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エネルギー産業による地域活性策「ローカルエネルギーエコノミクス」とは

9月13日(水)6時30分配信 ZUU online

エネルギー産業による地域活性策「ローカルエネルギーエコノミクス」とは(写真=Panchenko Vladimir/Shutterstock.com)
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エネルギー産業による地域活性策「ローカルエネルギーエコノミクス」とは(写真=Panchenko Vladimir/Shutterstock.com)
さまざまなモノがネットにつながるIoT(Internet of Things)が広がっています。2016年に始まった電力自由化を機に、このIoTの波は本格的にエネルギー業界に押し寄せることとなりました。

この流れにより、今まで地域外から購入することしかできなかったエネルギーを、地域内で生み出せる地方が増えるのではないかと言われています。2017年6月26日に開催された日経地方創生フォーラム「官民連携と地域連携で実現する地方創生」では、このようなエネルギー産業による地方創生(ローカルエネルギーエコノミクス)をテーマに、多数の有識者が議論を交わしました。

■地方主導のエネルギービジネスは官民の連携が要

基調講演を行ったのは、東京工業大学名誉教授で、先進エネルギー国際研究センター長も務める柏木孝夫氏です。柏木氏によると、IoTによって今後エネルギーが地方の新たなビジネスモデルを拓く可能性も大きいといいます。

エネルギーは生活産業の基盤とも言える存在です。エネルギーを地域の中で「地産地消」でうまく循環させることができれば資金の流出が食い止められ、地方の活性化につながります。それがひいては、日本全体の経済活性化にも役立つはずだというわけです。

とはいえ、エネルギービジネスを地方主導で展開していくのは、想像以上に大変なことです。世界各国では日本に先駆けてエネルギーの自由化が行われてきましたが、なかでも参考になるのがドイツの事例です。ドイツのシュタットベルケ(都市公社)におけるローカルエネルギービジネスでは、経営は民間に任せつつ、要所要所で自治体が介入してキャッシュの流れがうまくいくようにコントロールされています。柏木氏は日本でもこの体制を参考にし、総務省で自治体改革を行ってローカルエネルギービジネスをバックアップすることが重要だと話しました。

■民間企業に出資、企業が連携して省エネ 地方で始まるユニークな取り組みの数々

実はすでに多数の自治体が、このような官民連携でのローカルエネルギービジネス実現に向けた取組みを始めています。当日は総務省と3つの地方自治体の担当者が登壇し、具体的な取り組みの内容について議論が交わされました。

<登壇者>
総務省地域力創造グループ 地域政策課長/松田浩樹氏
鳥取県米子市 経済部 経済戦略課 産業開拓室長/鵜篭(うかい)博紀氏
栃木県 環境森林部 環境森林政策課 環境立県戦略室 主任/荒川涼氏
静岡県富士市 環境部 環境総務課 環境政策担当 主査/赤池慎吾氏

鳥取県米子市では、ローカルエネルギーへの取り組みとして、ローカルエナジー株式会社に出資しています。この会社は2016年4月の電力自由化を契機にエネルギービジネスを始め、初年度には単年度黒字を達成、2017年4月末時点での契約電力は2万5,963キロワットにものぼる成果を収めました。今後は、地元でのさらなる認知度向上に力を入れていく予定だそうです。

栃木県でも米子市同様に、エネルギーの中でも電力関連の取り組みに力を入れているとのことです。県ではエネルギー消費量全体に比して電力の割合が高く、電力自給率の向上は喫緊の課題でもありました。特に会社の事業所では、一般の家庭よりも多くの電力が必要になる傾向にあります。県ではこれに着目し、県内の清原工業団地で「工場間一体省エネルギー事業」を実施しました。カルビー、キヤノン、久光製薬の3社が、東京ガスおよびその子会社と連携してこの事業に取り組んでいます。

取り組みが始まってからは、各事業所のエネルギーに関する情報をエネルギーマネジメントシステムに集約し、電力と熱を効率的に供給できるようになりました。約20%の省エネのほか、CO2排出量の約20%削減も見込んでいるそうです。

■国と地方自治体の連携でプランの実現性をさらに高める

製紙業を中心とする製造業が集積する静岡県富士市でも、電力や熱の有効利用が長年の課題でした。市では、工場で使われている都市ガスを燃料として有効活用するべく共同コージェネレーションシステムの導入を進めていましたが、コスト回収ができず計画は頓挫しました。そして、市が次に目をつけたのは、熱よりも少ない経費でインフラを整えられる電気の有効活用です。この予想は的中し、今度の事業は採算性のあるものとして認知されていると言います。

電力の有効活用によって地元産業におけるライフサイクルコストが抑えられ、設備投資は約2倍になりました。目に見える成果が上がったことで、地元の施工業者などもエネルギー活用に関心を持つようになったそうです。

これらの地方自治体のエネルギー事業を国として支援するのが、総務省の地域力創造グループです。地域資源を活用したエネルギー事業を立ち上げるための計画(マスタープラン)策定を支援しています。プランの実現性を高めるため、策定段階から事業化段階までしっかりとコミットメントし、それぞれの地域で最適な事業形態を追求することを大切にしているのだと言います。

このようにエネルギーは、国内の重要課題である地方創生をかなえる大きなポテンシャルを持っています。近年のエネルギー産業の構造変化を有効活用し、官民学が連携することによって、地域が自立した産業基盤を持てるよう支援していくことが大切だといえそうです。
(提供:nezas)

最終更新:9月13日(水)6時30分

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