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<勝者の成功哲学 Vol.4>藤山勇司さん

10月20日(金)20時00分配信 不動産投資の楽待

(写真:不動産投資の楽待)
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(写真:不動産投資の楽待)
今から24年前、勤めていた商社のプロジェクトの実績づくりのため、競売で不動産を落札して「大家さん」となった藤山勇司さんは、いわゆるサラリーマン大家の先駆けの1人。商社の自己破産をきっかけに専業大家となり、現在は総資産額7億5000万円、所有物件数13棟117室に上る。「他の人と比べれば何それ、って規模だろ?」と笑うが、それは自身の目標が「貸家主義を文化にすること」だからだ。

後進には自身のノウハウを惜しみなく分け与え、多くの成功者を育ててきた。執筆した本は25冊、直接教えた「弟子」は約3000人。多くの不動産投資家から慕われ、そして彼らに愛を持って接する「藤山先生」に教えを請うた。

■会社員時代に身につけた「論理的思考」

「大家さん」になったのは24年前、競売で物件を所有したところから始まる。東証一部上場の「大倉商事」の商社マンとして、競売不動産の再販売に関するプロジェクトを起案。その実績を作るために自身で落札した物件を運営し、家賃収入を得始めた。

その後、サラリーマン大家として所有物件を増やしていったが、ある事件をきっかけに専業大家の道を歩むことになる。大倉商事の倒産。1998年のことだ。

この会社員時代が、現在の自分の血肉となっていると感じているという。「相手に、短時間で間違いなく伝えるためのテクニックを身につけられたのは、大倉商事時代があったからですね。例えば『これを購入してください』って営業するにしたって、数字の裏付けや購入するためのロジックを自分がきちんと説明できないと、買ってもらえない。『この野郎、買えよ』って脅しても買ってくれないでしょう。あの経験がなくてもそれなりに儲けていたとは思いますが、相手に納得してもらうやり方を身につけられました」

こうした経験から、論理的思考を大事にしている。「問題を解決するために、根本の原因をしっかり考えないといけません。その物件の空室が埋まらないのは、仲介業者のせいでも、入居者のせいでもない。その物件に魅力がない、問題がある。ただそれだけ。最初にきちんと問題の性質を把握すれば、リフォームをすべきなのか、故障を直すべきなのか、するべきことがわかります」と語る。

■「残債比率」に注意せよ

多くの不動産投資家に「忠告したい」と、「残債比率」の大切さを訴える。不動産投資をする上で重視している考え方で、年間家賃収入を残存債務で割ることで算出する。

「残債比率が20%以上なら、どんぶり勘定でも問題ないですよ。15%で少し気を付けた方がいいくらいですね。10%はギリギリ、8%以下ならいつ破産してもおかしくありません」

8%で危険だと警鐘を鳴らすのは、ここからさらに固定資産税や修繕費などが必要となるからだ。ちなみに、自身の現在の残債は約9000万円、年間家賃収入は5300万円ほど。残債比率でいうと58%だ。

規模を拡大していく上でも、この残債比率を見ることが重要だという。

「借金は返済し続ければ減るから、本来なら残債比率は向上していくはず。ですが、物件や融資額によっては、残債比率が悪くなるものもある。そういった、残債比率が極端に悪くなるような投資は避けたほうがいいと思います。予想値を計算しながら、今拡大しても大丈夫なのか、拡大できる時期は何年後なのか。この残債比率さえきちんと計算しておけば、まず間違いありません」

どんどん投資を進めるのではなく、残債の金額など、タイミングをきちんと把握することが必要という考えだ。

「今持っている物件?116……いや、この前1部屋買ったから117室ですね。電話がかかってきて、『この物件をどうしても買ってほしい』って言われたから、その場で買いました。私のところに来れば幸せになれるとわかっているから、物件の方から来るんですよ(笑)」

電話を受けた場所はハワイだった。「キラウェア火山の近くに火口があって、そこをトレッキングしていたら電話がきたんです。でも電波が悪くて、あっちいったり、こっちいったり、ここなら電波が入る!っていう場所を探しながら、その場で『じゃあ買うよ』って」

