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食べ放題のレストランが大食い客ばかりでも儲かる理由

9月24日(日)12時10分配信 投信1

写真:投信1 [トウシンワン]
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写真:投信1 [トウシンワン]
今回は、食べ放題のレストランが大食い客ばかりでも儲かる理由について、久留米大学の塚崎教授が解説します。

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食べ放題のレストランは、食欲旺盛な客ばかり来店して思い切り食べるのに、赤字にならないのでしょうか。今回は、企業の収益について考えてみましょう。

企業の費用には、変動費と固定費がある

レストランの費用を、材料費とそれ以外(店を借りる費用、正社員の給料、等々)に分けて考えてみましょう。材料費は、客が食べた分に比例して増えていきますが、それ以外の費用は客が来ても来なくても増減しません。前者のように、客の来店数あるいは店の収入等に比例して増える費用を変動費、後者のように客数等と無関係な費用を固定費と呼びます。

レストランのコストに占める変動費の割合は、普通の人が考えているよりも低いと言われていますので、本稿では3割強としておきましょう。普通のレストランでは、客は1500円の料理(変動費500円)を食べるとします。客が1人来るごとに、収入が1500円増え、コストが500円増えますから、差し引き1000円の利益となります。

一方で、このレストランの固定費は10万円だとします。客が1人も来ないと、10万円の赤字になります。客が1人来るごとに赤字が1000円ずつ減っていき、客が100人になると赤字が消え、それ以降は利益になる、というわけです。

2人分の料金で3人分食べる客は、むしろありがたい

食べ放題のレストランでは、客が2人分の料金を払って3人分の料理を食べるとします。客は大満足ですが、実は店も大満足なのです。3000円の収入に対し、変動費は1500円だけですから、客1人につき1500円の利益となるからです。

客が満足してくれて、また来店してくれれば、さらに利益が増えるでしょう。満席になるまでは、客が増えれば増えるほど、1人当たり1500円ずつ利益が増えて行くのですから、これは非常に重要なことなのです。

ビュッフェのレストランは、効率が良い

同じ食べ放題でも、客が注文をしてから作る方式ではなく、予め大皿に料理が盛り付けてあり、客が好きなだけとって食べる方式もあります。ビュッフェ方式と呼びます。これは、さらに儲かるシステムなのです。それは、効率が良いからです。

まず、コックが20人分の料理を一度に作ることができます。料理を20人分作っても、手間が20倍かかるわけではありませんから、1食あたりのコックの人件費は安くあがります。さらに、注文を受ける前からコックが料理に従事できることもメリットです。普通のレストランでは、コックが本当に忙しいのは昼食時と夕食時だけですが、ビュッフェ式ではコックが1日中効率よく働けるのです。

また、料理を皿に盛り付けて、客席まで運ぶ労力もかかりません。ウエイター、ウエイトレスの人件費が浮くわけです。新入社員が注文を取り間違えてコックが料理を作り直すこともなくなるでしょう(笑)。

客が着席して直ちに食べ始めるという点も、ビュッフェ式のメリットです。客が直ちに食べ始めれば、短時間で食べ終わって店を出ていきますから、次の客を入れることができます。1日に来店できる客の数が増えれば、利益も増えるのです。

仕入れの面でも、メリットがあります。普通のレストランでは、客が何を注文するかわからないので、メニューにある品を一定量作れるだけの材料を準備しておく必要があります。当然、売れ残って廃棄される食材も少なくないはずです。

一方で、ビュッフェ式ならば、予め必要な分だけの材料を過不足なく仕入れることができるでしょうから、食材のむだが減るはずです。もしかすると、少品種を大量に仕入れることにより、値引き交渉ができるかもしれませんね。

客としては、意思決定を間違えないように要注意

話は変わりますが、食べ放題のレストランに行く客は、非合理的な選択をするケースが実に多いので、注意が必要です。第一は、「3000円で4500円分の料理が食べられるから行く」のではなく、「3000円で3001円以上の満足が得られるから行く」のですね。4500円分の料理でも、自分の好みに合わないなら、行くべきではありませんから。

一度入店したら、払った代金のことは忘れましょう。予想外に早く満腹になってしまった場合、「元をとるために必死で食べる」人は多いのですが、必死で食べても食べなくても払った代金は戻ってこないのですから、食べたくないのに無理をして食べることは合理的ではありません。

このように、払ってしまって戻ってこない金のことを「サンクコスト」と呼びます。様々な面白い話がありますので、サンクコストについては別の機会に改めて記すことにしましょう。

なお、本稿は、拙著『経済暴論』の内容の一部をご紹介したものです。厳密性よりも理解しやすさを重視しているため、細部が事実と異なる可能性があります。ご了承ください。

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塚崎 公義

最終更新:9月25日(月)6時05分

投信1

 

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