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ライバルはiPhone――ゲームに構造変化の波

11月5日(木)11時02分配信 東洋経済オンライン

iPhoneと対峙するゲームメーカー
iPhoneと対峙するゲームメーカー
 新興勢力の台頭で、ゲーム業界が岐路に差しかかっている。

 世界販売台数5000万台を超えた、米アップル社の携帯端末「iPhone/iPod touch」(アイフォーン)。ゲームなどのアプリケーションを扱う「App Store」のダウンロード数は、9月末で20億件を突破した。国内SNS(交流サイト)大手の「mixi」でも、無料ゲーム「サンシャイン牧場」の登録ユーザーが200万人に達している。

 「パッケージ主体のビジネスモデルが、いつ変わるかという恐怖心がある」。9月に開催された東京ゲームショーで、バンダイナムコゲームスの鵜之澤伸社長は危機感をあらわにした。不況のあおりを受けて、2008年度の国内ゲーム市場は前年度比82%に縮小(エンターブレイン調べ)。拡大していた欧米市場も、ここにきて落ち込んでいる。

【関連図】
 だが全体規模が把握されていない携帯電話向けなどのネットワークゲームを含めると、「間違いなくマーケットは膨らんでいる」(カプコンの阿部和彦CFO)と関係者は口をそろえる。

■ハードでもネット拡充 “洞ヶ峠”のソフト会社

 ハードメーカーはネットにつながる機能を拡充させて、新興勢力に対抗する。

 ソニー・コンピュータエンタテインメントは「プレイステーション・ポータブル(PSP) go」を11月1日に日本で発売する。すべてのゲームをネット経由でダウンロードするネット専用端末で、発売当初から400タイトルをそろえる。12月にはPSPの全機種向けに、「新世紀エヴァンゲリオン」など約100タイトルのコミック配信を開始。さらに、SNSをイメージしたコミュニティサービス「ルーム」も年末に始動する。多種多様のサービスでユーザーを囲い込み、ネットビジネスを拡大する戦略だ。

 一方の任天堂。携帯ゲーム機「DS」では無線LANを活用し、商業施設などで道案内に使用できる。DSの無線機能を駆使した「すれ違い通信」を採用して大ヒットしたのが、スクウェア・エニックスの「ドラゴンクエストIX」。ユーザー同士が交流することで遊び方が広がり、シリーズ最高の400万本をすでに出荷した。任天堂は有料でソフト配信も展開するが、ネットの収益化が狙いではない。DSが標榜する「1人1台戦略」の一環で、あくまでもハード機拡販のためと位置づける。

 対抗意識むき出しのハードメーカーに対し、ソフト各社はどっちつかずの洞ヶ峠を決め込む。

 バンダイナムコはアイフォーン向けに「パックマン」など約20の有料タイトルと無料の数タイトルを世界10カ国語対応で供給する。コナミやカプコンなど大手各社も一様に、アイフォーンに配信中。既存タイトルの宣伝効果につながるとの狙いだが、各社とも本腰とはいえない。収益性の問題が大きく横たわるのだ。

 目下のところ、すでに投入したタイトルを土台にしてアイフォーン仕様にアレンジする手法が中心だが、それでも「1タイトル当たりの開発費は数千万円単位」(バンダイナムコの福本正史NE事業本部長)。一方で、価格は100円から1000円が一般的。ここからソフト会社に入ってくるロイヤルティではとても開発費をカバーできない。「コンテンツ価格が2000円ぐらいになれば、商売として成り立つ」と、開発受託会社トーセの幹部は語る。

 そもそも携帯電話向けなどネットワークゲームの成長を促すような動きは、収益源のパッケージソフト販売を自ら減らすことになりかねない。急成長する勢力に対し、どう対応するか手探りの状態といえる。

■パッケージ依存の終焉 問われるのは展開力

 これに対して、新たな手法で先手を打ったのが中堅のハドソン。「ボンバーマン」など27タイトルをアイフォーン向けに配信しているが、初のオリジナルゲームとして1年がかりで開発した「エレメンタルモンスターTD」がユーザーから高評価を得ている。余勢を駆って、このゲームコンセプトを踏襲したパソコン向けオンラインゲームを開発(11月末にサービス開始予定)。PSP向けも10月末に配信する。「アイフォーンで人気化すれば、タイトルの知名度が一気に上がる。となれば、他のネットワークゲームなどへの展開につなげることができる」(ハドソンの柴田真人・新規事業本部長)。

 エンターブレインの浜村弘一社長は「パッケージソフトだけを売るという時代は終わった。これからはプロデュース能力が勝敗を分けるだろう」と分析する。音楽CDの歴史が物語るように、ゲームもパッケージの市場に頭打ち感があるのは事実。他社のネットワークゲームと自社パッケージソフトとの連携など、トータルでビジネスを進めていく力が今後問われることになる。

(梅咲恵司、勝木奈美子 =週刊東洋経済)

最終更新:11月5日(木)11時02分

東洋経済オンライン

 

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