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公共投資に“春”の兆し 公共工事関連データからわかった大本命株とは?

3月16日(木)11時40分配信 THE PAGE

東京2020オリンピック・パラリンピック新国立競技場 起工式(写真:アフロスポーツ)
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東京2020オリンピック・パラリンピック新国立競技場 起工式(写真:アフロスポーツ)
 今年に入ってからの東京株式市場は、代表的な指標である日経平均株価でみる限り、上にも下にも伸びきれない重苦しい展開が続いている。実際、この間、ドル・円相場や米金利、さらにトランプ政権の行方を気にしながら、高値が1万9600円台に対し、下値は1万8600円台のゾーン内で推移。しかし、こうしたジレンマ状態から先んじて抜け出す個別の有力候補として公共投資関連の筆頭格である建設株が浮かび上がってきた。注目材料の一つが3月15日に発表された「公共工事前払保証統計」だ。(解説:証券ジャーナリスト・神田治明)

公共工事の動向を探る見逃せないデータとは?

  ◇  ◇

 一般にはあまり知られていないが、建設会社の幹部や建設業界担当の証券アナリストの間で、公共工事の動向を探る見逃せないデータとしてマークされている月次統計がある。

 保証事業会社3社(北海道建設業信用保証、東日本建設業保証、西日本建設業保証)が合同で毎月まとめ、公表している「公共工事前払保証統計」だ。

 公共工事を進める場合、国や都道府県、市区町村など発注側の公共団体は、受注者(建設業者)に前払い金を支払うことが法律で義務付けられている。

 建設会社にとっては請負代金の一部を着工資金として受け取ることができるという便利な仕組みだが、一方で発注サイドにしてみれば、前払いしたものの建設会社が債務をきちんと履行してくれるかどうかが気がかり。トラブルがあって、途中で契約解除という事態にでもなればモロに損失を被ってしまう。そうしたリスクに備え、前払い金を限度に保証を行うのが、国土交通省に登録された前述の保証事業会社3社である。

 東日本建設業保証によれば、この統計は「政府建設投資に対するカバー率が約7割と高い」という。また、当月のデータが翌月中旬には公表されるため、速報性に富む。発注者の動きがリアルにつかめる「比較優位のデータ」というわけだ。

 その2月分の前払い保証統計が3月15日、明らかになった。それによると2月の保証請負金額は7692億9600万円で前年同月比10.4%増。昨年10月が同10.0%減、11月は同5.7%減だったものの、12月は同5.3%増とプラスに転換し、今年1月が同7.1%増、そして2月は伸び率が二ケタに達した。受注拡大の「春本番」を予期させる変化の胎動である。

 発注者別の内訳を見ると、2月は「国」が2258億8700万円と同55.9%増と、「都道府県」や「市町村」を上回って大幅な伸びを示している。昨年夏に決めた政府の大型経済対策効果が足元の公共工事の受注増につながり始めた。

 国土交通省が2月末に公表した、大手50社を対象とする1月の「建築工事受注動態統計調査」は、受注総額が9177億円(前年同月比1.1%増)と2カ月連続で増加した。この統計では民間工事が4カ月連続で増えている。

 2020年の東京五輪開催に向けて建設関係の公共投資はもちろん、今年から来年にかけて民間工事も一段と活発化するとみられ、建設会社の業績は来3月期も好調を持続するのは間違いないだろう。

リード役は大手ゼネコン

 にもかかわらず、建設セクターの株価は年初から精彩を欠いたまま。東証・建設株指数は1月6日に1303.32ポイントで高値を付けたあと、2月8日には1168.69ポイントまで10%下落。3月初旬以降、やや戻しつつあるが、それでも15日現在、まだ1230ポイント台に届いていない。円安メリットを享受する電機、精密、自動車といった輸出型製造業の銘柄が中心的に物色される状況下、内需系の非製造業銘柄である建設株は割りを食った格好だ。

 しかし、受注増勢を背景に、今後、建設各社の2017年3月期決算の発表(5月初旬~中旬)をにらんで、株価も浮揚力を増していく可能性がある。また、先行き日本に対して内需拡大(=財政出動)を要求することが考えられる米トランプ政権の動きも、建設セクターにとっては刺激材料になるだろう。

リード役は大手ゼネコン。とりわけ、新・東京五輪スタジアムの施工会社である大成建設(1801)は有望銘柄の筆頭格といえる。

 2月初旬に発表した大成建の今3月期第3・四半期累計(昨年4月~12月)連結決算は本業の儲けをあらわす営業利益が1043億9600万円(前年同期比35.2%増)を達成。現在のペースだと、会社側の通期計画である1120億円(前期比4.7%減)は大幅に超過達成される公算大。注目されるのは「稼ぐ力」を示す完成工事利益率の向上が顕著になっている点だ。昨年12月に記録した850円高値を奪回し、中期的には900円台を目指す潜在力を秘めている。

 このほかでは、大林組(1802)、清水建設(1803)、鹿島(1812)、前田建設(1824)といったほかの大手ゼネコンや準大手ゼネコンも上値余地は大きい。リニア新幹線がらみの有力株、鉄建建設(1815)は320円台での下値固めが進み、出番待ちの様相だ。

(証券ジャーナリスト・神田治明)

最終更新:3月22日(水)5時48分

THE PAGE

 

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