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シングルマザーを救う、専用シェアハウス投資

10月19日(木)20時00分配信 不動産投資の楽待

(写真:不動産投資の楽待)
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(写真:不動産投資の楽待)
近年、さまざまなコンセプトのシェアハウスが誕生している。2014年9月に東京・浜田山で運営を開始したシングルマザー専用のシェアハウス「コドナハウス(codonaHAUS)」もその一つ。いわば、シングルマザーのシングルマザーによるシングルマザーのためのシェアハウスだ。

厚生労働省が平成27年に公開した資料「ひとり親家庭等の現状について」によると、全国の母子世帯は約124万世帯(平成23年度)。この25年間で離婚母子が約20%、未婚の母が約4%増えていることがわかっている。

彼女たちの平均年間就労収入も悲惨な状況といえる。一般世帯は女性269万円、男性507万円なのに対し、シングルマザーは181万円(正規雇用270万円、非正規雇用125万円)で、その差は歴然としている(出典:平成23年度全国母子世帯等調査、平成26年労働力調査、平成22年分民間給与実態統計調査)。

仕事と家庭の両立が難しく、労働時間を削らざるを得なかったり、パート・アルバイトなどの非正規雇用を選ばざるを得なかったりと、不安定な生活を送るシングルマザーが多い実態がある。

彼女たちシングルマザーを、シェアハウスを通じてサポートしようとする動きが広がっている。不動産を所有するオーナーがそういったシェアハウス運営に携われば、社会貢献できると同時に、一つの投資手法になるといえるだろう。今回、前出のコドナハウスを主宰する潟沼惠(かたぬま・めぐみ)さんに話を聞いた。

■立ち上げのきっかけは、ある「気づき」

シングルマザー向けシェアハウスのはしり、ともいえるコドナハウス。何をきっかけに、入居者をシングルマザーに絞ったシェアハウスを運営しようと思い立ったのか。シェアハウス立ち上げには、潟沼さん自身の経験が大きく関わっていた。

6年前、18年連れ添った夫と離婚した潟沼さん。当時高2と中2だった子ども2人を連れて家を出た。夫が経営する会社に勤めていたため、離婚と同時に仕事も失ってしまったが、子どもたちの学費を稼ぐために、新築の注文住宅の営業職に就く。

不動産営業の現場はハードだ。歩合制に近い給与形態で、稼ぐためにかなりの時間を仕事に費やすことになったそう。高校・大学進学を控えた子どもたちのことを思うと、それなりのお金が必要――。潟沼さんが仕事に励めば励むほど、家にいない時間が増え、我が子とのコミュニケーションは少なくなっていった。長期休みには子ども2人だけで1日3食とっていたこともあるという。

「高2と中2だったのである程度の年齢ではありますが、寂しい思いをさせてしまっているな……と感じていたときに、ふと、もっと幼い子どもを抱えつつ仕事が忙しいシングルマザーは、さらに大変だろうし、彼女たちの子どもも寂しさを感じているんじゃないか、と思ったんです。それなら、シングルマザー向けのシェアハウスがあればいいのでは、と思い立ち、戸建の賃貸物件を探し始めました」(潟沼さん)

内覧した戸建の賃貸物件は100件以上にも及ぶ。戸建の賃貸は市場に出回っている数としては多いものの、あくまでもファミリー向けに貸し出していて、シェアハウスのような特殊な用途では貸せない、というオーナーがほとんどだったという。現在の物件はオーナーが快諾してくれたため、即決したのだと潟沼さんは振り返る。

こうして2014年に生まれたコドナハウスは、最大4世帯が入居できる一軒家タイプのシェアハウス。各家族(母+子ども1人以上)の個室4室(うち1室は1階、3室は2階。広さは4.5~6畳)と、共有スペースとなるリビングダイニング、キッチン、バスルームで構成される。

事務連絡用の黒板を取りつけたり、子ども向けに一部アレンジしたりはしているが、物件をほぼそのままの状態で生かして使っている。

賃料は部屋によって異なり、月額6万9000~7万7000円。これに共益費3万3000円(電気、水道、ガス、インターネット利用料、共用部清掃管理料及び備品、シッター代金週2回、食事代金週2回を含む。季節により増減あり)がプラスされ、家族全員が10~11万円で暮らせる。

家具家電付きにしているため、身軽な状態で入居でき、初期コストを抑えられるのも、入居者にとってはうれしいところだ。潟沼さんに初期投資額を聞くと、おおよそ100万円前後とのこと。

◯初期投資額

(1)1軒分の家具家電一式 約45万円
※大型家具・家電は主にリビングダイニング、キッチン、バスルームなどの共有スペースで共用するため一つずつ揃え、各部屋にベッドや机、電気など個々の家具・家電を設置
「IKEAやリサイクルショップを駆使すると、費用をかなり抑えることができます。中には家電量販店が経営するリサイクルショップもあり、そこでは配送もしてくれるため、価格は最安でなくても比較的安価に済みます」(潟沼さん)

(2)広告費(ロゴマーク、HP、チラシ作成費など) 約30万円

(3)家賃 約18万円、それに伴う初期費用(敷金、礼金、仲介手数料それぞれ1カ月分)
※コドナハウスは賃貸物件で運営しているため、毎月家賃の支払いが発生

「普段の稼働率は50~75%、売上は年間300万円ほどになります。満室想定では480万円ほど。250万円ほどが家賃として経費になるので、初期費用に対する利回りは約30~75%です。ただ、後述するように、手間や労力は他のシェアハウスや物件よりも、はるかにかかるのが特徴でしょう。

