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所有者が複数いる「共有不動産」。買いたい場合、どれほど面倒?

3月20日(月)11時20分配信 不動産投資の楽待

(写真© liza5450-Fotolia)
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こんにちは。銀座第一法律事務所弁護士、鷲尾です。今回は、相続人が複数いる物件を購入する場合に、気をつけるべき点があるか、というご相談です。

■相談内容
相続人が複数いる物件を購入したいのですが、気をつける点はありますでしょうか?

■不動産が共有となる場合は様々

相続人が複数いる物件とは、購入しようとしている不動産について、たとえば被相続人である親が不動産を所有していたが、その親が死亡したために親名義の不動産が子供たちに相続されて共有となっているものです。

相続の場合に限らず、自宅を夫婦や親子で購入したり、あるいは事業用の物件を共同事業者と共同で購入するなど、不動産が共有となる事情は様々です。それ以外にも、私道を周辺の土地所有者が共有で持ち合ったり、マンションの敷地を各部屋の所有者で共有したりなど、不動産が共有状態になっていることは珍しいことではありません。

■相続登記とは

不動産が共有になっているかどうかは、通常は、登記簿を見ればわかります。登記簿の権利部(甲区)(所有権に関する事項)の「権利者その他の事項」というところに記載してあります。相続により共有となっている不動産については「共有者」として複数の者の住所氏名が記載されているので、単独所有でないことになります。また、共有物件については、必ずその「持分」も記載されています。
不動産の相続に関する登記には、次のようなものがあります。

1.遺言による相続登記

被相続人が遺言によって不動産を取得する者を指定した場合には、遺言による相続登記が行われます。

2.法定相続分に応じた相続登記

被相続人である父が死亡し、その相続人が妻と長男、長女の3名であった場合、法定相続分は、妻が2分の1、長男と長女はそれぞれ4分の1ずつです。この法定相続分に応じた相続登記は、相続人間の合意によりなされることもありますが、相続人の1人が他の相続人の同意を得ることなく単独で行うこともできます。

不動産の登記手続は、権利者と義務者が共同で行うのが原則ですが、相続登記の場合には、遺産分割協議が整っていなくても、相続人は他の相続人の同意なく単独で法定相続分に応じた登記をすることが可能なのです。

3.遺産分割協議に基づく相続登記

相続人全員の話合い(協議)に従った相続登記です。したがって、法定相続分に応じた持分登記であることもありますし、そうでない場合、たとえば相続人のだれか1人が単独でその土地を取得するような場合もあります。

4.被相続人名義のままの場合

被相続人が死亡して相続が発生したにもかかわらず、不動産の登記名義が被相続人のままになっている場合です。これには、遺産分割協議がまとまらないために登記ができないでいる場合、単に登記手続を行うのが放置されている場合があります。

当然ながら、この被相続人名義のままとなっている場合には、登記簿を見ても、相続人の氏名やだれがどれだけの持分を持っているかということは分りません。

■共有は共有割合に応じて不動産を持ち合うということ

共有者は、共有物件について割合に応じた持分を有しています。持分というのは、共有物に対して共有者が有する権利の割合のことです。上の例でいえば、一郎さんが3分の2、二郎さんが3分の1の割合で不動産全体を持ち合っているということになります。

注意しなければならないのは、たとえば300㎡の面積の不動産の持分3分の2を有する共有者は、その不動産全体に対して3分の2の割合の範囲で所有権を持つのであって、不動産全体のどこか一定の3分の2の面積(200㎡)の所有権を持つわけではないということです。

つまり、不動産が共有となっている場合、共有者の全員がその不動産全体についてそれぞれの持分割合に応じた権利を持っていることになるため、他の共有者の承諾なしに共有不動産を第三者に売却するようなことはできないのです(民法251条)。

ここが共有物件の厄介なところで、大勢の共有者が一つの不動産を共有している場合、だれか1人でも売却に反対するものがいれば、その者の意向を無視して土地を第三者に売却することはできないということになってしまいます。

逆に、相続物件であっても、共有者全員が物件の売却に応じてくれる場合であれば、単独所有の物件と同様、スムーズに購入を行うことが可能です。

■共有不動産を取得する場合の問題点

上で見たように、不動産が相続により共有となっている場合であっても、登記簿をみるだけでは、被相続人の名義がそのまま残っていて一見すると相続が発生しておらず実際には亡くなっている人が所有しているように見えることもあります。

また、相続による共有登記がなされていても、その登記が、相続人間の円満な協議に基づいてなされたものか、相続人間の対立が激しいなどの事情でだれか1人が法定持分による相続登記をしたものかといった区別はつきません。

しかし、どのような場合であっても、共有の物件を購入するときは、共有者(相続人)全員の同意を得なければならないことに変わりはありません。したがって、共有物件を購入する場合には、だれが権利者(相続人)かを戸籍謄本などで確認し、その相続人全員の承諾を得て購入しなければなりません。

ところが、もともとの所有者の死亡によって相続が発生した後、遺産分割協議が整わない間に相続人の1人が死亡してさらに相続が発生したりするなどして、多数の相続人の共有状態になっていて、戸籍をそろえて相続人を確定するだけで一苦労といったこともしばしばあります。

また、相続人のうちの一部の所在が不明であったり音信不通であったりして、コンタクトを取ること自体ができないこともあります。どうしても所在が分からない人がいるときは、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立ててもらわないといけないということにもなります。

不在者財産管理人というのは、不在者の財産を管理・保存するほか、家庭裁判所の許可を得て、不在者に代わって、遺産分割や不動産の売却等を行う人です。当然、こうしたケースでは、通常の物件購入のようなタイムスケジュールでは手続が進みません。

そうでなくても、売主が複数いるということはそれだけで売買の交渉に時間や手間を要することになりますし、相続人間で協議がスムーズに行われない場合には、さらに時間がかかります。購入しようとする物件が相続により共有となっているという場合には、このことに注意しておく必要があります。

■共有持分だけの購入は自由

なお、共有者は、共有不動産全体を勝手に処分することはできませんが、自分の持分権だけならば、他の共有者の承諾がなくとも第三者に売却することが可能です。しかし、共有持分を持っているだけでは不動産を自由に処分することはできませんし、農地を宅地にするなど不動産の利用形態を変えたり、賃貸借契約を締結したりするにも、他の共有者の同意が必要です。

共有持分権はこのような制約のある権利ですから、共有持分権のみを買い取っても思うような物件の利用はできませんので、それなりに減額評価した金額でなければ買い取る意味はないことが多いでしょう。

■共有物件の取得は得か?

共有物件を取得する場合は「共有物件だから取得したい」ということはほぼなく「ほしい物件がたまたま共有だ」ということがほとんどだと思われます。

どうしてもほしいとなった場合には、交渉が煩雑になることも覚悟のうえで交渉を進めていくしかありませんし、場合によっては一度に全体の所有権を取得することは断念し、共有者がもつ持分権を一つずつ取得していき、時間をかけて最終的に全部の持分権を入手することを計画せざるを得ない場合もあるでしょう。

こうした場合には、一つ一つの持分権は割安で入手できる可能性もありますから、最終的にすべての持分権を取得することができれば、総額としてはその物件を割安で入手できた、という結果になることもあるかもしれませんが、それなりに時間はかかると思います。共有物件の取得が一概に有利とかやめた方がよいということはできませんが、こうしたことを念頭に入れて検討してみてください。
鷲尾 誠

最終更新:3月20日(月)11時20分

不動産投資の楽待

 

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不動産投資の楽待

株式会社ファーストロジック

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