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空室と災害、不動産投資の2大リスクに遭い、自己破産まで考えたYさんの話

3月18日(土)18時20分配信 不動産投資の楽待

(写真© beeboys-Fotolia)
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すでにすっかり定着したサラリーマンの不動産投資。短期間で順調に買い進めてサラリーマンをリタイヤするという目標を叶える人がいる一方で、取り返しのつかない失敗をする投資家もいる。

今回は、そんな不動産投資の裏側に注目してみる。破綻寸前ですでに打つ手がない……そんな失敗投資家は、どこで道を間違えてしまったのか。そして、アパート経営が破綻すると一体どんなことが起こるのか、赤裸々に語っていただいた。

■同級生に勧められるまま、生まれ育った街で新築アパート経営

M・Yさんは50代の男性で、生まれも育ちも千葉県某市。大学卒業後は大手自動車メーカーに就職している。現在は東海地方在住で奥様とお子さん2人の4人暮らし。そんなM・Yさんがアパートを持ったのは、地元で工務店を営む同級生の紹介だったとか。

「12年前のことです。父が亡くなって家を継いだのは兄ですが、私にまとまった現金が遺産として入りました。それを地元の幼馴染に話したところ、将来のためにアパートを建てたらいいとすすめられました。

本来ならマイホームを建てるのにちょうど良い資金だったのですが、当時の私は転勤があったこと、それから将来的には妻の実家に住むことが決まっていたので、アパート経営をしてその家賃収入を年金の足しにするのもいいかと思ったのです」

当時はまだ不動産投資という言葉は一般的でなかった頃、なんの知識もない中、同級生の工務店にすべてを任せる形でアパートを建てることになった。ほどなくM・Yさんの実家から近い場所に40坪ほどの土地を見つけ、ワンルームにロフト8室の若者向きのアパートを新築。竣工後は同級生と懇意にしている地場の不動産会社が管理を引き受け、すべてを信頼できるルートにまかせたと安心しきっていたという。

「土地を購入するタイミングは悪くなかったと思います。銀行融資も同級生が手配してくれました。土地、諸費用合せて総額6000万円で、地元の銀行に4500万円を金利3.5%で20年借りて月々の支払いは約25万円。利回りは新築時で7%強と今思えばまったくよくありませんが、頭金を2割以上入れているのが良かったのか融資審査は無事に通りました。新築時の家賃は4.5万円程度だったので、それでも手残りは月10万円ありました」

そもそも高利回りや高収益の物件を知らないので、ローンが払えて現金が10万円残るアパート経営には感謝こそすれ、幼馴染を疑ったことは一度もなかったという。

「最初の数年はすごく順調でした。経営破綻するまでにいくつかの段階がありましたが、最初のトラブルはリーマンショックです。当時のアパートには派遣社員ばかりが入居していました。それが新築後5年経ったころに起こったリーマンショックの影響で一斉に退去となったのです」

当時は退去にも困ったが、なによりM・Yさんの本業である自動車メーカーの業績が傾き、リストラされるのではないかと心配したという。

「世界経済のことで、私1人が努力してもどうにもなりません。それまで贅沢というほどではないものの、わりと余裕のある生活をしていましたが、ボーナスが見込めないので切り詰めるようになりました。それから妻の実家をリフォームして、同居することになりました」

この頃からM・Yさんはアパートに対しても、任せっぱなしでは良くないと、少しずつ勉強を始めることにしたという。サラリーマン投資家による書籍も多く出はじめていたころで、空室対策の本を読んで満室になるように努力をしようと考えたそうだ。

「営業ではないですが、業者めぐりをしようかと考えていたのです。同級生に電話で相談すると『業者に任せておけばいいから』と楽観的な返答で、『オーナーがちょっと動いたくらいで空室が埋まれば苦労はない』という話を聞いて、『それもそうか』と納得してしまいました。これも良くなかったです。

とりあえず、これまで4万円台だった家賃を3万円台に下げて、敷金礼金0、広告料を2カ月に増やす形で空室を埋めるよう不動産業者に依頼しました。この時点でのキャッシュフローは満室になってもトントンです。それでも空室よりはマシだと考えていました」

こうして、アパート経営はどんどん傾いていく。

「その頃は、『持ち出しさえなければいい』という考えでした。月々のローンはなんとか払えていましたが、お金が残らないので、原状回復費用は持ち出しです。アパート経営が一気に重荷になってきました」

■東日本大震災の影響で、液状化による地盤沈下が起こる

ローンは支払えているものの、少しずつ赤字を出しながらのアパート経営を続けていたが、空室が出るたびに徐々に家賃は落ちていく。そんな中、2011年の東日本大震災で起こり、M・Yさんは徹底的なダメージを受ける。

