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「中国観光客に人気」の大衆薬、底堅い需要に着目

9月26日(火)21時01分配信 会社四季報オンライン

撮影:尾形文繁
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撮影:尾形文繁
 中国の福建省などで、訪日団体旅行を制限する動きが出ているという。中国経済が減速するなかで、地方行政府が外貨流出を警戒しているとの見方が一般的だ。大都市には同様の動きは無く、個人旅行も制限の対象外である。

 日本政府観光局によると、今年8月の訪日外客数は前年同月比21%増の247万人。中国が前年比21%増の81万人と過去最高だった。韓国は同35%増の62万人、香港が同24%増の19万人となった。中国と香港の合計では100万人を突破、中国人が全体の約4割程度を占め、存在感は抜群である。

 1~8月累計での訪日客合計は1891万人であり、観光庁は9月中旬に2000万人を突破したと発表している。中国行政府が訪日客の増加を懸念するほどの勢いが続いているというわけだ。

■ 中国客に根強い”もの”需要

 訪日客の増加はインバウンド需要に直結するが、その嗜好は一様ではない。韓国からの訪日客は比較的若年層が多く、外食などが人気だ。他方、中国人は一時の「爆買い」が影を潜めたものの、引き続き“もの”に対する人気が根強い。

 ただし、これまでの宝飾品、腕時計などの高額商品や炊飯器、温水洗浄便座などが影を潜め、トイレタリー製品や大衆薬などに人気が集まっている。これらの製品群は直接体に触れるものであり、健康意識の高まりなどが背景にあるとみられる。先日、中国人の元留学生が、不正に入手した楽天ポイントにより「龍角散」を大量に購入して逮捕された。同事件は医薬品などのインバウンド需要の底固さと人気を再確認させたニュースといえよう。

 そもそもインバウンド需要の背景にあるものは何か。中国、香港、台湾には、日本製品だけでなく欧米や自国で生産される製品が溢れ返っている。世界の工場を自認する中国には、本来“無いものは無い”。日本企業の多くが中国に進出しており、日本で流通する製品の多くも中国製だ。

 家電製品、食品、衣料品、化粧品、医薬品などの多くは中国で生産される。また、日本のスーパーでは国産の生鮮食品を入手できるが、食事などで外食を利用すれば否応なく中国産食材も口にせざるをえない。それでも中国人旅行者は日本製品を買いあさっているのだ。
 上海や北京の大病院の前には、朝早くから大勢の患者やその家族が列をなす。有力な病院で診察を受けるためだ。とくに、3級甲病院(中国は病院の規模で大きい順に3、2、1級となり、医療設備の水準で甲、乙、丙などにランキングされる。3級甲は最上位の病院)には患者が殺到する。

 3級甲病院の医師の大半は、欧米や日本の有力大学の医学部に留学経験がある。患者たちが3級甲などの病院にこだわるのは、日本や欧米の最先端の医療に憧れを持つからだとの指摘がある。これは、自国の医療制度や行政に対する不信と表裏一体ともいえよう。医療は命に直接関わるため、規制が強化されてもニーズは衰えない。中国は物が豊富な反面、医療サービスなどは遅れており、医療格差はむしろ拡大傾向にある。これが大衆薬などのインバウンド需要につながっているとの指摘もあながち的外れではない。

■ インバウンドの人気商品は、わかり易さがポイント

 中国人がこぞって買いあさる大衆薬には特徴がある。それは効能のわかり易さだ。難しい薬効・効能を並べても医療の専門家ではない一般の中国人の購買意欲は刺激しない様だ。そこには、健康に対する切実な思いがあるといえよう。

 小林製薬(4967)は数年前に中国のソーシャルメディア「捜狐(そうふ)」に掲載された「日本に行ったら買わねばならない12の神薬」というランキングで上位を独占。神薬という言葉は、前述の龍角散事件で知名度を上げたが、小林製薬の「熱さまシート」、肩こり治療の「アンメルツヨコヨコ」、二の腕などのブツブツ治療薬「ニノキュア」、液体軟膏「サカムケア」、更年期障害治療薬「命の母」なども神薬の一角を占める。

 ライオン(4912)のインバウンド製品の目玉は歯磨きなどのオーラルケアではなくツボ刺激シートの「休足時間」。花王(4452)ではアイマスク「めぐりズム」などである。また、参天製薬(4536)、ロート製薬(4527)の目薬は中国人にも人気が高いが、これは黄砂などの影響だけでなく、飲み薬などに比べて薬効や効能がわかり易いという側面も大きいようだ。

※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
四季報オンライン

最終更新:9月28日(木)11時36分

会社四季報オンライン

 

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