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中国不動産市場では、「日本らしさ」を訴えよ

生き残りを懸けた日系デベロッパー、起死回生なるか(後編)

1月25日(水)11時40分配信 JBpress

中国不動産市場では、「日本らしさ」を訴えよ (1/3)

上海の虹橋エリアにそびえる高級マンションの仁恒河濱花園 (著者撮影、以下同)
上海の虹橋エリアにそびえる高級マンションの仁恒河濱花園 (著者撮影、以下同)
 前篇の「お勉強大好き日本企業、中国で欧米の後塵を拝す」に続き、日本の不動産デベロッパーの中国参入について、リーマン・ショック後から今にいたる動きを追い、今後を展望する。

*** 火がついた日本の不動産開発企業 ***

 機関投資家が積極的な投資姿勢を見せていた時期が過ぎ去り、これまで「勉強」で終わっていた日本の不動産開発企業が再び動きはじめた。

 金融危機、リーマン・ショックの影響から経済の先行きの不透明感が一気に日本を包み、日本の不動産開発企業の中に危機感が募るようになってきた。

 人口が減少する日本では住宅需要が見込めなくなるのは時間の問題であり、長期的な視野を持って海外で活路を見出さなければならなくなった焦燥感と言ってもいい。

 これまで日本の不動産開発企業の間にあった「巨大な市場を狙ってみたい」という希望的観測が、「中国という巨大な市場を狙わなければならない」という切羽詰まった状況に一変したと言える。

 これは、筆者が従事してきた調査業務の内容の変化でも見て取れる。リーマン・ショック前までは、「中国市場について概略が分かるような調査をしてもらいたい」という要望がほとんどだったが、最近は「ある都市のこのエリアの住宅市場について具体的な事例データが欲しい」という要望に変わった。

 「勉強」から「具体的案件の検討」への変化である。「もう勉強だけでは許されない」、そのような危機感が筆者にひしひしと伝わってくる。

 これまで勉強してきたのか、これから勉強するところなのか、という中国投資に関する企業にとってのステージはもはや関係ない。起死回生のチャンスとして中国市場を狙う日本の不動産開発企業の勢いが増してくるだろう。

*** 競争の激しい中国市場で生き残れるか? ***

 製造業が「世界の工場」に加えて「消費市場」としての中国を認識するようになったのは、かれこれ数年前だと思う。ようやく日本の不動産開発企業も動き出した。

 もちろん、世界経済が混迷を深める中、中国市場も例外なくリスクを抱えている。

 しかし、たとえ市場で大幅な調整が見られたとしても、膨大な人口を抱える中国で、不動産に対する需要そのもがなくなる、ということはないという認識が根底に根づいてきた。

中国不動産市場では、「日本らしさ」を訴えよ (2/3)

広州の住宅市場でも高級物件の開発が進む
広州の住宅市場でも高級物件の開発が進む
 現在、日本の不動産開発企業が中国市場で開発を行う場合、多くが中国国内企業とのJV(ジョイントベンチャー)となる。大和ハウスが独資で行っている開発プロジェクトもあるが、これは特殊な事例と言えるだろう。

 将来有望な土地を確保しているのは、地元企業である場合が多い。もっとも中国政府が発表した「外商投資産業指導目録(2011年改正)」には、外資による不動産開発は制限項目に入っているため、中国国内企業とのJVが現実的という理由もある。

 すでに中国国内には多数の不動産開発企業が存在する。そのため、外資による中国市場への参入によって、中国市場は一段と激しい競争にさらされることになる。

 外資にとっては、中国企業のみならず古くから中国に進出してきた香港やシンガポールなどの不動産開発企業との競争も意味する。

 従って中国市場に参入したい日本の不動産開発企業は、差別化戦略を真剣に考える必要があるだろう。

 では、どのような開発をすればいいのか。すでに中国での開発を本格的に検討している不動産開発企業にとっては、分かり切っていることかもしれないが、いくつかヒントを書いておきたい。

*** 内装、環境対策など、日本の技術で差別化できる ***

 まず、中国国内の分譲住宅は、完成前のスケルトン売りが多い点は注目すべきだろう。中国では新築分譲住宅を購入したあと、購入者自らが内装を施す場合が多い。購入者にとって、内装は自分自身の思い描く住宅にするための楽しみである一方、非常に面倒な作業でもある。

 現在、内装つきの新築分譲住宅の数が増えており、日本の高いレベルの施工技術をもって内装つきの住宅を販売することは商品の大きな差別化となるだろう。

 中国の内装施工技術は決して高いレベルであるとは言えず、最も分かりやすい差別化となり得る。しかし実際に内装を施すのは日本人技術者ではなく中国人であるので、施工に関する教育を重視しなければならない。

 次に、マーケティングとブランディングを強化する必要があるだろう。中国国内における日本の不動産開発企業の知名度は非常に低い。日本では知名度の高い企業でも、中国では通用しない場合が多い。

中国不動産市場では、「日本らしさ」を訴えよ (3/3)

 日本の高い技術やクオリティーと耐久性の高さなどは、重要なマーケティングツールとなる一方、必ずしも中国人が求めるものであるとは限らない。それなりの「文化の解釈」が必要となる。

 街づくりという意味でも、日本のノウハウは十分に通用するだろう。特に中国政府が最近注目し重視している環境対策については、日本企業は相当のアドバンテージがある。

*** 本当の戦いはこれから。中長期のメリットを示せ ***

 また、長期的視野を持って中国に進出していることを示すことも重要だ。かつて見られた外国の機関投資家による「鞘取り」ではなく、中国市場を理解し、中国人の住環境をよりよくするという理念を掲げなければ、参入する理由を理解されないだろう。

 そこに暮らす人々に対して、日本企業として何を長期的に与えることができるのか、考えなければならない。

 今は、中国全土の不動産市場で調整色が強まっており、資金繰りに窮する中国の不動産関連企業が増えている。有望な土地を保有している企業も多く、比較的有利な条件で開発できるチャンスが巡ってきている。

 すでに中国国内企業にマイナーで出資した日本の不動産開発企業の場合、出資を検討するプロジェクト企業へのポーションを増やすことも考えられる。

 ただし、中国の不動産市場の変化は非常に激しいため、日本の企業に欠けがちな市場動向を見極める「洞察力」と「思い切り」が必要だろう。

 チャイナリスクと呼ばれて久しいが、日本の不動産開発企業の中で、中長期で発展が望める方向に進むという認識が広がり、ようやく参入できるようになってきた感がある。

 日本国内での需要が減退する中、海外に活路を見出そうとする日本の不動産開発企業。企業の収益全体のうち、海外割合の引き上げも行われ、この中で、規模の大きな中国は中核を担うことになるだろう。

 売れる市場で売れる商品を作りたい、日本の不動産開発企業の中国市場での戦いが本格的に始まった。
筆者:ステイジアキャピタル調査部

最終更新:1月25日(水)11時40分

JBpress

 

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