ここから本文です

消費者目線の“景気ウオッチャー調査”は悪天候や地政学リスクをどう見る?

9月14日(木)8時10分配信 THE PAGE

(写真はイメージ、提供:アフロ)
拡大写真
(写真はイメージ、提供:アフロ)
 内閣府が発表した8月の景気ウォッチャー調査によると、景気の現状判断DIは49.7と、7月から横ばいも、悪化を見込んでいた市場予想(49.5)は上回りました。また景気の先行き判断DIは51.1と7月から0.8ポイント改善、こちらも市場予想(50.1)を上回っています。(解説:第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一)

GDPにも連動する「景気ウオッチャー」調査とは? どんなことがわかるの?

景気ウオッチャー調査の推移
拡大写真
景気ウオッチャー調査の推移
 この指標はスーパー・コンビニ・家電量販店などの小売業、飲食店、タクシードライバーなど消費者に近い立場でビジネスをしている人を中心に景気に敏感な2050人を選定し、景気の現状と先行きをアンケート形式で回答してもらい、それを数値化するというシンプルなものです。公表が始まった2000年頃は「タクシードライバーに景気を聞いて何がわかるんだ?!」という批判もあったそうですが、以下に示すとおり、今や日本経済を把握するうえで、速報性と精度の高さを兼ね備えた数少ない指標になっています。

 8月の実績に目を向けると、現状判断DIは長雨の影響もあって頭打ちとなったものの、先行き判断DIは上昇基調にあり、総じてみれば景況感は改善傾向にあると判断されます。
企業動向関連・先行き判断DIの推移
拡大写真
企業動向関連・先行き判断DIの推移
 この指標は景気の総括的な判断に加えて「家計関連動向」、「企業動向関連」、「雇用関連」という3つの内訳が公表されています。項目別では、個人消費の先行指標として有用な「家計動向関連」は現状判断が低下した反面、先行き判断が改善しました。消費者に近い立場にいるウォッチャー(調査対象者)は長雨の悪影響を一時的現象と判断している模様で、消費の見通しには楽観的なようです。

 次に生産活動の先行指標として有用な「企業動向関連」は現状判断、先行き判断が共に改善しました。これはほかの指標(Markit社発表の製造業PMI、経済産業省発表の製造工業生産予測指数)で示された増産計画を上書きする内容で好印象です。特に製造業ではその強さが目立ち、先行き判断DIは消費増税直前の水準に回帰しています。最後に「雇用関連」を向けると、こちらは目下の人手不足によって高水準が持続しており、今後も同水準での推移が見込まれます。
景気ウォッチャーとGDP成長率の推移
拡大写真
景気ウォッチャーとGDP成長率の推移
 このように天候不順の影響が懸念されたにもかかわらず、8月に景況感の悪化が観察されなかったことは、足もとの日本経済の成長軌道が+2.5%という高成長を記録した4-6月期と同等のモメンタムを維持していることを示唆しています。
景気ウォッチャー調査と株価の推移
拡大写真
景気ウォッチャー調査と株価の推移
 景気ウォッチャー調査に株価や為替が反応することは稀ですが、この指標は日本経済をリアルタイムに把握する上で指折りの優れた指標であり、実際、国内総生産(GDP)と密接な連動性が認められているほか、株価との連動性も強く、そのトレンド変化が株価に先行することもあります。目下の日本株は北朝鮮絡みの地政学リスクなどから上値が重い状態が続いていますが、この指標の堅調さに鑑みるとダウンサイドリスクは小さいように思えます。

(第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一)

※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。 

最終更新:9月20日(水)5時49分

THE PAGE

 

【あわせて読みたい】

このカテゴリの前後のニュース

不動産投資コラム(楽待)

ヘッドライン