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強気相場は今後2年ぐらい続く。新興国市場への投資比率引き上げを――“伝説のファンドマネジャー”アントニー・ボルトン氏に聞く(下)

10月30日(金)11時04分配信 東洋経済オンライン

アントニー・ボルトン氏(写真:今井康一 =東経オンライン)
アントニー・ボルトン氏(写真:今井康一 =東経オンライン)
 確かに中国株などに対してバブルという声があるのは承知している。しかし、バブルはたった1年で生成されるものではない。数年かけてできるものだ。私は、中国株に対して中期的に楽観視している。

――今いちばん有望視しているマーケットは。

 すべての市場をフォローしているわけではないが、全体的にいえば、コモディティ(資源・素材)や輸出への依存度があまり高くないエマージングマーケット(新興国市場)が有望と考えている。つまり、内需主導で経済成長できる新興国市場ということだ。

――その理由は。

 コモディティ依存の経済は、世界経済のシンクロが必要。つまり、2~3年前のように世界各国がトレンド以上の成長を遂げている時には好調だが、今後予想されるように先進国市場の成長があまり高くない時には、あまり芳しくないだろう。

 また、輸出依存経済についても、輸出先市場の中心は欧米市場であり、今後は低い成長力が見込まれる。その結果、株式投資においてもあまり有望視できない。

――内需主導の新興国市場で有望なのはどこか。

 私は特に中国に注目している。中国政府は経済の輸出依存度を引き下げるために極めて積極的な行動を取っている。巨額のインフラ投資計画や信用拡大が実行された。これが、今後2~3年における良好な経済環境の基礎を築くと見ている。もちろん、一本調子での株価上昇はありえず、来年のどこかで調整する期間もあるだろうが、トレンドとしては上向きだろう。押し目狙いの投資家も多く、大幅な下落はないだろう。

 確かにバリュエーション的には、もはや非常に割安といえる水準ではないが、リーズナブルな水準とはいえる。中国には今後10年、15年にわたり成長が続く分野があり、投資家にとって魅力的だ。現在のバリュエーションが同じであれば、米国株よりも中国株のほうが今後2~3年ははるかに有望だろう。市場のボラティリティ(変動性)は高いが、長期的に見る必要がある。

――今、日本の個人投資家が国際分散投資を実現するためのモデルポートフォリオを作るとしたら、どんなポートフォリオになるか。

 平均的な英国の投資家は、投資資産の15~20%を新興国市場で運用し、残りの8割方を先進国の市場で運用している。しかし、今後2~3年を考えた場合、私としては資産の過半を新興国市場で運用することを提案する。

――リスクファクターは何か。

 先進国で金利が大幅に上昇すれば、株式市場にとって非常にネガティブだ。今後1~2年で起こるとすれば、それが強気相場を終わらせる要因となるだろう。同様にインフレも懸念材料だ。個人的には今後2~3年は大きなリスクとは見ていないが。来年以降、規制強化も投資銀行などいくつかの分野ではリスク要因となるだろう。

――日本株についてはどう見ているか。

 詳しくフォローしているわけではないが、バリュエーション的に依然、魅力的だと見ている。政権が変わり、政策に変化があれば、今後2~3年はおもしろい市場になりそうだ。あれだけ長きにわたった政府が交代したのだから、非常に重要な変化だ。

――最後に投資家へのメッセージを。

 私からのメッセージは「今、あきらめるな(not to give up now)」ということだ。過去10年間、多くの市場で株式のリターンは最悪だった。そして、そうした時期を終え、今は大きな反転の時を迎えた。

 投資家の間では、「ありがたい。今こそ売って、現金化しよう」という傾向もあるが、現時点ではそれは誤った戦略だと私は考える。

 それにしても興味深いのは、日本の個人投資家が非常によいタイミングで市場に買いに入ったということ。(今回の株価急落時に果敢に買い参戦したというのは)日本の投資家だけだろう。

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アントニー・ボルトン
 Anthony Bolton 英ロンドンを本拠に、長年ファンド・マネジャー職を務め、欧州では「伝説」の名を馳せた。彼は1979年から四半世紀以上にわたり、『フィデリティ・スペシャル・シチュエーション・ファンド』を単独で運用し、その間、同ファンドは(英ポンドベースで)、年率換算20%超の卓越した運用成績を残した。2007年末にファンドの運用業務を退き、現在は後進の指導等にあたっている。1950年生れ。英ケンブリッジ大学工学部卒。著書に『カリスマ・ファンド・マネジャーの投資極意』(東洋経済新報社)がある。

(中村 稔 =東経オンライン)

最終更新:10月30日(金)11時04分

東洋経済オンライン

 

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