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「億超え投資家」も失敗を乗り越えて今がある

8月18日(金)20時01分配信 会社四季報オンライン

「億超え投資家」も失敗を乗り越えて今がある
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「億超え投資家」も失敗を乗り越えて今がある
 「別冊宝島」でおなじみの宝島社が7月20日に発行したTJムック「日本の投資家 億万長者列伝」。筆者が某駅ナカ書店の投資本コーナーに立ち寄ったところ目に留まり、つい衝動買いをした。そこには“億超え投資家”20人が、金融資産1億円を達成するまでの道のりが、個別銘柄の値動きをモチーフに絵解きで紹介されている。

 その20人の“強者(つわもの)”は、超短期、バリュー、グロース、逆張り、我が道と5つのタイプ別ごとに分類されていた。各人の投資テクニックと思考法に焦点が当たっているから、読者はどの人物のテクニックや思考法が自分と似ているのか”距離感”を感じることができる。きっとセミナーで講演を聞いたような肌感覚で読みこなせるはずだ。以下は、宝島社ムック局の編集担当者に聞いた編集秘話を織り交ぜながら、筆者がお勧めする3つの理由だ。

■ 丹念に拾い集めた“言葉”の数々

 宝島社は昨年12月6日に「10万円で始める株入門」と題したムックを発刊し、初心者が買いやすいミニ株・小型株をテーマとして、株主優待にかかわる情報を盛り込んだ。このムックが好評だったので、今回は富裕層向けに金融資産1億円を超える個人投資家列伝に絞った企画とした。本文は投資家の遍歴や日常を丹念に取材し、ムダな要素を除いて描写してある。そのうえで背景となる考え方を“言葉”として記してある。

 たとえば「トレードが上手い人たちが注目しているケースでは、素直に”旬の銘柄”なのだと受け止め、買い目線で観察します。しかし、話題になっていても、上手い人はさほど関心を示していなかったり、”煽り屋”と目される人や信者が囃し立てていたりするケースでは、様子見か、売り目線で臨みます」(33ページ、Tyun氏)。「バリュー株は資産が再評価されるなどブームになっているときはいいんですが、それ以外は株価が動かないのが難点。やがて値動きに満足できなくなり、成長株に目を向けるようになりました」(70ページ、DAIBOUCHOU氏)。「うまくいっている人は特定の銘柄に投資し、これを繰り返すことで自分の必勝パターンを固めています」(85ページ、上岡正明氏)。これら以外にも”金言”が満載されている。

■ 1人4ページごとのレイアウト

 「需給を凝視する超短期投資家」「とことんバリュー株投資家」「安値放置のグロース株投資家」「下落こそ買いの逆張り投資家」「我が道を突き進む達人投資家」の5つのPARTに20人が分類されている。各人ごとに4ページが割り振られており、基本的に同一のレイアウトだ。「ほかのマネー誌に比べて文字や図表・チャートなどを大きくするなど見やすさにこだわった」と編集担当者は語る。

 1日のタイムスケジュール表、バブル期以降の時系列で資産の増え方を示した棒グラフ、フローチャート化した相場攻略法や銘柄ピックアップ法などが掲載されている。勘所が、図表やグラフという絵解きで説明されているから、本文を読み返す手間が省ける。実名、顔写真、職種を明らかにしつつ、ブログやツイッターのアドレスを公開している人が大半だ。気になる“強者”の現況を知る手掛かりとなるだろう。
■ 今でも通じる“旬の銘柄”

 各人のページでは、個別銘柄が週足チャート付きで紹介されている。巻頭インタビューに登場しているテスタ氏(金融資産12億円)が「昨年、勝ちに勝った銘柄」は任天堂(7974)とブランジスタ(6176)だった。同じく超短期投資家に分類されたカグラ氏(同1.8億円)はミクシィ(2121)が爆騰して9000万円の利益を得た。その後ゴールドマン・サックス証券のレーティング格下げによるストップ安に見舞われて7000万円の損失を被るという約3年半前の生々しいエピソードは目を見張る。

 バリュー株投資家に分類された白米氏(同3.5億円)は、1部指定替えを狙うスタイル。東日本大震災後に岩手県を中心にドラッグストアなどを展開する薬王堂(3385)を買い始めた後、綿半ホールディングス(3199)に信用取引で大勝負をかけたという。ちなみに白米氏が誌面上で初公開した2銘柄のアイ・アールジャパンホールディングス(6035)とインフォメーション・ディベロプメント(4709)は、筆者も注目をした旬の注目株だ。

 ほかにもムックらしく1ページ大のコラムが4つあって、そこでは配当・優待取りやIPOといったタイトルで銘柄一覧が載っている。「銘柄は編集部がコントロールしたわけでなく、マネー関係のスタッフとライターを調整しながらまとめ上げた」(編集担当者)。本文中には、目先筋が好むような低位材料株や小型IT株を軸に多彩な個別銘柄が取り上げられている。

 一方で、失敗と断じるしくじり事例もふんだんに紹介されている。「億超えの投資家の多くは、これ以上失敗したら大変だというおそれを感じた経験をしている。資産1000万から3000万円を行ったり来たりする時期に当たるのではなかろうか。そうした時期に抱いた気持ちと対処といった向き合い方を記事化した」(同)。

 失敗した銘柄は、その理由とともにチャートの値動きなども開陳されており、読者の共感が得られる内容だ。その要点は箇条書きにした「失敗! の痛さを次ぎに生かす鉄則」という囲み記事で再構成。各人のページごとに規則正しく載っている。具体的な事例とそれで得た教訓で構成された「鉄則」を読み返すだけで、先の見えない膠着相場に立ち向かうファイトが沸いてくるに違いない。

 (「株式ウイークリー編集長」古庄英一)

※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
古庄 英一

最終更新:8月21日(月)13時31分

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