最大4世帯入居可能ですが、大体常に2世帯が入居していて、ときどき3世帯になることもあります。家を借りている分の家賃を支払うことを考えると、2世帯入居でトントン、3世帯以上入るとその分が利益になります」(潟沼さん)

稼働率が100%にならないのは、入居希望者と面談した結果、入居不可となるケースもあるからだ。潟沼さんとしては、入居希望者には入居してほしいと考えているが、たとえば配偶者からDVを受けて逃げている人の場合は、受け入れることができない。代わりに、強固なセキュリティサービス付きの住まいを紹介したり、行政に話を持っていったりするという。

「コドナハウスはあくまで普通の一軒家。ボタンを押せばガードマンがかけつけてくれるようなセキュリティシステムや特殊なサービスはついていません。配偶者に追われている彼女たちを守りたくても守れないのが現状で、申し訳ないのですが、お断りすることもあります」(潟沼さん)

入居申し込みや問い合わせは全国各地から寄せられ、初年度(2014年9月~)3カ月では2件、2015年度では15件、2016年度では20件、2017年度上半期ではすでに20件と、認知度は着々と上がっている。

コドナハウス起ち上げから今日に至るまで「卒業生(退去した人)」も含めると、入居するシングルマザーの内訳はおおよそ、離婚したシングルマザー:未婚のシングルマザー=7:3。相手が認知してくれないといった理由で、やむをえず未婚の母になる人もいる。シングルマザーとして生きるようになり、コドナハウスに集った事情は人それぞれだが、共通して寄せられる声がある。

それは「離婚当初、賃貸を借りることが難しく、困っていたため本当に助かった」「体一つで、身の回りのものだけ持って引っ越せて良かった」というもの。収入もない、社会的信用もない、何もない……そんな状況のシングルマザーに手を差し伸べてくれる不動産会社は少ない。シングルマザーが住まい探しでいかに苦労しているかがわかる。

入居中の感想としては「子どもが学校から帰ってくるとき、母の私がいなくても『おかえり』と声をかけてくれる人がいるのはうれしい」といった声が多い。帰宅時に玄関や各部屋に明かりが灯っていると、子どもは安心感を得られ、寂しさをまぎらわせることができる。

入居者同士の距離感は、「付かず離れず」という表現がしっくりくる。「生活時間帯が違うと何日も顔を合わせないこともあった」という声もあるほど。子ども同士の年齢が近いと一緒に出かけたり、遊んだりする家族もいるが、そういった共通点がない場合は、共有スペースで挨拶やちょっとした会話をする、食事サービスのある日は一緒に食卓を囲む、といったコミュニケーションをするくらいの、ゆるやかな関係性が保たれている。この関係性は「卒業」後も続く。

「コドナハウスを卒業しても、子どもたち同士は学校で関わりがあるし、同じ家で暮らしたことで深い絆もできているのはうれしい」(卒業生の声)といったように、特別なつながりになるようだ。

「卒業生も定期的に集います。会うたびにお子さんたちが大きく、ママたちもたくましくなっていくのを見ると私もうれしいです。卒業生の方たちも里帰りのような気持ちで、昔一つ屋根の下で暮らした同窓生に合うのを楽しみにしてくださっています」(潟沼さん)

■「コミュニケーションを楽しめる人」は向いている

最後に、潟沼さんにシングルマザー向けシェアハウス運営の心得や今後の展望を聞いた。

「私と同じシングルマザーの方たちへできることとして始めたシェアハウスですが、シングルマザーのシェアハウスは、一般のシェアハウスと違って、ハコだけ用意すればいいというわけにはいきません。

幼くてかわいい子どもたちの成長をともに喜ぶ、という家族のような体験付きなので、入居者と心を通わせたコミュニケーションをし、関係性を深く、濃くしていくのを楽しめるオーナーでないと、難しいかもしれません。シングルマザーの方はもちろんですが、世のお母さんたち皆が大変な世の中なので、より多くの方が安心して子育てしながら暮らせる形を模索していきたいですね。

何しろ、私自身子どもを産み育てて、素晴らしい体験をさせてもらったので、 例えば未婚のまま子どもを産むかどうか迷っているシングルマザーの方などにも、『産んでも大丈夫!』と言ってあげたいですし、それが叶う場所を提供してあげたいです」(潟沼さん)

■社会貢献と投資、どちらも叶える

今回は借りた物件でシングルマザー向けシェアハウスを運営する事例をご紹介した。戸建かマンションかを問わず、広めのリビングダイニング(共有スペース)、個室数室が揃う物件であれば、こうした形態のシェアハウスとして展開できるだろう。

冒頭で示した母子家庭数のデータやコドナハウスの売上、稼働率、申し込み・問い合わせ件数などからも、ニーズは確かにあることがわかる。ただ、「配偶者から逃げている」といった特殊な事情を持つ入居希望者もいるため、入居時の面談やヒアリングは丁寧に行う必要があるといえる。

利回り30~75%という数字から、投資として成り立つのはもちろん、同時に社会的にも意義深い取り組みである。運営には準備も時間もかかる方法ではあるが、投資法の一つとして、シングルマザー向けのシェアハウス運営を検討する価値はあるかもしれない。

○潟沼惠(かたぬま・めぐみ)さんプロフィール
シングルマザーのシングルマザーによるシングルマザーのためのシェアハウス「コドナハウス(codonaHAUS)」を主宰。 http://www.codonahaus.jp

○参考
厚生労働省の資料
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000083324.pdf
不動産投資の楽待 編集部

最終更新:10月19日(木)20時00分

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