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楽天・三木谷会長「スポーツ情熱投資」の国際的存在感

7月18日(火)6時00分配信 ダイヤモンド・オンライン

FCバルセロナの主力4人らが東京で一堂に。左からジェラール・ピケ、リオネル・メッシ、ネイマール、アルダ・トゥラン、J1神戸のルーカス・ポドルスキ、三木谷浩史・楽天会長 写真:日刊スポーツ/アフロ
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FCバルセロナの主力4人らが東京で一堂に。左からジェラール・ピケ、リオネル・メッシ、ネイマール、アルダ・トゥラン、J1神戸のルーカス・ポドルスキ、三木谷浩史・楽天会長 写真:日刊スポーツ/アフロ
 リオネル・メッシ、ネイマール、ジェラール・ピケ、アルダ・トゥラン。

 7月13日、世界の頂点に君臨するサッカーのビッグクラブのひとつ、FCバルセロナの主力4人が東京都内で会見に臨んだ。

 バルセロナが楽天市場で知られる日本のインターネット通販大手・楽天とメイングローバルスポンサー契約を結んだお披露目で呼ばれたのだ。

● サッカー界のBIG5が 東京で一堂に会する

 ご存じの通りバルセロナはサッカー界のトップスターが顔を揃えるクラブで、世界中に1億人のファンがいるともいわれている。そのメインスポンサー契約料(ユニフォームの胸に社名ロゴがプリントされる)は最も高く、年間5500万ユーロ(約71億5000万円)。楽天はこのバルセロナと17年シーズンから4年間(合計すると2億2000ユーロ=約286億円)の巨額契約を結んだ。
 プロアスリートとしては世界で2位の年収を稼いでいるメッシ(2016年=約85億円・フォーブス誌発表※1位はクリスティアーノ・ロナウド)をはじめ会見に出席した4人はいずれも巨額の報酬を得ている。プレーでファンを魅了することに徹していればいい立場だが、所属するクラブにとってスポンサーは欠かせない存在であることを理解しており、スポンサーを尊重するのも重要な仕事と考えているのだろう。そのために、はるばる東京までやってきたわけだ。

 メッシはメディアに冷淡な態度を取ることで知られ、会見に臨むことも稀だといわれる。そんなメッシもこの日はメディアの質問にちゃんと答え、巨額の投資を決断した楽天・三木谷浩史会長とは笑顔で握手を交わした。

 また、会見には楽天が運営するJ1・ヴィッセル神戸に年俸約6億5000万円+出来高で加入した元ドイツ代表、ルーカス・ポドルスキも同席した。世界の超一流プレーヤー5人が顔を揃えたわけだが、この日の主役は彼らを呼び寄せる力を示した三木谷氏だったといえるだろう。

 ちなみにピケは三木谷氏と個人的にも親しいらしく、ひと足先に来日。三木谷氏が思いつきでピケという名前から連想したピコ太郎との面会を実現させ、あのPPAPを一緒に踊らせてしまった。同氏がツイッターで公開した動画を見ると、あの屈強なDFが「ピケ太郎」として結構ノリノリで踊っている。スーパースターでさえも、これほど心を開く関係を築いている三木谷氏の実力を動画から思い知らされた。

 なお、プロ野球ではその三木谷氏がオーナーを務める東北楽天が、福岡ソフトバンクとパ・リーグの首位争いをし、15日に行われたオールスターゲームでも楽天の則本昴大、美馬学両投手が活躍を見せた。サッカーでも野球でも話題を集めているのが、楽天という企業であり、そのトップの三木谷氏なのだ。

