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専業主婦が家事を担当すべきか、経済学的に考えてみた

10月13日(金)12時10分配信 投信1

写真:投信1 [トウシンワン]
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写真:投信1 [トウシンワン]
今回は、夫婦間の家事分担について、経済学的な観点から久留米大学の塚崎教授が解説します。

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夫婦間の家事をいかに分担するのか、という話を始めると、様々な論点が湧き出てきて収拾がつかなくなりますが、本稿では経済学的な観点のみに特化して、どのように家事を分担すべきか、考えてみました。

機会費用とは、「他の選択をすれば得られるはずの利益」のこと

学園祭で焼き鳥を売り、3000円の利益をあげて300円ずつ山分けしたとします。「儲かった」と喜ぶ学生がいますが、それは間違いです。「焼き鳥を売らずにコンビニでバイトしたら、3万円稼げたのでは?」と考えれば、焼き鳥を売ったことは経済的には失敗だった事になります。

もちろん、学園祭の焼き鳥店は、皆でワイワイやることが楽しいので、経済的利益を論じるべきではないのかもしれませんが、こうした「誤解」は世の中に広く行われているので、注意が必要です。

夫婦で営んでいる駅前商店街の電気店が毎月20万円の黒字だとします。店を閉めて夫婦二人が働きに出れば、20万円以上稼ぐことは容易でしょうから、経済的なことを考えれば、店を閉めるべきでしょう。もちろん、親の介護をしながら店番をしている人ならば、外に働きに出ることができないので、そうした事情がないことが前提ですが。

都心で農業を営んで細々と利益を上げている農家があるとすれば、農業をやめて農地にオフィスビルを建てて貸し出せば、大きな利益が稼げるでしょう。電気店も農家も、赤字ならば撤退を検討するのでしょうが、小幅な黒字を稼いでいるから撤退の発想が浮かばないのですね。

社内のエリートを集めた戦略部門が小幅な利益を計上しているとして、社長は「エリートを集めたのだから、もっと稼げ」と叱咤激励することも可能ですが、「部門を解散してエリートたちを別の部署で活用すれば、さらに儲かるかも」と考えてみることも必要でしょう。これも、部門が赤字なら解散の選択肢が頭に浮かびやすいのですが、黒字だとなかなか浮かばないかも知れませんね。

営業部長は顧客訪問にタクシーを使い、ヒラ社員はバスを使うべき?

「営業部長が顧客訪問をするときに、タクシーを使うのはもったいないからバスで行け」というのは、正しいでしょうか?  ケース・バイ・ケースですね。有能な営業部長で、「1時間で何万円も稼ぐ」人ならば、当然タクシーでしょう。タクシー代をケチってバスに乗っている間に何万円も稼げるチャンスを逃してしまうからです。

年功序列で偉くなっただけの無能な営業部長で、ほとんど注文がとれないならば、バスでゆっくり移動してもらいましょう。「営業部長は1時間あたりの給料が高いのだから、急いでタクシーで移動して長時間働いてもらわなければ」と考えるべきではありません。役に立たない人は、給料が高くても安くても役に立たないのですから(笑)。

役に立たない人に高い給料を支払い、しかもタクシー代を注ぎ込み、何の商談も得られないのであれば、「高い給料とバス代を注ぎ込んで何の商談を得られない」方がマシですね。これは、機会費用の話ではなく、サンクコスト(払ってしまった高い給料は戻らない)の話ですが。

したがって、経済学的には、「有能なヒラ社員にはタクシーで顧客訪問させ、無能な営業部長はバスで行ってもらう」のが正しいということになります。ただし、社内政治的に正しいか否かは、経済学の関知するところではありませんので、各自のリスクでご判断ください(笑)。

家事は専業主婦が分担すべきか?

正社員の夫は、1時間当たりの給料が妻のパートより高いので、「僕が家事を分担することの機会費用は、君より高いから、僕が家事を分担するのはもったいない」と主張するかもしれません。しかし、それは正しくありません。

機会費用は、「他の選択をしたら得られたであろう収入」のことです。夫が家事を免除されたとしても、「残業代が欲しいから残業します」というわけには行きませんから、遊ぶ時間が増えるだけで、機会費用はゼロですね。これでは妻を説得できるはずがありません。

妻を説得できるとすれば、次の理屈が考えられます。「僕が家事をせずに英会話の勉強をしたら、将来の給料が大幅に増える。それなのに、家事が忙しくて英会話の勉強がはかどらないと、将来の給料が増えない。家事の機会費用はとても大きい。だから、君が家事を分担すべきだ」。

これなら、妻も簡単には否定できないでしょう。ただし、気をつけてくださいね。英会話の勉強をサボった途端、妻からの軽蔑の眼差しと家事の負担が降りかかって来ますから(笑)。

そんなリスクを抱え込むくらいなら、初めから家事を分担する、という選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。

なお、本稿は、拙著『経済暴論』の内容の一部をご紹介したものです。厳密性よりも理解しやすさを重視しているため、細部が事実と異なる可能性があります。ご了承ください。

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塚崎 公義

最終更新:10月13日(金)12時10分

投信1

 

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