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木造とRC、取り壊し費用はどれだけ違う?

10月12日(木)20時00分配信 不動産投資の楽待

(写真:不動産投資の楽待)
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(写真:不動産投資の楽待)
ずいぶん涼しい季節になりました。朝晩は寒いくらいの日もあります。雨が降るたび徐々に冬へ向かっていると肌で感じます。つい最近までセミの鳴き声が聞こえていたのが噓のようです。間もなく北国では雪の対策も必要になってきますね。

さて、今回は建築物の取り壊しについてです。この世では「形あるものはいつか壊れる」と言われています。建築物においてもこの言葉は当てはまります。木造であってもRC造であっても、いつかは必ず取り壊すことになるでしょう。

そしてこの「壊す」という行為には費用がかかります。特に最近では、産業廃棄物の処理は法律でも規定されており、様々な制限も課せられます。こういった情勢からも、建築物の取り壊しは昔のように簡単ではなくなりました。それでは、建築物の解体について触れていきましょう。

■築古物件はどのように出口を考えるべきか

築古物件を購入した場合、出口戦略として「取り壊し撤去」を視野に入れておかなければなりません。まだまだ建物の状態が良い場合でも、築年数が増えるにつれて加速度的に修繕箇所が増え、それに伴って費用も膨らんでいきます。利益の大半が修繕費で消えてしまうような事態になる前に、売却するのか、取り壊して再建築するのか、という決断が必要です。

売主側の心理としては、土地値+α程度の売値としたいところです。ただ、取り壊しが視野に入っているような物件では、良くて土地値でしか売却できず、場合によっては取り壊し撤去後の土地だけでないと買い手が現れないかもしれません。その場合、建物状態を理由に大幅な指値が入ることは必至です。

建て替えが必要な築古物件であれば、入居者に退去していただいた上で解体し、解体後の廃材は産業廃棄物として適正に処分する必要があります。今回はその手順を詳しくお伝えします。

■Step1 入居者への退去願い

入居者がいる場合、まずは退去してもらいます。大家側からの退居願いである以上は、なるべく入居者に負担がないようにしなければなりません。入居者がへそを曲げて居座るようなことになれば、話は進みません。次の転居先を見つける、引越費程度は大家側で負担する等の工夫が必要でしょう。入居者の無理な要望も、ある程度飲まなければならないかもしれません。

■Step2 建物解体

建物解体はその物件の条件によって費用が変わります。まずは場所ですが、敷地が広く空きスペースの多い建物の場合、多少安く解体できます。一方、街中の商業地域の物件等の場合、逆に費用が増大します。理由は、近隣へ迷惑がかからないための対策、廃材置き場が確保できない、敷地内で分別ができない、多くの車両を待機できない等です。

建物の構造によっても費用が変わります。木造<鉄骨(S)造<RC造<SRC造と、右に行くほど解体費は大きくなります。以前は鉄の価格が高かったために鉄骨造は比較的安く解体できました。鉄骨だけ取り出して売ることができたからです。現在は鉄の値段が下がっているので、手間を考えると特にメリットはありません。

解体方法ですが、木造であればパワーショベル(解体重機)を使ってバリバリと引き剥がすように解体していきます。単純に周りから壊していくという感じでしょうか。壊れるスピードも速いです。S造やRC造であっても重機を据えることができる敷地があり低層建築物であれば、木造と同じように外側から解体できます。

問題は重機を据える場所が無い場合や高層建築物の場合です。こういった場合は外側から解体することができません。この場合、上階から徐々に内側へ解体する「階上工法」を採用することが一般的です。

工事の流れは、まずクレーンで解体重機を屋上へ引上げます。引上げた解体重機は、まず屋上スラブ(鉄筋コンクリートの床版)から解体していき、屋上に大きな穴を開けます。穴が開けば、そこから解体した屋上スラブのコンクリートガラ(がれき)でスロープを造り、下階へ降りていくのです。下階に降りた解体重機は残りの屋上スラブを解体し、壁も解体していきます。この繰り返しで、解体重機は下へ下へと解体を進めていくことにより、地上まで作業を進めるのです。

解体作業は地上の建築物のみで済む訳ではありません。地盤の柔らかい場所の大規模建築物は、地下に杭が埋まっている場合があります。更地として土地を売却する場合は、杭などの地中埋蔵物も同時に撤去しなければなりません。更地になった場所へ新たに建築物を建てる場合には、地中埋設物は邪魔になるからです。

