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徹底比較「JR・私鉄の距離別運賃」ランキング

7月18日(火)4時00分配信 東洋経済オンライン

鉄道会社の運賃をランキング。最も割安、割高な鉄道会社はどこか?( tarousite / PIXTA)
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鉄道会社の運賃をランキング。最も割安、割高な鉄道会社はどこか?( tarousite / PIXTA)
 自動改札の読み取り機にかざせば瞬時に運賃が差し引かれる、Suica(スイカ)やPASMO(パスモ)といったICカードが普及して、券売機で電車の切符を買う機会がずいぶん減り、運賃をいちいち確かめることもなくなった。

 しかし、何度か電車に乗っているうちに、あっという間にカードの残高が減って慌てた経験は誰もがしているだろう。

 電車の運賃ははたして安いのか高いのか。1980年代まで鉄道各社は何度も運賃値上げを繰り返してきた。しかし、1990年代後半以降は消費税率引き上げ時を除き、各社一斉の値上げは目立って減った。値上げしなくても利用客の増加分だけでコストの増加を十分吸収できるようになったからだが、最低限の利益を確保するどころか、最高益を何度も更新する会社も珍しくない。
■首都圏は1円刻み運賃で比較

 では、鉄道会社ごとに運賃を比較してみたらどのような結果が得られるか。大手私鉄16社とJR東日本、JR西日本、さらに都営地下鉄、名古屋市営地下鉄、大阪市営地下鉄の運賃を割安順にランキング形式で並べてみた。

 ICカード利用の場合の1円刻み運賃がある場合は、そちらを採用している。なお、1円刻み運賃を採用する場合はICカード対応が前提となるが、首都圏以外のエリアではICカードが首都圏ほど普及していない。ニーズが乏しいことや、ICカード化を急ぐと多額のシステム改修費がかかることなどで、首都圏以外のエリアでは1円刻み運賃が普及していないようだ。そのため、今回集計対象とした鉄道事業者は、首都圏の各事業者は1円刻み運賃、関西などそれ以外の事業者は通常の運賃となっている。
 JRについては幹線と地方交通線で運賃体系が異なるほか、東京、大阪では特別な運賃体系が設定されている。そこで今回は、JR東日本は東京、JR西日本は大阪の電車特定区間を対象としている。

 まず、初乗り運賃について調べてみた。

 最も安いのはJR西日本の120円。国鉄時代と同じだ。JR東日本は消費税率引き上げ時に初乗り運賃を改定したが、JR西日本は据え置いた。ただ、据え置いたのは初乗りだけで、それ以降の運賃は税率に合わせる形で引き上げられている。
 2位は京王、小田急、東急の3社で124円。5位はJR東日本、京成、京急の3社で133円。そして8位が阪神の140円で、ようやく関西私鉄が顔を出した。

 その後は12位に近鉄、南海、京阪、阪急、西鉄の5社が横並びの150円で続く。

 17位は東京メトロで165円。利用者が多い割には大手私鉄16社中15位で割高感は否めない。ただ、初乗り区間は3~4kmという事業者が多い中で、東京メトロは6km。

 たとえば銀座線の銀座―表参道間のように165円で結構遠くまで乗車することはできる。
 18位の名鉄170円に続き、19位が都営地下鉄174円、20位が大阪市営地下鉄180円、21位が名古屋市営地下鉄200円となる。下位3事業者はいずれも公営の地下鉄という結果となった。

 初乗り運賃では、東京メトロの例を除けば、関東の私鉄は上位、関西の私鉄は中位、公営の地下鉄が下位という傾向が読み取れる。

 続いて、距離5kmについて見てみよう。

 1位は京王で133円。2位はJR東日本、京成、小田急、東急、京急の5社が154円で並んだ。初乗り1位のJR西日本は7位に滑り落ち、東京メトロは初乗り運賃と同じ165円のままで8位に浮上した。
■乗客数の多い東京は安め

