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ハウステンボス再建でも軽率発言の前原国交相

17期連続赤字企業を支援する価値はあるのか

2月10日(水)7時00分配信 JBpress

ハウステンボス再建でも軽率発言の前原国交相 (1/3)

またまた、軽率発言!?
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またまた、軽率発言!?
 長崎県佐世保市の大型テーマパーク・ハウステンボス(HTB)の経営再建問題が正念場を迎えている。2009年秋から支援に手を挙げていた大手旅行社のエイチ・アイ・エス(HIS)は資金不足の不安があり、前原誠司国交相が企業再生支援機構の活用案を口にした。ただ、機構の支援が実現しても再生の可否は不透明で、残された時間もわずかだ。(文中敬称略)

*** 地元自治体も、HISも国の資金に期待 ***

 1月30日の日曜日、前原国交相は福岡市から諫早市に向かう列車に乗っていた。2月下旬に予定されている長崎県知事選挙の応援のためだ。その車中に乗り込んできた男がいた。佐世保市長の朝長則男だ。その手に1通の要望書を携えた朝長は「大臣、おじゃまして申し訳ありません。実は・・・」と切り出した。

 ちょうどその時、タイミングよく前原の携帯電話が鳴った。旧知の澤田秀雄HIS会長からだった。「HTBの再建を検討していたが、調べてみたら開業から18年近く経ち、ディズニーランドの倍ぐらいの敷地で建物も老朽化している。施設改修費はHISの手持ち資金ではとても収まらない。国の支援を検討してもらえないだろうか」

 朝長の要望書もHTBの再建支援を頼む内容だった。前原は書面を受け取り、説明を聞いた後で「お話はよく分かりました。企業再生支援機構の活用を検討されたらどうですか。機構の所管大臣である管直人副総理に話をしておきます」と答えた。

 前原にとっては朝長の乗車も澤田の電話も想定内の出来事だった。

 その日の朝、長崎県選出の衆議院議員で農林水産副大臣の山田正彦と電話で話したからだ。山田は言った。「1300人余りを直接雇用するハウステンボスが無くなれば、県内の雇用に深刻な影響が出る。前原さんは澤田さんの知り合いと聞いたので、HISからの支援を得られるようにプッシュしてほしい」

 前日に澤田と面会した山田は「国が動けば(断念の)判断を延ばすかもしれない」という言質を取っていた。

 列車を降りた前原は取り囲む報道陣に「HTBに対して企業再生支援機構の活用ができるかどうか菅副総理と相談して取り組みたい」と話した。前原にしてみれば知事選をにらんだリップサービスのつもりだったのだろう。だがHTB関係者と地元はこの一言に一縷の望みを繋ぐことになった。

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*** 開業以来17年連続の赤字経営 ***

 1992年開業のハウステンボスはオランダの街並みを再現した日本最大級のテーマパークだ。だが客足は思うように伸びず、入場者数は96年の425万人をピークに、99年度以降400万人台を割り込み、2002年度には352万人まで落ち込んでしまう。

 敷地内の高級分譲別荘地もさっぱり売れず、開業以来17年連続営業赤字という不名誉な記録を更新し続け、2250億円の設備投資も重荷となり、2003年2月には2289億円もの負債を抱えて会社更生法の適用を申請した。

 2004年度から会社更生計画の認定を受け、野村ホールディングス傘下の野村プリンシパル・ファイナンスから支援を受けながら経営を継続。入場者数、売上高ともようやく下げ止まったかと見られたが、2008年度に入って世界的な景気後退や円高が直撃し韓国などアジアからの観光客が大幅に減少。2008年度の入場者数は187万人となり、売上高も前年より30億円減って154億円と、3年ぶりの減少に転じた。

 HTBは九州観光の要だと、九州電力、九電工、西鉄、JR九州、西部ガス、福岡地所、コカ・コーラウエストの福岡の主要7企業が支援検討チームを発足させたが追加出資には消極的。