一方で、規模を拡大することに執着はない。「今117室。これを500室にしよう、1000室にしようっていうのは簡単だけど、必要ないんですよ。そのエネルギーがあるなら、後継者を増やしたい。貸家主義を教えたいんです」

「貸家主義」は自身が掲げるモットーだ。貸家、つまり賃貸物件を第一に考え、魅力を見つけ、磨くことで安定した収益を生み出し続けてもらう。「出口戦略に対抗する標語」だという。「5年から10年で修繕しないと維持できない、そういう間際の物件をいかに高く売り抜けるか。それが出口戦略の本質です」

■「クソ物件」だらけになる

「出口戦略というのは、お金のかかる大規模修繕を自分の代でやりたくない、『ババ』を次のやつに売りたい、そうやって逃げようという戦略なので、そんなことばかりしているとだんだんと不動産から嫌われていきますよ」と警告する。

新しく綺麗な「いい物件」はすぐに売れていく。しかし、修繕をしていない古く汚い物件は自身の手元に残る。「出口戦略という標語に乗ると、自分自身の物件は『クソ物件』だらけになります」

そもそも、出口戦略は不動産業者の仕掛けたキャッチコピーだと指摘する。「出口戦略が誰にとって得なのか。それは大家さんにとってじゃありません。不動産業者です。出口戦略は安定した家賃収入を先食いして『大家さんを辞めませんか』ということ。そしてしばらくするとまた『大家さん始めませんか』と来る。その間に何が行われたかと言えば、仲介手数料で不動産業者が儲けているんです」

もちろん、不動産業者を否定するつもりは一切ない。しかし、自身の本を読んでサラリーマン大家になった教え子が、成功した後に大家業を辞めて不動産業者になるケースが多いことを嘆く一面もある。「不動産業者になって、後から来た大家さん希望者をだまして飯を食っている……何をやっているんだ、と思いますね。だからこそ、私は自分でノウハウを教えているんです。みんながみんな、そんな不動産業者だったら夢がないでしょう。1人でも、仲介手数料を取らないでノウハウを教える人間がいてもいいんじゃないかと思っています」

■自分がいなくなった後のために

これまで3億円ほどを投資してきた。融資の返済や税金を引いた年間のキャッシュフローは2000万円ほど。「メガ大家って言われる人からすると、何それって金額でしょう? でも、私から言わせると借金7億円とか、それって危ないです。棟数も多いから全部管理会社に任せていて、家賃収入の1割は管理費にとられているわけだし」

物件の管理や経理は、基本的に妻が担当している。それは、経費を削減する目的よりも、自身が「いなくなった後のため」だ。「女房が物件を相続して、たとえ家賃が入ったとしても賃貸経営のノウハウを女房が知らなければ、『入居? 退去? どうすればいいの?』になってしまう。だから、今は女房にハンドリングを任せているんです。私が死んだあとも食うに困らないように」

その代わり、食事作りはすべて行う。「朝昼晩、3食作っていますよ。買い物も自分でするし、子供たちの弁当も作るし、生地からピザも作るし、おせちも、バースデーケーキもすべてイチから手作りです。寿司も握れますよ(笑)」

■1番の物件を目指すな

家族を大事にする姿勢は、自身が初心者に一番伝えたいという内容にも表れる。

「大事なことは、家族がいるなら家族の理解を得ずに突き進むな、ということ。そして理解を得たいなら、まず自己資金で1棟目を買いなさい、ということです」

自己資金で物件を買い、そして小さくとも家賃収入が実際に入れば、家族も納得しやすくなるからだ。「家族の意思が統一されていないと、船は真っ二つに割れますから。それだけはダメです」

また、家族だけでなく不動産業者も「一緒に貸家を盛り上げてくれる人」。そのため、関係づくりの重要性も指摘する。

「一緒にビジネスをしてもいいな、と思ってもらえる体制を作ったほうがいいと思いますよ。例えばサラリーマン大家さんの場合ですが、入居希望者がいる、不動産業者はあと少し条件を下げられれば入居につながるから大家さんに連絡を取りたい、でもその大家さんは本業の最中でレスポンスは数時間後…。それではダメです。最初から、入居条件はどこまで下げられるのかといったことをきちんと打ち合わせしておくべきです」