● スポーツを支援してきた 欧州「パトロン」の伝統

 ヨーロッパにはパトロン(後援者)が文化を育てる伝統がある。古くは王侯貴族が芸術家たちの表現活動をサポートした。財力を自分のためだけでなく、文化の発展に使う。それが自らの審美眼の証明となり、誇りにもつながるわけだ。その考え方は受け継がれ、スポーツ活動にも事業などで財を成した富豪がパトロンとして競って投資をするようになった。有名なのがイタリア・セリエAのインテル・ミラノとACミラン。インテルは名門のモラッティ家が、ミランはイタリア首相を務めたベルルスコーニ氏がクラブの会長として潤沢な資金を投入し、強豪に育てた。事業家として成功を収めた人物は、強いスポーツクラブのパトロンとなるのがステータスになったわけだ。
 最近では旧勢力のパトロン型経営が限界に達し、インテルはインドネシアで大成功を収めた実業家エリック・トヒル氏に経営権を譲渡、ミランはベルルスコーニ家が経営を続けているが、クラブは弱体化しつつある。だが、イングランドの名門チェルシーはロシア人の大富豪ロマン・アブラモビッチ氏がオーナーを務めているように、新興のパトロンが現れるようになった。

 日本では、大相撲に「タニマチ」と呼ばれるパトロンはいたものの、多くのスポーツにはそうした存在はほとんど見当たらない。日本のスポーツ選手やチームを支えていたのは学校や企業。教育の一環や娯楽(福利厚生)として活動を始め、大会で勝てば組織の士気高揚や広告の効果があることから強化が図られた。興行であるプロ野球もその傾向が強かった。強いて「パトロン的存在」をあげれば、その組織のトップになるのだろうが、すべての支援を自分の判断でできる立場にある人は少ない。

 しかし最近になって日本でもトップダウンでスポーツ活動の支援をする人物が現れた。ソフトバンクの孫正義氏と楽天の三木谷氏だ。

● 微妙に違う 孫氏と三木谷氏の方向性

 孫氏は2005年に球団を取得し、パ・リーグを代表する強豪に育てるとともに、本拠地の福岡ドームの買収、広大な練習施設でありファンが集える場でもある「HAWKSベースボールパーク筑後」の建設、3軍制度の導入など、これまでのNPB各球団ができなかったことを次々と行い成果を上げてきた。三木谷氏は前述したとおり、野球にもサッカーにも投資し、話題を集めている。

 ただ、ふたりには微妙な方向性の違いがある。孫氏は日本で根強い人気がある野球に注力。ソフトバンクホークスをさらに強いチームにして、その力をアメリカに認めさせ、MLBのチャンピオンとのワールドシリーズの開催を目標としていることだ。それが実現できれば日本は盛り上がるに違いない。日本国内を市場としてとらえているのだ。一方、三木谷氏は野球に目配りをしつつ、世界的な市場があるサッカーにも巨額投資を行っている。

 ふたりとも自分が「パトロン」だとは思っていないだろう。ともに新たなビジネスモデルを創出し、卓越した才覚と手腕で大成功を収めてきた実業家だ。投資すること自体に満足するのではなく、ビジネスの効果やリターンを見据えた投資をしているはずだ。実際、ソフトバンクホークスは黒字経営を続けている。三木谷氏にしても、メッシと握手をしたりピケと友だち付き合いをするのにはちょっと自慢したい部分もあるだろうが、巨費を投じてバルセロナのスポンサーになるのは、今後の世界戦略のためだろう。

 そもそも日本では「パトロン」という言葉の響きにあまりいい印象はない。小金を持ったおじさんが、若い女の子の面倒を見るといった時に使われることが多いからだ。

 アメリカなどでもパトロンという言葉を聞くことはほとんどなく、同様の投資を表わす言葉としてPassion Investment=情熱投資が使われることが多いようだ。人が情熱を傾ける対象に投資をする。それが勝利や成功につながれば、支持する人たちの熱量はさらに上がり、投資を上まわる経済効果や市場の活性化が見込まれるというわけだ。

 三木谷氏のバルセロナへのスポンサー契約会見も、その投資金額に人々は驚き、メッシやネイマールが来て対等に挨拶をしている日本人実業家がいたことにも興奮した。三木谷氏は情熱投資の効果を熟知しているのかもしれない。

 (スポーツライター 相沢光一)
相沢光一

最終更新:7月18日(火)6時00分

ダイヤモンド・オンライン

 

情報提供元(外部サイト)

週刊ダイヤモンド

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