 2009年11月、HISが「アジアからの観光誘致に有利な立地で、旅行商品と組み合わせれば相乗効果が見込める」と支援に手を挙げたものの、ホテルや施設の修繕費などに500億円を超す資金が必要なことが分かった。

 HTBがあると助かる企業は多いが、HTBを救える企業が少ないということだ。そこへ国交相から支援機構の活用話が降ってきた。

 企業再生支援機構は金融危機後の不況に苦しむ地方経済の立て直しのため、2009年10月に設立された官民共同出資の企業再生ファンドだ。出資金は政府100億円、金融機関100億円の計200億円。2009年度は機構の借り入れに対し1兆6000億円の政府保証枠を確保している。支援決定企業には経営陣を派遣して事業の再構築や利益確保を目指すほか、出資や融資、債務の圧縮で財務体質を強化させる。1月19日に日本航空が第1号案件となった。

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 HTBは3月末までに更生計画で定められた今年度分の債務を弁済できなければ破産に追い込まれる。財政事情の厳しい佐世保市や長崎県が肩代わりするのは困難で、新たな支援先が見つからないと「更生断念」に追い込まれる。HTBは佐世保市内では最大規模の雇用を担う企業。破綻が地元経済に及ぼす影響は少なくない。関係者は機構の出・融資に期待を寄せている。

 朝長佐世保市長は2月2日、東京地裁がHTBの管財人に求めていた再建に向けた新たな更生計画の提出について、当初は5日予定だった提出期限の延長を地裁に申請。8日朝には東京都内のHIS本社を訪ねて澤田会長に支援を直談判。HISは数年間の期限付きで、支援に前向きな姿勢を示したという。

*** 前原発言から迷走した日航再建問題 ***

 しかし、“機構活用” とは公的資金という名の税金で支援をすることだ。厳格な資産査定と再建計画の策定が求められ、査定には通常数カ月かかる。支援の条件は「3年以内の黒字化」で、税金をつぎ込んで延命しても、設立から一度も営業黒字を経験したことのないHTBが黒字を達成することができるのかどうか。

 そんな機構の活用話を前原国交相が軽々に口にしたことで思い起こされるのは日本航空の再建問題だ。前原は就任直後の記者会見で「日航は潰さない」と発言し、前政権がつくった日航再建の有識者会議を一掃し、自身の肝いりで企業再生の専門家を集めて再建案を作らせた。

 しかし、金融機関に巨額の債権放棄を求めたこの再建案は総スカンを浴び、発足したばかりの支援機構に頼るしかなくなってしまった。機構が支援決定に至るまでの3カ月余り、大幅な債務超過に陥っている日航の内実は白日下にさらされて乗客が激減。資金難を懸念した一部の海外当局に着陸料の前払いを求められる事態にまで追い込まれた。

 迷走の末、取引先金融機関は追加融資を、日航の社員やOBは年金の減額を、国民は税金を差し出し、日航はようやく再建への道のりを歩み始めたが、すべての混迷は国交相の「潰さない」発言のメンツを保つためだったという見方は少なくない。

 その教訓かどうか、2月2日の記者会見で機構活用発言を質された前原は「ハウステンボスは観光施設で観光担当大臣としての私の所管であると言えなくもありませんが、私はアドバイスをしただけというのが正しい事実関係。最終的にどうご判断をされるかは、企業再生支援機構側にある」と強調し、早々に軌道修正を試みている。

 企業再生支援機構の瀬戸英雄・企業再生支援委員長は「まだ支援要請も何も来ていない」としながらも、「17期連続赤字の企業。会社更生で長い時間をかけてきてもうまくいかなかった。きちんと試算査定をしないと分からないが再生見込みが低いところに国のお金をつぎ込むわけにはいかない」と話す。「支援機構は玉手箱じゃないんだから」。HTBが前原発言に翻弄されて時間を浪費しなければいいのだが。
筆者:梨元 勇俊

最終更新:2月10日(水)7時00分

JBpress

 

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