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不妊治療の助成金にはどんなものがある?

9月25日(月)20時30分配信 あるじゃん(All About マネー)

◆特定不妊治療にかかる費用を助成する「特定不妊治療支援事業」

特定不妊治療に対する国の助成が始まった2004(平成16)年には約1万4000件だった助成件数が、2015(平成27)年には約16万件(平成29年7月5日 朝日新聞より)に達しています。
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特定不妊治療に対する国の助成が始まった2004(平成16)年には約1万4000件だった助成件数が、2015(平成27)年には約16万件(平成29年7月5日 朝日新聞より)に達しています。
体外受精や顕微授精などの「特定不妊治療」は、健康保険が使えません。医療費は高額になりますが、健康保険に高額療養費として申請することができないのです。

そこで、国では特定不妊治療支援事業を行っており(窓口は市区町村)、高額な医療費のかかる体外受精や顕微授精に要する費用の一部に助成金を支給しています。特定不妊治療には代理出産や卵子提供などは含まれません。

◆特定不妊治療支援事業の対象者は「法律上の夫婦」

特定不妊治療支援の対象者は「法律上の婚姻をしている夫婦」とされます。2014年(平成26年)2月に厚生労働省から、この「法律上の婚姻をしている夫婦」について、「治療開始時に法律上の婚姻をしている夫婦」と解釈が出されました。

東京都も国に追随し、2014年(平成26年)4月1日以降に開始した治療から「治療開始時に法律上の婚姻をしている夫婦」(2014年3月31日までの治療は「申請時に法律上の婚姻をしている夫婦」)になりました。他の自治体も追随したところが多かったのです。申請窓口であるお住まいの市区町村役場(保健センターや保健所)に確認してみましょう。

「体外受精や顕微授精等の特定不妊治療は、法律婚の夫婦だけができる」という指針を日本産婦人科学会が見直ししています。ですが、今のところ事実婚の夫婦は体外受精や顕微授精を行っても、国の特定不妊治療助成金の対象者ではありません。独自の助成を行う自治体でも事実上の夫婦に助成金を支払う自治体はまだ少数です。

ただし最近は国でも事実婚夫婦の不妊治療にも目を向けており、厚生労働省では平成29年7月の有識者会議で、事実婚夫婦を特定不妊治療助成金の対象とするか等を検討する話し合いが行われました。

◆所得制限や医療機関の指定もあり

また、国では夫婦合算で730万円未満の所得なら助成する、という所得制限があります。これは夫婦合算の所得(収入から社会保険料や基礎控除や配偶者控除、扶養控除など差し引いた額)で730万円であり、収入ではありません。夫婦合算年収1000万円くらいまでなら、特定不妊治療の助成金対象者になり得るので、お住まいの自治体に確認してみましょう。

特定不妊治療助成金を受給するには、指定医療機関で治療していなければなりません。都道府県ごとまたは、市区町村ごとに異なることがあるので、自治体にも確認してみましょう。健康保険制度に加入し、申請する自治体の住民税を滞納していないこと、という要件もあります。

◆平成28年度からの国の特定不妊治療支援助成金

平成28年4月からの特定不妊治療助成
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平成28年4月からの特定不妊治療助成
下図は、国の特定不妊治療助成制度をまとめたものです。

国の特定不妊治療助成は、2016(平成28)年度以降に不妊治療を始める場合は、妻が43歳未満、助成回数は6回までとなりました。助成は縮小したかに見えますが、男性不妊を特定不妊治療とともに行う場合は助成対象に加えました。

自治体で独自の助成を行っているところもあります(後述)。しかし国が助成金を減額(15万円→7.5万円)した治療段階(凍結胚移植などの採卵を伴わないもの)では、多くの自治体が追随して減額していました。男性不妊の追加や年齢制限、回数制限については多くの自治体が追随しました。

◆特定不妊治療支援助成金を受給するための手続きは?

