3月までは欧州債務問題の「波状攻撃」に注意せよ
1月25日(水)13時37分配信 ダイヤモンド・ザイ
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河合達憲さん
カブドットコム証券チーフストラテジスト。調査情報畑一本で20年来の実力者。マクロから個別銘柄まで鋭く分析する。
◆過去の3カ月を分析!
欧州離れができず日本株は低迷が続いた
日経平均株価は、8455円で2011年の取引を終えました。
11月下旬から12月上旬にかけて、株価は順調に持ち直しているかに見えたのですが、結局10月末の高値(9050円)を抜ける展開には至りませんでした。それは、今後の工程表さえも決まらないなど、12月8~9日に開催された「EU首脳会議」が、市場の期待を完全に裏切ったためです。
具体的には、市場は「ユーロ共同債の発行」や「ECBによる国債の買い入れ」など、即効性のある対応を求めていました。ところが、ドイツの反対によりユーロ共同債は発行されず、今あるセーフティネットは、(1)EFSF(欧州金融安定基金)の4400億ユーロ、(2)ESM(欧州安定メカニズム)の5000億ユーロ、(3)IMFを通じた融資枠の2000億ユーロのみです。
これら全部を合わせても1兆1400億ユーロにしかならず、これはイタリアの債務残高(1兆8000億ユーロ)よりも少ない。つまり、イタリアの国債がデフォルト(債務不履行)してしまったらおしまいという、心もとないものでしかありません。
そこで、ドイツは財政協定をより厳しいものにしようとしましたが、英国がEU基本条約の改正に反対。
これら欧州の対応にしびれを切らした米国は、カーニー大統領報道官が、「米国の納税者が、これ以上欧州にかかわる必要はない」と明言。IMFへの資金供出を否定しました。
欧州を見放した米国の株価は、景気の堅調さも手伝い上昇。一方で、まだ欧州の財政問題に引きずられている日本株は上値が重い展開となりました。
◆今後の3カ月を予測
「米ドル高」にスイッチする局面がくるか!?
今後3カ月は、為替がひとつのポイントになるのではないかと見ています。
ユーロについては、米国の格付け会社がユーロ圏諸国の国債を一斉に格下げする構えを見せるなど、しばらくは“1人負け”状態が続くでしょう。2月にイタリア国債、3月にギリシャ国債の大量償還も控えており、ユーロを買う理由はまったく見当たりません。
ただしドル/円に関しては、どこかでドル高(円安)にスイッチする可能性があります。というのも、これまで米国が行なってきた金融政策を振り返ると、2年以上ゼロ金利政策を続けており、またQE1、QE2と2度の量的緩和を行ない、さらには、昨年10月からは短期国債を売って長期国債を買う、ツイスト・オペも実行しています。
その結果、長期金利が不当に抑え込まれ、30年債に連動する住宅金利は下がり、住宅約定件数が上がってきました。これまでいくら金利を下げても約定件数は上がらなかったのに、やっと住宅市場が健全化し始めたのです。言うまでもなく、金利の先安観はあらゆる消費行動にプラスです。
つまり、足元の1%台という米国の長期金利はいくらか割り引いて考える必要があり、となると、いつ為替の水準訂正(ドル高への転換)があってもおかしくありません。
もうひとつ、日本株上昇のきっかけを挙げるとしたら、欧州の利下げです。ECBは昨年11月、12月と2度の利下げを行ない、政策金利を1%としました。それでも日米と違って、まだ“利下げのカード”は残っています。これを効果的なタイミングで使えば、市場は冷静さを取り戻すことでしょう。
(取材・文/八村晃代)
*ダイヤモンド・ザイ3月号に掲載。3月号は「確定申告 2012年版!」「株主優待全コレクション719」の2大特集。その他に「2012年を乗り切る 日本株大作戦!」、為替の特集は「円高トレンドの終焉に備えよ!」。そしてあのホイチョイ・プロダクションズの新連載「年金ロックンローラー 内沢裕吉」がスタート!
最終更新:1月25日(水)13時37分
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