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視聴率はもはや人気のバロメーターではない 月9ドラマ「明日婚」は不人気か?

3月20日(月)20時40分配信 ZUU online

視聴率はもはや人気のバロメーターではない 月9ドラマ「明日婚」は不人気か?(写真= Antonio Guillem /Shutterstock.com)
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視聴率はもはや人気のバロメーターではない 月9ドラマ「明日婚」は不人気か?(写真= Antonio Guillem /Shutterstock.com)
今シーズンのフジテレビ系月9ドラマ、「突然ですが、明日結婚します」(明日婚)の視聴率が毎週最低記録を更新し続けている。フジテレビはもとより、日本のテレビドラマの象徴であった月9ドラマだが、最低記録の更新がネットニュースで報じられるたび、話題になってしまっている。

■視聴率は本来、広告取引のための数字

視聴率が一般に番組の人気のバロメーターとして認識されるようになって久しい。今や昨日の視聴率が翌日あさイチのネットニュースで報じられSNSで拡散されるほどだ。視聴率の高さそのものが話題となり、その後の視聴率に影響を与えることも増えてきた(視聴率の高い番組はますます見られ、低い番組はますます見られなくなる)。

だが視聴率は、本来はコマーシャル枠の値段を決めるための指標で、テレビ局と広告代理店、広告主間での取引に用いられてきた。視聴率の高い番組のコマーシャル枠は高い値段で取引されるため、コマーシャル収入に依存しているテレビ局にとって、視聴率の高さは企業としての収益に直結する、最も重要な指標なのだ。事実、局全体の視聴率の低下によってフジテレビの収益は悪化している。

インターネットのコンテンツが充実してきたことで、メディアの王様であったテレビの地位は相対的に低下しつつある。全体の平均視聴率のレベルそのものが年々低下している。いわゆる、「テレビ離れ」だ。この傾向はデジタル・ネイティブの若い世代に顕著に表れている。テレビの中心的な視聴者層は20代から30代・40代以上にシフトしている。月9は若者を主役にしたものが多い(ここにこだわるのも、フジテレビらしさともいえるのだが)。中・高年齢層とのギャップを考えれば、視聴率を取る上では不利なのは自明だ。

■「明日婚」はネットの見逃し配信では再生数最高記録

最低視聴率を更新している「明日婚」だが、フジテレビが運営する見逃し配信サービス「プラス7」の最新データによれば、配信史上最高を記録したという。地上波テレビ放送でとネット配信では正反対の結果になっているのだ。

見逃し配信での大きな特徴として、女性17~22歳が非常に多いことがあげられている。テレビ離れを起こしているといわれている若い世代が、地上波ではなくネットで月9を見ているのだ。スマートフォンで好きな時間に視聴していることは容易に想像できるだろう。
もちろんネット配信での視聴者数は地上波に比べてまだまだ少ない。だが再生回数記録の更新を考えると、人気がないわけではない。「明日婚」のドラマの内容の良し悪しも話題になっているが、少なくとも若い女性層からの支持はあるようだ。

■視聴率はもはや人気のバロメーターとは言いがたい

一般視聴者からすれば、視聴率はその番組が面白いかどうかの参考になることが多いのは確かだ。

だが「明日婚」がネット配信では支持されていることや、録画して後から見る「タイムシフト視聴」が一般化していることから考えれば、視聴環境が急速に変化し多様化している環境の中では、地上波のリアルタイムでの視聴率だけで人気度を総合的に判断することは適切ではなくなってきている。「月9また最低記録更新」はニュースになりやすいが、視聴の実態からするとあまり関係はないだろう。

フジテレビの亀山社長は、「30年目の月9は転換期に来ている」と語っているが(毎日新聞2月24日付)、テレビのビジネスモデルも転換期に来ている。

広告収入を確保するためには地上波、タイムシフト、ネット配信など様々な視聴方法に対応する新たな広告パッケージの開発が必要だろう。現在は地上波のコマーシャル枠の販売がほとんどだが、新しい方法で視聴する消費者を横断的にカバーする広告手法や広告パッケージが求められる。これは消費者に商品を売り込まなければならない広告主にとっても重要であることからも、そのような要求がなされて然るべきだろう。

またテレビ局のビジネスの根幹であるコンテンツ制作力の向上、海外マーケットへの番組販売や番組フォーマットの販売など、広告以外での収益も今まで以上に重要になる(ちなみに、本業以上に不動産収入の収益が高い不健全なテレビ局もある)。広告による無料放送というビジネスモデルが直ちになくなることはないだろうが、いずれは、また緩やかにではあろうが、有料視聴での収益を向上させることも積極的に検討されるだろう。

すでに誰もが経験しつつあるように、ネットへの急速なシフトを考えれば、テレビビジネスの転換点は予想以上に早く来るだろう。(戸神雷太、広告業界出身のコンサルタント)

最終更新:3月20日(月)20時40分

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