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フランス大統領選、「悪夢のシナリオ」はあるのか

4月21日(金)20時01分配信 会社四季報オンライン

1回目の投票日は23日。当選が確実視される候補はおらず、混戦が続く
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1回目の投票日は23日。当選が確実視される候補はおらず、混戦が続く
 投票日まで残り2日。注目のフランス大統領選挙は混戦状態が続いている。

 大統領選の立候補者は11人。調査会社IFOPによると、23日の1回目投票で「誰を支持するか」を聞いた世論調査のトップは中道左派で無所属のエマニュエル・マクロン氏で支持率は24.0%。これに続くのは極右政党「国民戦線」党首のマリーヌ・ルペン氏で22.5%だ。

 3位は最大野党の右派、共和党のフランソワ・フィヨン氏で19.5%。4位につける政治運動「不服従のフランス」のリーダー、急進左派のジャン=リュック・メランション氏は18.5%と僅差だ。政権与党である社会党のブノワ・アモン候補は7%と水をあけられた格好(いずれも20日時点)。

 大統領選では1回目で過半数を獲得する候補がいなければ、上位2人による決選投票が5月7日に行われる。フランスの各メディアや各世論調査会社は「上位4人まで2回目投票に進出の可能性がある」などと指摘しており、予断を許さない状況だ。

 金融市場の関係者が注視する物差しにフランスとドイツ両国の10年物国債の利回り格差(スプレッド)がある。両国の国債利回りは通常、経済力格差などを反映してドイツの利回りがフランスのそれを下回って推移。つまり、利回り格差はドイツの国債にどれだけプレミアムを上乗せすれば、投資家にフランス国債を買ってもらえるかを示したものだ。

 同格差は18日の約0.74%から20日には0.61%まで急低下。マクロン氏優勢を好感した動きとみられる。というのも、マクロン氏は欧州連合(EU)との連携強化を訴える。公約でも現行の法人税率を33%から25%へ引き下げるなど民間企業の支援を通じて経済の活性化を図ろうという政策を打ち出す。
 しかも、IFOPの調査では、決選投票が「マクロン氏対ルペン氏」となった場合、マクロン氏に投票するとの答えが61%に達しているのに対し、ルペン氏の支持は39%にとどまる。マクロン氏が決選投票に進めば、「反EU、移民排斥」を掲げるルペン氏の勝利を阻止し、「フレグジット(フランスのEU離脱)」の可能性も遠のく、というのがマーケットの読みだ。

 フィヨン氏もマクロン氏と同様、「親EU」の立場だ。年金支給開始年齢の62歳から65歳への引き上げや付加価値税(VAT)増税を打ち出しており、財政改革への取り組みはマクロン氏より意欲的ともいえる。難民・移民問題には厳しい姿勢をみせるが、いずれにせよ、マクロン氏との決選投票というシナリオになれば、マーケットはひと安心する公算が大きい。

■ 棄権率が高いと極右や極左の候補が有利に

 ただ、マクロン氏の決選投票進出が確実とは言い切れない。IFOPの調査によると、4人の有力候補のうち、「1回目投票で支持する候補に必ず票を投じる」と答えているのはルペン氏がもっとも高く85.4%。以下、フィヨン氏77.5%、メランション氏73.1%でマクロン氏は68.2%と最も低い。棄権率の高さも気掛かりだ。現時点では27%の人が「投票に行かない」と答えている。「棄権率が高いと、極右や極左の候補に有利に働く」(仏「ル・モンド」紙のフィリップ・メスメール記者)。

 マーケットがなによりもおそれているのは、「ルペン氏対メランション氏」の構図である。メランション氏の支持率は急上昇。ホログラム映像を駆使した演説など巧みなパフォーマンスで人気を集め、「台風の目」ともいうべき存在になってきた。

 EU離脱の是非を問う国民投票を公約に掲げるルペン氏とは一線を画すが、同氏が立ち上げた「左翼党」のホームページには、「欧州のかんぬきを外す」としてEUとの話し合いを提唱。「民営化、労働市場の自由化、公共投資の禁止、競争力の強化などを定めた公共の利益に反する条項の適用はやめよう」などとして、協議が不調に終わればEU離脱を辞さない姿勢を示す。EU離脱をちらつかせる両者で決選投票が行われるとなれば、マーケットの波乱は避けられないだろう。

 高級ブティックなどが軒を連ねるパリの繁華街、シャンゼリゼ通りでは現地時間の20日、銃撃事件が発生。オランド大統領は「(事件の)手掛かりがテロを示すものであると確信している」と述べた。「テロ」が投票にどのような影響をおよぼすかは読み切れない。

※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
松崎 泰弘

最終更新:4月21日(金)20時01分

会社四季報オンライン

 

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