初心者に陥りがちな失敗にも言及する。「100の物件があって、90人の入居希望者がいるとする。それなら、50番に入る努力をすればいいんです。気を付けなければいけないのは、新米の大家さんはとにかく1番を目指してしまう。そうすると、リフォームにお金がかかるので、高い家賃を設定するしかない。結果的に賃貸物件としての魅力が薄れてしまうんです。物件は清潔であれば、そこそこで十分なんです」

信条は「3つの『あ』」。藤山さんがこれまで何度も伝えてきた名言、「あわてず、あせらず、あきらめず」だ。「物事を慌てたり、焦ったりしてあきらめてしまう人。そういう人は不動産投資でも失敗してしまうと思っています」

これは、初心者に対するメッセージにもつながる。「慌てたり焦ったりすることなく、自己資金で一戸目を買うんだ、とコツコツお金を貯めてきた人。こういう人は貯めている間に自分に我慢強く言い聞かせて勉強してきている人ですから、まず失敗することはないですね」

ちなみに、「3つのあ」は英語で言うと「RPG」だと笑いながら説明してくれた。「don’t Rush, don’t Panic, never Give upです」。

信条はもう1つある。「ギブ&ウェイト」だ。

「商売はギブ&テイクです。ライター1つ欲しい人は、お金と交換でライターを手に入れる。お店はライターと引き換えにお金を得る。でも人生はそうじゃなくって、ギブ&ウェイト、すぐにテイクしなくてもいいと思っています。待つんです」

いい物件に出会うためには、いい不動産業者と出会うことが大切だ。札幌で物件を購入しようとしていた時、現地に飛んだ藤山さんはまず繁華街の付近をタクシーで2、3周ただただ回った。運転手がしびれを切らして行き先を尋ねると、「酒を飲むのにいい店を紹介してくれ」と告げる。その運転手が紹介してくれなくても、2台、3台とタクシーに何度も乗った。

そうして、その中の1人の運転手が紹介してくれた店に行き、ただ酒を飲む。ボトルをキープし、「来週また来るよ」と言って、その週は帰ったという。そして、「約束通り、また来たよ」と翌週も、東京からわざわざその店を訪問。この不思議な客にお店のママが「あんた何なの?」と尋ねたところで、「いい不動産業者を知っていたら紹介してほしい」と明かすのだ。

「不動産業者は遊び好き、そして腕のいい不動産業者はいい店に通っている、と考えたんです。そのいい店に通ってそこのママに信頼してもらえれば、いい不動産業者に出会えるはずだ、と」

もちろん無駄足に終わることもあるが、それでもあきらめず、またタクシーに乗るところから始めるという。「ちゃんと人と出会うためには、時間もお金もかけます。だから信頼してもらえるんです。お店にすぐ行って、『これだけ支払うから紹介してね』というのは違います。ギブ&テイクだけでやっていく、そんなのは浅い人です」

何事でも信頼関係を重視している。「仲良くなれないのは、うそを言うやつ。口約束が通じないやつ。何かが出来なかったときに、言い訳をするやつ。対案を示さないやつ。こういうやつとは付き合いません」

■貸家主義を文化に

現在の目標は「貸家主義を文化にすること」。出口戦略に頼らず、物件が古くても直して、使い続けていいという考え方を残していきたいという。そのために自身だけが貸家主義を貫くのではなく、弟子に教えを広め、講師を誕生させるために活動している。

「貸家主義がなくならないように文化として定着させることは、大家さんブームに火をつけた1人である自分の責任だと思うんです」。熱い思いを抱えた挑戦は続く。

○藤山勇司さんプロフィール

1963年1月24日生まれ。現在54歳。広島県呉市出身。東証一部上場の大倉商事に勤めていた時代のプロジェクトをきっかけに、競売で不動産を取得。その後大倉商事の倒産で専業大家になる。総資産額は現在7億5000万円、所有物件数は13棟117室。自身のノウハウを伝えるべくこれまでに25冊の本を著し、累計53万部を突破した。
不動産投資の楽待 編集部

最終更新:10月20日(金)20時00分

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株式会社ファーストロジック

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