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“バイクのバブル時代“今は昔 人気復活へ多様性に活路

4月16日(日)12時46分配信 THE PAGE

[写真]異色のサイドカー「ウラル」は若者たちの目も引いた
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[写真]異色のサイドカー「ウラル」は若者たちの目も引いた
 かつて爆発的な国内販売台数を誇ったバイク。低迷の今、どこに向かうのか―。先月、東京ビッグサイトで開かれた「第44回東京モーターサイクルショー」は、関連業界やバイクファンが今年もそんな思いで会場を訪れました。若者の趣味の多様化、貧困、多くの法規制などが最近の国内市場低迷の原因ともいわれる一方、バイク文化の多様化と熟成で市場を切り開こうとする動きも。新たな挑戦が加速するのか、会場に見てみました。

国内販売は全盛期の7分の1

[写真]にぎわいを見せた東京モーターサイクルショー
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[写真]にぎわいを見せた東京モーターサイクルショー
 主催者の東京モーターサイクルショー協会(赤坂正人会長)によると、今回は展示会場を増床し、国内外のメーカー、販売代理店、パーツ・アクセサリー業界、出版社など過去最多の155社・団体が参加。車両の展示を中心にプロのライダーのトークショーや警視庁の交通安全イベント、関連業界のアンケートや署名活動など多彩に繰り広げました。一時の悪天候にもかかわらず会場は多数の入場者で埋まり、その顔ぶれも若者から中高年までの男女のバイクファン、子ども、家族連れなど幅の広さが特徴でした。 

 イベントでこれほどのにぎわいがありながら最近の国内販売は激減。経産省によると2014年の二輪車の世界市場(6344万台)に占める日本ブランドは42%と圧倒しながら、「国内販売は327万台(1982年)から46万台(2013年)へ大きく減少した」。一時の7分の1という衰退ぶりです。
[写真]足を着かずにとどまるスタンディングに挑戦
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[写真]足を着かずにとどまるスタンディングに挑戦
 多くの関係者がその背景を分析しながらも、対策の根拠となるような原因は不明。会場の大手メーカー販売店社長は「バイク不振の原因も将来も分からない。一体自分たちはどうしたらいいのかも分からない」と告白するほど。最近話題になることが多い中高年のリターンライダーについても「リターンライダーは高年齢だから先行きを考えれば多くの期待はできない」。

 現象面で見ると「以前は16歳、高校生になった男の子は親と一緒に真っ先にバイク店に現れて購入する車種を決める姿が見られたが、今はほとんど見かけない」と同社長。業界でよく指摘されるのは、かつての「免許を取らせない、バイクを買わない、乗らない」という高校の「3ない運動」の後遺症。社長は「若者たちの趣味の多様化、125CC以上のバイクは置けないというマンションの事情など、ほかにもいろいろ考えられる」とも言います。

サイドカーで新しいバイク文化を開拓

[写真]「販売拡大を図る」と自信を見せるウラル・ジャパンのボリヒン社長
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[写真]「販売拡大を図る」と自信を見せるウラル・ジャパンのボリヒン社長
 手探り状態の中で、バイク世界の展望を開こうという動きの一つがサイドカーの販売会社。ロシア生まれのサイドカーを日本で販売するウラル・ジャパン株式会社(大阪市)は会場に設けたコーナーに実車を展示し、多くの人を集めていました。

 同社社長のボリヒン・ブラジスラーフさんは「サイドカーはバイクでもなく車でもない独特の存在だけに、こだわりを持つ人も多い。一般道路はもちろんオフロード走行やテントを積んでのロングツーリングにも2人で行ける。この幅広い楽しみ方が大きな魅力で、最近売れつつあるんです」と自信を見せます。

 同社長によると今年は年の初めに10数台売れており「年内に50~60台の販売を目指す」。数年後には年間100台の販売が目標。「アメリカではイタリア製のスポーツバイクなどより売れているんですよ」。

 国内でサイドカーはまだ少数派。戦時中に各国で軍用に使ったり、最近では警察のイベントや特別な警護などでたまにテレビに映る程度。ボリヒン社長によると「以前はミリタリー(軍事)趣味のおじいちゃんしか関心を持ってくれなかった」。それが最近は若者たちが関心を寄せるようになり「キャンピングへの利用などをもっと若者たちにアピールしてどんどん購入者を発掘していきたい」と期待をかけます。

 同社の主力ディーラー、ウラル関西の山野昌宏社長は「バイクはこれから多様性を求められる時代を迎える。1車種でも大量に売れた“バブル販売”の時代は終わった。これからはメーカーも販売店も売りっ放しではなく1人1人のお客さんと向き合って丁寧に、時にはきちんと責任あるアドバイスをして買ってもらう。それによって信頼関係が構築できればお客さんの輪が広がり、大きな財産になるんです」と自信を込めて指摘。サイドカーが若者たちの趣味の一角を占める新しいバイク文化を期待します。

若者にも買いやすい価格帯で提供

[写真]タイのバイクも高性能をアピール
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[写真]タイのバイクも高性能をアピール
 一方で、高額な大型バイクに手が出しにくい若者向けに手の届きやすい価格帯の製品を提供しようとする動きも。欧州の自動車メーカー系のスクーターのコーナーでは30万円前後の製品を展示し、若い女性らの間で「デザインがかわいい」と人気。製品を扱っている販売会社の担当者は反響を期待しながら「この価格帯で十分な反応がなかったらすぐに販売をやめますよ」と、厳しい販売戦略の一端をうかがわせていました。

 東南アジア勢のメーカーも、買いやすい価格帯での勝負。タイの主力バイクメーカーは125CCクラスのスポーティーなバイクを日本側の監修を加えて販売。こちらもやはり29万円代の価格設定で若者たちの注目を集めていました。コーナーの担当者は「タイ、マレーシア、インドのバイク製造は盛んで、品質は上がっている。このバイクはデザインや性能面でも若者や女性に歓迎されるはず」と話していました。

 会場ではほかに1000CCクラス以上の大型バイクをはじめ独自のカラーリングを施したカスタム車などへの関心も高く、車種や価格帯を含めスポーツバイク一色のブームが続いたかつてとは異なる多様化の傾向も。顧客とメーカー・販売店の個別の結びつきをゆっくり育てていく熟成の関係もバイク復活に向け期待されていました。
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■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説。日曜ライダー

最終更新:4月19日(水)5時43分

THE PAGE

 

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