 距離10kmではどうか。1位はJR東日本の165円。ちなみにJR東日本の同じ距離では幹線運賃が195円、地方交通線が206円。東京の電車特定区間はJR東日本のほかのエリアと比べ運賃が30~41円安いことになる。

 東京エリアはほかのエリアよりも乗客数が多いことから、その恩恵はある程度利用者に還元されているといえるだろう。

 続いて距離20kmの場合。1位は東急247円、2位西武267円に続き、東京メトロが3位まで浮上した。ここまでほぼ横並びで推移してきた関西私鉄は阪急と阪神が280円で8位、近鉄が400円で18位、南海が440円で21位と各社間で大きく差が開いた。
■阪神と南海は倍近い差に

 距離30kmでは関西私鉄間の差はさらに顕著になる。2位阪神300円、5位阪急320円、9位京阪370円、15位近鉄490円、17位南海550円。阪神と南海では2倍近い開きがある。

 最後に距離40kmのランキングを見てみよう。

 1位は東京メトロの308円。メトロは28~40kmを308円にしており30kmの運賃と同額だ。なお、実際には東京メトロに40kmの区間はない。最長でも西船橋―和光市間の39.2kmだ。
 2位は京王の360円、3位は東急の370円。京王と東急は初乗り時からつねに上位をキープしていた。短距離でも長距離でも運賃が安く、優等生といえる。

■JRは長距離では高め

 6位に都営地下鉄が422円で顔を出した。初乗り時点では19位だったが、距離がかさむごとにじわじわと順位を上げた。ただ、都営地下鉄も28~46kmが422円。刻みが大ざっぱなのはメトロと同じだ。

 都営地下鉄とは逆に、初乗り時と比べて順位を大きく下げたのはJR東日本とJR西日本だ。JRは距離が長くなるほど運賃上昇率が高くなる傾向があるようだ。
 たとえば40kmでJRよりも下位にある南海と名鉄について、南海の最長距離である128kmで比較すると、南海1340円、名鉄1720円、そしてJR東日本とJR西日本は2160円。JRの割高感が際立つ。

 距離が長くなると高くなるという傾向を少しでも改善するために、JRは特定区間について特定運賃を定めている。ほかの鉄道事業者と競合する区間において設定されるケースが目立つ。

 関西は大阪―京都間、大阪―神戸間という大動脈がJRと私鉄で競合関係にある。たとえば大阪―京都間。阪急の梅田―河原町間は400円、京阪の淀屋橋―三条間は410円であるのに対し、JRの大阪―京都間は本来の距離で見ると710円とかなり割高なのだが、560円の特定運賃を設定している。
 同様に大阪―神戸間は阪急と阪神の梅田―神戸三宮間がどちらも320円だが、JRは本来550円のところ、410円の特定運賃を設定している。

 関東でも競合区間はある。たとえばJRと京王が競合する新宿―高尾間。京王は360円。JRは本来なら712円だが、特定区間として550円に設定している。

 また、JRと京急が競合する品川―横浜間は京急が298円。JRは本来なら388円だが288円と、京急よりも割安に設定している。実は京急も距離でいえば308円なのだが、10円安い特定運賃を設定。両者が特定運賃で客を奪い合う構図だ。
■苦境が続く地方路線の運賃は? 

 ここまでは大都市圏における運賃の高低を競ってきたが、人口の少ないエリアはどうか。

 たとえば、NHKの連続テレビ小説「あまちゃん」で有名な三陸鉄道を例に挙げると、上表のとおりだ。

初乗り運賃は大都市圏と遜色ないが、距離が長くなればなるほど、大都市圏との運賃格差は広がる。ローカル線はこれだけ運賃を高くしても赤字なのだ。
 一方、経営が厳しいJR北海道の地方交通線の運賃はどうか。
 30~40kmは割高だが、初乗り~10kmの運賃は大都市圏の運賃と大差ないことに驚かされる。乗客が少なければ焼け石に水かもしれないが、運賃引き上げを検討してもいいかもしれない。
大坂 直樹 :東洋経済 記者

最終更新:7月18日(火)12時22分

東洋経済オンライン

 

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