になると数億円を下らない物件も多いという。確かに町屋であれば価値も高く、魅力的で入居付けにも困らない面はあるが、その利回りはかなり低くなるうえ、さらに土地の所有権や近隣との関係にも注意が必要となる。

■「京都外から買えない」実情

ここまで京都のオーナーらに、利回りだけに頼らない魅力を語ってもらってきた。しかし、実は京都の物件は「買いづらい」という。

築古大家のコージーさんは「正直に言って、京都は京都外からの買い付けを嫌う面があります。100%他の地域の投資家が買えないということではありませんが、例えば、他の地域の投資家が買い付けを入れていても、京都在住の私が後から買い付けを入れて通ってしまったというケースもありました」と明かす。

特に、悠久の歴史を積み重ねてきた京都市内中心部はかなり厳しいという指摘は多い。不動産コンサルタントの田中さんは「特に、例えばですが東京の投資家が東京の不動産会社に声をかけても、物件を買うことは難しいと思います。東京の投資家であっても、京都の不動産会社にきちんと何度も通い、信頼関係を築ければ、少しは可能性を開けると思います」と語る。

そんな田中さんが勧めるのは、京都の隣、滋賀の物件だ。実は、座談会にも滋賀在住や滋賀に物件を持つオーナーがオブザーバー参加をしてくれていた。滋賀県の県庁所在地、大津市は京都市までJRで2駅しか離れておらず、約10分で移動が可能な近さだという。

「京都から離れていけば物件価格は安くなりますが、大阪に近づけばまた物件価格は高くなります。滋賀、特に大津や草津はベッドタウン的な位置づけで、京都市内への通勤圏ですし、より賃料が安い滋賀に住みたいと考えるサラリーマンファミリー層は多く、賃貸需要は高いです。『京都ブランド』によるキャピタルゲインを狙うなら京都ですが、京都に固執せず、滋賀という選択肢もあると思います」

歴史に彩られたまちだからこそ、固有の事情や市況を持つ京都。利回りは低くとも、資産価値の高さや賃貸需要の高さは魅力的であることは間違いない。京都への投資を考える上では、民泊新法にともなう京都市の条例制定の動向、また、再開発エリアの発展動向などについて、アンテナを張っておくことは非常に重要だ。
不動産投資の楽待 編集部

最終更新:10月29日(日)20時00分

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株式会社ファーストロジック

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