「アパートが建っている土地で液状化による地盤沈下が起こったのです。当時は浦安の液状化が大きなニュースになりましたが、千葉では他の市でも同じことが起こっていました。震災後はライフラインが長らく復旧しませんでした」

基礎はひび割れて、建物が傾いて大変な状況になっていたのだが、当時はすでに東海地方に住んでいたM・Yさん。物件を直すのに1000万円以上かかると聞いて頭をかかえた。

「困ったことに地震保険に加入していませんでした。同級生も大変なことになっていて、相談に乗ってもらうような状況ではありませんでした。混乱して状況もわからない中、退去が続き、ローンは完全に持ち出しとなりました。修正工事を行うにも、すぐにはできず、翌年まで待って、妻の親に頭を下げてお金を借りました。正直、返すあてがありません。それでも工事をしなくては、と思っていました」

こうして何とか修繕工事を行うことができた。その際にはまた同級生に発注する。工事費用は割高だったが、気が付かないM・Yさん。しかもアパートは修繕したものの、家賃は下がったまま。なかなか満室にならない状況は変わらない。

「なんとか自分のサラリーから返していましたが、もう限界です。工事が終わっても入居がつかないのです。妻の両親への支払いもありますし、もう耐えきれません。妻にパートに出てもらい、家計をとにかく切り詰めてやりくりしていましたが、子どもの進学に妻の母と入院と重なり、2013年に入ってからはいよいよ返済ができなくなりました。家族にも責められるし、自分だけではどうしていいかわかない状況となりました。こんなつもりじゃなかったのに、どこで間違えたのか……」

義母の入院で、妻のパート勤めもままならず、家計はひっ迫するばかり。数カ月滞納した2013年の春「期限の利益の喪失通知」が送られてきた。

「『期限の利益の喪失』と書かれた書類を見ても、意味がよくわかりません。ネットで検索してみると、分割でローン返済できる権利を失うことを意味するのですね。指定された期日までに滞納分を支払うことができなければ、残債すべて一括で支払えとあります。これはもう到底無理な話です。もう自己破産するしかないのかと絶望的な気持ちになりました」

通常「期限の利益の喪失通知」が届いて滞納分の支払いができなければ、残債の一括返済を求められる。この時点で多くの債務者は支払えないため、債権者が競売の申し立てを行うことになる。債務者へは裁判所から「担保不動産競売開始決定通知書」が届き、裁判所が取り仕切り競売が行われるのだ。

■ローンが払えなくなり任意売却を決意

M・Yさんはインターネットで調べて知った東京の収益専門の不動産業者へ相談に出向いた。そこで言われたのは、まず新築アパート計画自体に無理があったこと。そもそも工事費用が高く収益性が低いアパート、それもその地域では供給過多なワンルーム、返済比率の高さを指摘された。

「まったく自覚していませんでしたが、もともと計画に無理があったのですね。そこにリーマンショック、震災ときて、私自身で対処できる状況ではなくなりました。業者さんからは任意売却を進められました。競売よりもメリットが多いという説明を受けてお任せすることにしました」

任意売却とは、ローン返済の滞納を引き起こした不動産を、債権者(銀行)の許可を得て売却すること。競売に比べて任意売却の方が高く売却できる。また、競売では裁判所より公示され競売サイトに情報が掲載されてしまうが、任売ではそういった個人情報は表にはでないことが大きなメリットとなる。

M・Yさんのケースは遠隔地にあるアパートのため問題にはならないが、これが居住しているマイホームであれば競売では強制退去もある。任売となれば引越し日の調整が可能となる。

「物件は2500万円で売れました。昨年リフォームをしたばかりということで、すぐに買い手がついたのです。これで銀行の残債は払える金額になりました。あとは妻の両親に借りたリフォーム費が残っていますが、こちらは少しずつ返していくことで了解を得ています。今も決してラクではないですが、月々数十万の借金がなくなって、ホッとしています。家族に迷惑をかけないためにも離婚した方がいいのではないかと悩んでいましたが、その心配もなくなりました」

結局、アパートを手放したM・Yさんの元にはまだ借金が残っているが、それでも返済のめどがたち、生活を建てなおすことができた。

「後から振り返ってわかったことばかりですが、知り合いを信用してすべてをまかせるというのは本当に危険です。割高な建築費や割高な修繕費は収支を圧迫します。後から調べてみると管理会社がずさんであったこともわかりました。それから自分自身がいけないのですが、金利交渉や地震保険への加入など、自分でも打てる手がたくさんあったのも関わらず、まったく知らずに何もしませんでした」

M・Yさんは、勉強すること、考えることをしなかったツケは本当に大きかったという。リーマンショックや地震など不運なことが続いているが、基本的には自分で考えて判断することをしなかったのが失敗の原因だろう。最後に語った「無知は罪です。知らないということで大きな損をしました」という言葉が印象的だった。
不動産投資の楽待 編集部

最終更新:3月18日(土)18時20分

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