申請窓口は、住所地管轄の市区町村役場(保健センターや保健所)です。申請期限が自治体により異なるのでよく確認しましょう。治療終了から60日以内など申請期間を設けている自治体や年度内(翌年3月31日まで)に手続きすればいい自治体が多いです。通常、申請後審査に2カ月ほどかかり、1カ月後に入金されます。

また、助成を受けるには原則、申請する自治体に住んでいる必要があります。また、夫婦の片方だけ居住なら助成金の対象者になる自治体、夫婦両方居住でなければ助成されない自治体など、夫婦同居要件も自治体により異なります。

◆国と自治体のダブル受給が可能な場合も

都道府県もしくは市区町村どちらかの助成を選ばなければならない自治体もあれば、都道府県で助成金の支給決定があってから、市区町村に一定期間内(6カ月以内または1年以内が多いが2カ月以内もあり)に助成金を申請できる自治体もあります。

国と自治体の助成金をダブル受給できる可能性もあるのです。医療費の領収書はなるべくコピーを取っておくと、両方に申請するときに便利かもしれませんね。

◆独自の助成を行っている自治体の例

以下に、独自の助成を実施している自治体をいくつかご紹介します。

■京都府
人工授精などの一般不妊治療助成は、事実婚夫婦(申請時は法律婚)も助成対象。特定不妊治療助成は法律婚夫婦のみ対象。妻の年齢43歳までの制限はあるが、回数は通算10回まで助成される。治療開始時から申請まで夫婦で居住が必要。

■東京都港区
助成対象者の所得制限なし。不妊治療開始日から申請日まで住民登録が必要。妻には30万円、夫には15万円になるまで申請できる。

■東京都品川区
人工授精などの一般不妊治療も助成対象。所得制限なし。夫婦のどちらかが申請日前に1年以上住民登録必要。

■北海道東川町
夫婦合計で所得730万円未満の所得制限ができ、一般不妊治療費用及び特定不妊治療費用全額を町が負担。申請日時点で6カ月以上住民登録が必要。

■神奈川県大和市
人工授精などの一般不妊治療も助成対象。夫婦で居住していることが必要。

■長野県塩尻市
一般不妊治療も対象。事実婚の夫婦も助成の対象。夫婦の一方が申請日前1年以上住所を有していることが必要。

◆三重県をはじめ、男性不妊治療の助成を行っている自治体も急激に増加中。

男性不妊に助成金を支給する制度は三重県が最初でしたが、福井県、大分県、京都府、山形県、秋田県、福島県、東京都、神奈川県、埼玉県、山梨県、岐阜県、滋賀県など男性不妊治療の助成を独自に行っている自治体も急に増加しています。ただし、これらの県が男性不妊を助成しているのは全ての市区町村にではありません。

この数年で、人工授精までの治療である一般不妊治療助成、男性不妊助成を行う市区町村は大幅に増えました。不妊治療の助成を検討する方は、お住いの市区町村を確認してみましょう。

◆民間の医療保険は入ったほうがいい?

体外受精や顕微授精のように健康保険が使えない特定不妊治療は、高額療養費を申請することもできませんし、国や自治体の特定不妊治療助成金を受けても足りない可能性もあり得ます。

平成28年2月に保険業法施行規則が改正され、「不妊治療を要する身体の状態」が「疾病等に類する状態」に追加されました。金融庁では、「不妊治療に要する費用を経済的にてん補するニーズもあるので保険会社の引き受けを認める」と述べています。ついに、昨年10月に大手生命保険会社から「不妊治療にも給付金が出る保険」が発売されました。

不妊治療中でも入れる少額短期保険もいくつかあり、保険料は45歳で2000円弱とリーズナブルです。

医療保険の契約内容にもよりますが、結婚をした時点、または妊娠を考える時点(不妊治療を始める前に)でなるべく医療保険に入った方が、健康保険が適用されない治療や手術など広く給付金支払いの対象になるようです。

◆医療費控除で税金を取り戻せる

医療費控除では、不妊治療費用や病院への交通費(電車代やバス代)なども対象になります。医療保険の給付金や国や自治体からの助成金を差し引いた、費用の実質負担分が10万円(もしくは所得の5%)以上の場合、住所地の税務署で確定申告(還付申告)の手続きをしましょう。

◆妊娠活動ローンは避けるのが無難

いくつかの自治体や金融機関で、不妊治療費を貸出する「妊娠活動ローン」をやっていますが、ローンを組むことは極力避けたほうが無難です。人工授精までなら、貯金が50万円もあれば治療を受けられると思われます。

極力、夫婦の収入や預貯金で不妊治療費をまかない、その上で自治体の助成金を活用しましょう。妊娠までをゴールでにせず、出産後の育児費用も考慮してマネープランを立てることをおすすめします。
拝野 洋子

最終更新:9月25日(月)20時30分

あるじゃん(All About マネー)

 

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