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今年の海外がん学会の注目テーマと関連銘柄は? 

9月14日(木)17時16分配信 会社四季報オンライン

写真はイメージ(cassis /PIXTA)
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写真はイメージ(cassis /PIXTA)
 医薬品セクターの株価を予測する上で重要なのは、医・薬学学会などから発信される治験データである。新薬の開発動向を確認するには、学会の発表内容をチェックすることが手っ取り早い。近年は国内の学会ばかりでなく、海外で開催される学会の重要性も高まっている。

 これは日本発の新薬が海外市場で存在感を高めているという面もあるが、ドラックラグ(海外で使用可能な薬剤が国内で承認・発売されるまでの時間差)の解消が進み、新薬開発のグローバル化が進んでいる点も無視できない。

■ 新薬承認の国家間の壁は低くなっている

 新薬の承認は国家間の壁が一段と低くなり、開発は世界で同時に進行するケースも増えている。新薬の治験データの公表は、自国だけでなく世界市場にオープンにする方向性が高まる。グローバルな製薬会社は国内だけでなく海外の有力な学会でもデータを発表することが一般的となってきた。

 なかでもがん治療分野は、開発のグローバル化が最も進んでいる。がん分野の世界規模の学会への注目度は高い。現在、がん治療分野で世界の研究者が最も注目するのが米国がん治療学会議(ASCO)であり、本年6月上旬に米国のシカゴで開催された。これに続く世界規模のがん学会が欧州臨床腫瘍学会(ESMO)。本年のESMOはスペインのマドリードで9月8日から12日まで開催された。同会議には、世界市場で凌ぎを削る有力新薬がこぞって登場している。

 今年のESMOで最も注目されたテーマが『免疫療法』。現在、がん治療研究の最先端分野では免疫療法が最大の研究課題となっている。今年のESMOで目立った演題は、複数の薬剤投与による併用治験。免疫療法による免疫チェックポイント阻害剤の相次ぐ登場により併用投与が可能となったためだ。

 ただし、高額な免疫チェックポイント阻害剤を複数投与することから医療費の負担増が懸念されている。免疫療法の薬剤の相乗効果は相対的に高く、各社とも積極的な開発を進めている。現在の併用投与は、自社やグループ企業内での併用治験が中心であり、今回の学会でも同様の発表が多い。ただし、今後はライバル企業の薬剤を含めた幅広い併用投与などが進む可能性もある。
 今回のESMOの発表のなかで、新たなブレイクスルーと注目されたのが「CAR-T療法」(キメラ受容体細胞療法)だ。CAR-T療法は免疫チェックポイント阻害剤に続く新たな免疫療法との呼び声も高い。今回のESMOで同分野が注目された背景は、同療法の治験の高さばかりではない。ESMOの開催前の8月、感染症分野で世界市場をリードするギリアド サイエンシズ社がCAR-T療法分野で先行するカイト ファーマ社を約119 億ドル(約1兆3000億円)で買収すると発表していたからだ。このため、ESMOでは同分野の注目度が高まった。

■ 海外の大手メーカーに加えて注目を集めたのは? 

 ほかにも今年のESMOで注目された演題は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の「オプジーボ」、メルク社の「キイトルーダ」、ロシュ社の「RG7446」、ファイザー社の「PD-0332991」、エーザイ(4523)の「レンビマ」、セルジーン社の「ビダーザ」など。

 「オプジーボ」は小野薬品工業(4528)が創製したがん治療薬だが、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社との共同開発品であり、今回のESMOではブリストル・マイヤーズ スクイブ社創製の免疫チェックポイント阻害剤「ヤーボイ」との併用効果などが注目された。同薬は多くのがん種での延命効果など有力なデータが多数発表された。

 エーザイは同社創製の「レンビマ」の治験に加えて、前述の「オプジーボ」と併用治験などでも効果を確認。さらに、日本新薬(4516)はセルジーン社の「ビダーザ」を骨髄異形成症候群治療薬として国内で販売済みだが、同薬の肺がん治療向けの治験データも注目を集めた。また、ロシュ社の開発候補品はグループ企業である中外製薬(4519)に導出済みである点も見逃せない。さらに、カイトファーマ社のCAR-T療法による白血病治療薬も要注目。これらの薬剤の開発動向は今後一段と注目されよう。

※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
四季報オンライン

最終更新:9月19日(火)11時31分

会社四季報オンライン

 

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