杭の撤去は引き抜くことになるのですが、この作業は非常に困難です。むしろ杭を施工するときよりも抜くときの方が大変かもしれません。杭の種類、長さや傷み具合にもよりますが、地中で腐食していれば途中で折れてしまうことがあるからです。かなり厄介な作業となるようです。

解体に伴う費用、これは皆さんの一番知りたいところではないでしょうか。今回このコラムを執筆するにあたり、付き合いのある専門業者に聞いてみました。答えは「そりゃー、実際の物件見てみなけりゃーわかんねーよ!!」ということでした。

それはおっしゃるとおりです。

そこを何とか大体の目安となる単価を聞き出すことができたので、提示させていただきますが、あくまでも目安としてください。前述した通り、建物の立地や状態によっても違ってきますので。

○木造/2階建て程度/重機の設置できるスペースが敷地内に確保できる想定
→平米単価約7500円(坪単価2万5000円)程度

○RC造/2階建て程度/重機の設置できるスペースが敷地内に確保できる想定
→平米単価約9000円(坪単価3万円)程度

○RC造/高層階/重機の設置できるスペースが敷地内に無く階上工法を採用した想定
→平米単価約1万5000円(坪単価5万円)程度

○SRC造/2階建て程度/重機の設置できるスペースが敷地内に確保できる想定
→平米単価約1万5000円(坪単価5万円)程度

○SRC造/高層階/重機の設置できるスペースが敷地内に無く階上工法を採用した想定
→平米単価約2万5000円(坪単価8万円)程度

SRC造はかなり高額になります。これはSRC(鉄骨鉄筋コンクリート)という構造に理由があります。この工法は、鉄骨の骨組みに鉄筋コンクリートを被せた造りになっており、解体時にはまず鉄筋コンクリートを解体し、その後、鉄骨を解体することになります。このように手間がかかるため、費用も高くなってしまうのです。

SRCは比較的大規模な建築物が多いので解体時には更に大きな費用が必要になります。SRCの物件をお持ちの投資家さんは、相当な覚悟が必要かもしれません。

それからS造については、RC造とほぼ差がありません。RC造よりも簡単に解体できるように感じますが、実際のところ、補強などの手間が入るためそれなりの費用がかかるようです。杭を抜く作業にも費用がかかりますが、これは工法、長さによって金額差が出るため、目安の金額を出すのは困難ということでした。ただ非常に高いとは言っておりました。

どうでしょう、意外に高いなぁ……と思われたのではないでしょうか。

ただ繰り返しますが、実際の費用は具体的な物件でないとわかりません。私も以前、別の業者に解体費の目安を聞いたときには、RC4階建て程度で坪8万円と言っておりましたので、今回紹介した目安よりも高かったのです。当然、施工業者によっても単価は異なるため、あくまで目安としていただければと思います。

■Step3 産業廃棄物の処理

建物を解体した場合、必ず廃棄物が発生します。それら廃棄物は、産業廃棄物として法に則った形で適正に処分しなければなりません。処分費は前記した解体費目安内に含まれています。廃棄物処理に当たっては、発生した廃棄物の場所を管轄する都道府県知事の許可を得た業者でないと処理できません。

発生した廃棄物と処理場所が異なる場合は、両地域の許可が必要になります。運搬するだけでも都道府県知事の許可が必要になります。例えば東京都で解体した建築物の廃棄物処理を静岡県で行う場合、東京都、神奈川県、静岡県の許可が必要になるのです。

廃棄物処理の規制は廃棄物処理業者のお話ではありますが、大元の「排出者」は施主である大家さんです。

施主は責任を持って適正な業者に発注しなければ罰せられます。実際にはマニフェストという産業廃棄物処理追跡シートを発行して、最終的に廃材が適正に処分されたことを確認します。そしてそのマニフェストの用紙は3年間の保存義務が生じます。廃材は自己で所有している山の中に捨てておいてくれ! なんて訳には行きませんので、十分注意を払って処理を行わなければなりません。

■最後に

以上のように、意外に手間も費用もかかると感じたのではないでしょうか。2階程度の木造であれば比較的安価で手間や時間もかかりません。しかし、高層RC造やSRC造であれば想定外! なんて事態も起こります。ましてや長い杭などを使っていれば、更に大変なことになるでしょう。土地値の安い地域であれば、解体費が土地値以上なんてこともありえます。

築古物件で出口戦略を探っている方は、予め専門業者に解体費を見積りを取ってもらうのが良いかもしれません。建築物はいずれ、解体しなければならないということはお忘れにならないように。
戸田 匠

最終更新:10月12日(木)20時00分

不動産投資の楽待

 

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株式会社ファーストロジック

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