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男性入居者がいつの間にか女性に……対処法は?

10月21日(土)20時00分配信 不動産投資の楽待

(写真© kazoka303030-Fotolia)
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今回は、3カ月間家賃を滞納している物件で、賃貸借契約を交わした当人である男性は知らないうちに退去しており、物件にはその男性と交際していた女性のみが住んでいたというケースについて、どのように対応していったらよいか、というご相談です。

このケースは、家賃3カ月分の滞納と、賃借人が知らないうちに物件から出てしまっており、契約もしていない賃借人の元交際相手の女性が残って居住しているという2つの問題があります。そこで、まず契約を解除することができるかどうかをこの2つの点から検討します。

3カ月分の家賃を滞納している入居者(男性)がいたので訪ねたら、契約していない女性の方がいました。事情を聞いてみると、カップルで一緒に住んでいてたが別れてしまったため、今は彼女のみが住んでいるそうです。すぐに契約解除+新たに契約しようと思いますが、まず何から片づけるのが正解でしょうか?

■カップルでの同居や、交際終了後に賃借人ではない女性だけが居住していることのみを理由とする契約解除は困難

多くの賃貸借契約書では、契約時に賃借人名だけでなく同居人を記載する欄が設けられています。それだけでなく、「賃借人は賃貸人に無断で同居人以外の者を本建物に入居させてはなりません」などとして、契約時にあらかじめ告知した者以外の入居は認めないこととする条項が入っていることも少なくありません。

こうした条項が設けられるのは、物件を貸すオーナーにしてみれば、誰が物件に入居するかは契約するうえで重大な判断要素となるからです。極端な話、賃借人には問題がなくても、暴力団関係者が同居したりするようなことがあれば、オーナーは困ってしまいます。そのため、あらかじめ入居者についても情報の提供を受けておくわけです。

ご相談のケースでは、物件を訪ねて初めて契約していない女性の存在を知ったのですから、契約時にはその女性と同居することをオーナーは告げられていなかったということになります。あるいは、契約した後に賃借人がその女性と交際を始めて同居することになったのかもしれません。

いずれにせよ、事前にオーナーに知らせた者以外の者を入居させてはならない旨の条項が契約書に入っていたとすれば、その女性を入居させた行為は契約違反ということになります。

さらに、同居していただけでなく、現在は賃借人だった男性は物件から退去してしまい、女性のみがその物件を使用しているということについてはどう考えたらいいでしょうか。

こうした場合、女性がその物件で居住を続けるという意向なのであれば、賃借権がオーナーに断りなく男性から女性に譲渡されたということになるでしょう。賃貸借契約書には、ほとんど例外なく、賃借人は賃貸人に無断で賃借権の譲渡や転貸を行ってはならないとする規定が設けられており、これに違反した場合には賃貸人は賃貸借契約を解除することができるとされています。

また、このような規定がなかったとしても、民法は賃借権の無断譲渡や無断転貸を禁止しており、これに違反したとき賃貸人は契約を解除できると定めています。

しかし、契約に違反してオーナーに無断で交際相手の女性を同居させ、さらにその後に賃借人である男性が退去したことにより賃借権の無断譲渡が行われたとみることができたとしても、そのことだけで契約を解除できるとは限りません。むしろ実際には、契約を解除できないことの方が多いでしょう。

それは、判例上、契約条項等に違反した場合であっても、賃貸人と賃借人との間の信頼関係が破壊されたと認められる場合でなければ契約を解除することはできないとされているからです。

例えば、賃貸物件が単身者専用とされているのに無断で交際相手を同居させただけでなく、同居によって騒音やゴミ出しなど迷惑行為があり、これについて隣人などからの苦情が絶えず、何度注意しても直らない、などといった他の事情がある場合。その程度にもよりますが、信頼関係を破壊するものとして契約解除が認められることもあり得るでしょう。

しかし、ご相談のように、オーナーがその部屋を訪ねるまで同居者がいたことさえ分からなかったというような場合には、同居したこと自体がオーナーとの信頼関係を壊すとまではなかなか言えないため、そのことを理由とする契約解除は困難と言わざるを得ません。

ご相談のケースでは、賃料が3カ月未払いになっているという事情もあります。これについては、支払いを催告し、それでも支払いがなければ契約を解除する立派な理由となります。さらに、賃借人の男性が無断で退去して女性が居住しているという状況もあるため、この事情と3カ月滞納という二つの事情を合わせて、信頼関係の破壊の程度が著しいということで催告をせずにただちに解除する、という作戦もあり得ます。

しかし、結果的に催告なしで解除することは認められないと判断されるリスクがありますので、明渡しを求めたいなら、まずは交渉して任意の退去を求めるべきです。そして、任意の退去に応じてもらえない場合には、手堅く催告したうえで解除する方がよいでしょう。

その場合、誰に催告や解除の意思を通知すべきかという問題があります。オーナーからすれば、女性への賃借権の譲渡を簡単に認めるわけにはいきません。しかも、カップルとして同居していたが別れて男性が出て行ったという事情から賃借権の(無断)譲渡があったと認められるというのも、入居中の女性の言葉からそう判断しているだけなので、実際の事情は異なるのかもしれません。

したがって、賃借名義人である男性に支払いを催告し、支払いがなければ契約を解除する旨の通知をすべきです。ただし、催告後すぐに未払いだった賃料が全額支払われ、賃借権の無断譲渡を理由とする契約の解除も認められない結果、実際に居住している女性を賃借人として契約を継続することになる場合も考えられ、また、実際に物件内に居住しているのは女性なので、その女性にも賃借人である男性に対し催告書を発送した旨を伝えておくべきでしょう。

■明渡を求めない場合には新しく契約を

たとえば催告によって賃料が支払われるなどして契約の解除が困難だったり、居住中の女性が分割での賃料の支払いを約束するなどの事情から即時の明渡しを求めるまでもないと判断した場合など、女性の居住を認めて契約を継続するときは、その女性との間で新たに契約をし直すべきです。

契約書上の賃借人名義と実際の入居者などの実体が異なる状況は好ましくありませんし、入居者の身元や就業先などをきちんと確認して今後の賃貸管理を適切に行う必要があるからです。

また、女性を契約し直す場合にも、後々のトラブルを避けるため、無断で退去した男性との賃貸借契約は終了したことを確認し、きちんと敷金などの処理(女性に敷金を引き継がせる場合もあります)を行っておくべきです。

■結論

○契約を解除できる可能性は、滞納賃料の支払いの有無で異なる

本件で契約を解除することができる可能性は、仮に催告して賃料を支払ってきたというケースなら20%程度、催告しても賃料が支払われなかったというケースなら90%以上といったところでしょう。
鷲尾 誠

最終更新:10月21日(土)20時00分

不動産投資の楽待

 

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不動産投資の楽待

株式会社ファーストロジック

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