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なぜ加熱式たばこは増税されそうなのか? 気になる議論の行方

9月22日(金)12時10分配信 投信1

東京での加熱式たばこ販売が本格化してから2か月以上が経過

写真:投信1 [トウシンワン]
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早いもので、東京における加熱式たばこの販売が本格化してから2か月半が経過しました。

当初は品不足のため、米フィリップモリス(PM)の「アイコス」以外はあまり見ることがありませんでしたが、最近では、英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)の「グロー」や、日本たばこ産業 <2914> の「プルームテック」を見かける機会も増えてきました。

そうしたなか、最近、加熱式たばこの増税論が浮上しているという気になるニュースがありました。そこで今回は、その背景や行方について考えてみたいと思います。

加熱式たばこ増税論が浮上

たばこ増税の話は常にあるものの、今回、加熱式たばこについても増税を検討するというニュースが報じられた発端は、2017年9月7日に自民党の宮沢洋一税制調査会長が新聞各紙とのインタビューで、2018年度税制改正で検討する考えを表明したことにあります。

このなかで宮沢氏は、加熱式たばこの税額が紙巻たばこと比べて低いこと、商品により税負担が一律でないこと、さらに、加熱式たばこが人気化しており、このままではたばこ税の減収が避けられないことを問題視したと伝えられています。

各社で異なる税負担

では、紙巻たばこと加熱式たばこ各社の税負担を見てみましょう。

まず、1箱440円の一般的な紙巻たばこの場合、たばこ税率が56%(税負担額約245円)、消費税8%(同約33円)、消費税も加えた合計の税負担率が63%(同約278円)となります。

これに対して、加熱式たばこの税負担率(消費税込)は、アイコスが49%(定価440円、税負担額226円)、グローが36%(同420円、同151円)、プルームテックが15%(同460円、同60円)となります。

なお、加熱式たばこ各社の負担率にばらつきがあるのは、消費税は当然同じであっても、たばこ税はスティックに使用される「たばこ葉」の使用量によって異なることによります。

このように、加熱式たばこはいずれも紙巻たばこに比べて税率や税負担額が少ないため、加熱式たばこが人気化して紙巻たばこからスイッチする人が増えると、政府としては税収不足を懸念せざるを得ないということになります。

たばこ税収は国と地方合わせて約2兆円

さて、そのたばこ税ですが、年間ではどの程度の規模なのでしょうか。これは特に喫煙者の方には気になることかと思いますので、総務省の資料(平成29年度予算)を詳しく見てみましょう。

まず、国に収める国税としてのたばこ税は0.9兆円です。これは、国税合計61.4兆円の約1.5%となります。ちなみに、消費税は17.1兆円、法人税は12.3兆円、所得税は17.9兆円ですので、これらと比べるとわずかな金額ということになります。

とはいえ、酒税の1.3兆円に匹敵するぐらいの金額であるため、たばこ税は酒税と同程度の重要な国の財源であると見ることができます。

一方、地方自治体に収めるたばこ税は約1.1兆円です。これは地方税合計39.1兆円の2.8%となり、たばこ税が占める割合は国税より大きくなっています。つまり、たばこ税の減少は、国よりも地方自治体にとってのほうが、より深刻な問題であるということになります。

気になる増税議論の行方

上記のように、国税と地方税を合計したたばこ税は約2兆円となりますが、喫煙者の絶対数が減らず、喫煙者あたりのニコチン摂取量も変化しないと仮定するならば、加熱式たばこの増加による税収の減少は避けられないでしょう。

そうしたなか、どのような形でたばこ税収を確保する増税策がとられるかが気になるところです。現時点では決定事項は全く報じられていないものの、いくつかの可能性が考えられます。

第1は、紙巻きたばこも、加熱式たばこも同じように税負担を増加させる案です。

たばこは価格弾力性が小さい商品であり、値上げをしても消費量は大きく変わらないとする考え方によるものです。これまでも増税による大きな影響はなかったため、最も可能性が高いと考えられます。

第2は、加熱式たばこだけの負担を引き上げる案です。

たばこ葉の使用量が少なくても効能は同じであるという考え方によります。

第3は、紙巻たばこだけの負担を引き上げる案です。

加熱式たばこは火を使わないため副流煙の心配がないことや、においも少ないことから、紙巻から加熱たばこへ政府主導で転換を促すという考え方です。

ただし第3の場合は、新たな喫煙者が増える、あるいは現在の喫煙者の1日当たりの本数を増やすことができなければ税収の減少は避けられないことになるため、実現可能性は最も低いと思われます。

今後の注目点

9月15日付け日本経済新聞では、日本たばこ産業(JT)幹部のコメントとして、「加熱式は20年に国内市場全体の30%超を占めるまでに成長する」と報じています。このようなトレンドが予想されるなかでは、政府による増税議論が過熱していくのは避けられないと思われます。

上述のように、税収確保の方策としては様々な可能性が考えられますが、今後、どのような形で議論が進められるかが注目されるところです。

また、たばこメーカーが、加熱式たばこの税負担増加を企業努力で吸収可能なのかについても注視したいと思います。

ちなみに、1本あたりの税金を除いた実入り(売上)は、アイコスが約12円、グローが13円、プルームテックが20円(注)
となっていますので、JTのプルームテックは最も税負担増への対応力があると考えられます注:プルームテックは紙巻たばこ1本換算の金額。プルームテックのカプセルは1箱5個入りで460円であるが、1カプセルは紙巻きたばこの4本相当であるため一箱では紙巻きたばこ20本相当(4本×5カプセル)となる。税負担60円を除いた一箱の実入りは400円であるため、紙巻たばこ一本に換算すると20円となる。
投信1編集部

最終更新:9月22日(金)13時50分

投信1

 

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